龍王転生〜転生したら魔導師ってのに出待ちされてた件について〜

波動砲

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龍王と魔物

94話目

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龍の息吹は万物を破壊し、龍の顎は万物を噛み砕き、龍の爪は万物を切り裂き、龍の尾は万物を薙ぎ払い、龍の翼は万物を置き去りにすると謳われている。
天上天下唯我独尊。最強無敵。地獄の悪魔なにするものぞ。


コトアとの修行により、我が手に入れた技の中で最も強力な攻撃"砲撃フレア"
現状何度も連発するのは難しいが(コトア曰く本来なら無限に撃てるものらしい)その威力は凄まじいの一言に尽きる。なんたって砲撃により空間が一瞬だけ歪み、そして夜空に瞬く星の光を掻き消すほどの眩い大爆発を巻き起こしたのだから。


「《きたねぇ 花火だ》」


「こ、こ‥‥‥こんな、あり得ない。大悪魔である俺様の最大魔法をこうも易々と。化け物か、こいつは」


捕まえているので身動きも取れないネクロフィリアス。さて姫さま悪魔祓いの時間ですよ。ってあれ?そういえば姫はどこいった?
まさか我がしくじった分、あのホルスタインの権化であるお姉様とどこかで戦っているのだろうか。強かったけど大丈夫なのかと直ぐに姫の気配を探ると此方に向かってきている様だったので安心する。


「とんでもねぇな、主従揃って
そのまま抑えててもらっていいか。友達」


【誰だおめーは!イケメンが馴れ馴れしく我に話しかけないで貰えるかな!?死にたくなるから】


「冷てぇな。いくらなんでもそりゃねーだろう。俺とお前とシャーロットで朝に遊んだ仲だろうが
ほらこれ!吸血鬼にとって朝に贈り物をあげるのは特別な行為なんだぞ!」


慌ててキーホルダーを見せてくる。嫌味のない屈託のない笑み。嘘はないようだ。なるほど、棺桶型の亜人だと思ってたら、中身あったんだ。ふぅーん?そっか
イケメンかぁ……いいなぁ、面が良くてよぉ……それに肌質も良い。羨ましいなぁ!女にもさぞかしモテるんだろうなぁ!!きっと嫁とかも3人くらいいるんだろうなぁ!!?
リア充規制法特別条項。ルックスという抗いようもない理不尽な暴力に晒された場合に限り非モテは対抗措置を取る事が許される。我のモットーはやられたらやり返す。やられてなくてもやり返す。だからやられた分はきっちり取り立ててやるからよぉ!!!


「すんごい表情してんぞ、友達アーカーシャ


「離せ!このっ!俺様を誰だと」


ハッ!目的を見失うな。今は悪魔の対処が最優先事項だ。こんなイケメンに構っている暇はない。不愉快です。


「あんたも何か良い考え思いついたか?」


「今考えてる!」


「《?》」


「訳わかんねえって顔だな友達。掻い摘んで話すと、負の感情の増大により状態はフェーズ3以降に進行。悪魔と精神同調及び主導権争いが起きてしまっているが同化が進みすぎて精神からの切り離しは不可。そもそもここまで同化が進んだ場合の前例がないのに加えて、本来なら有効なアプローチとされる外部からの物理的魔法が吸収され悪魔の力になるので不可。だから対処に困ってる」


掻い摘んでこれ?求められてる有識者レベル高くない?10文字くらいで簡潔に話してくれないと我の高性能イアーがノイズキャンセリングで全てを拒絶しちゃうんだが


「つな、ひき……ゲホゲホッ」


姫が半壊した扉を開け現れる。喉が潰れているのか中で血がゴロゴロと鳴っている。なんだその手に持ってる奇妙な牛の人形は。なんか魂が入ってるんだけど、怖い。察しは付くけど、姫またえげつないことしたんだなって。気付かないフリしていいですか?


「綱引き……ゲッペルマンの法則か!」


「なるほど。それなら」


ゲップマンの法則?それってコーラを飲むとゲップが出るアレ?バーロー。そういうことか!


「今は宿主と悪魔で4:6の状態を、この場合は悪魔と性質が反対の天使を降臨し4:3:3の状況を作り崩す。」



三位一体。トリニティってやつだ。秘密結社イルミナティの方ではなくてね。よくわからんけど、解決の糸口見えて来たみたいですね


「天使を呼び出す降臨魔法の術式は?」


「未完成だ……」


「拙いな。この悪魔は最上位だ。生半可な天使じゃ駄目だ。少なくとも同格かそれに近い存在を呼び出す必要がある」


「リア……クタ」


「そうか!龍脈の莫大な魔力で術式の底上げか。それなら」


「妾はイフリート召喚で魔力をほぼ使い切ってる。魔法発動に際しては補助に回りたいのだが」


「姫さんがリアクターとスフィアの制御。未完成な降臨魔法発動はあんたと俺の2人がかりで行う。精霊か天使か悪魔か。三分の一。更に高位となれば一か八か。分は悪いな。
天使を呼び出す触媒とかあれば良かったんだがな」


「……遥かなる神話の時代に一部の龍たちは天使たちと戦った逸話がある。或いはもしかしたら」


その瞬間皆の視線が我に向く。なんだよ、我に何をさせる気だ。


ルネデド家の地下奥深く。スフィアという超魔法をリアクターと呼ばれる魔導具によって制御していた。そこに我らはいた。更に地下室そのものに高度な魔法術式が刻まれていた。


「いく……よ ゲホッ」


「「降霊魔法発動────節制と真実を告げる者たち。狂気たる器。」」


呪文の詠唱が始まる。我と悪魔は立っているだけで良いそうだが。


「くっ、この、離せ!」


「《殺すわけじゃないんだし、大人しくしてろよ。
しかし呪文か。我なんてプルルンプルンファニファニファーしか知らねえぞ》」


「こんなところに、あったんだな」


どこからともなく微かに声が聞こえた。闇に紛れるように息遣いと鼠の着ぐるみを来た男がいたのを見逃さない。だが既に死に体だ。放っておいて問題はない?否。その覗かせる目には狂気が垣間見える。
何かをする。
こいつが身体中に妙なモノを括り付けているのが見え────自爆する未来まで視えた。だが3人とも術式の方に尽力しているので気付けていない。対処できるのは我だけだ


「これで依頼達せ────」


ピンを引き抜き、男は躊躇いなく自爆した。爆発が巻き起こる寸前で、我の行動強化した"両手が爆発を握り潰した"
そこまでは良い。だが問題はそこではない。


「油断したな、馬鹿が!」


ネクロフィリアスの拘束が解かれたのだ。そしてそのまま逃げようと動き出したのと詠唱が終わるのは同時であった。


「「来たれ!」」


眩い光と共に何かが現れる。何が降臨したのかと皆が不安に思ったのだろう。だがそれを目にした時、誰かの安堵の息が聞こえた気がした。
時にミケランジェロの彫刻を見たことがあるだろうか?あの息を呑むような完成された美には、老いもなく生と死を超越した何かを感じずにはいられなかった。仮に天使という存在が目に見えるのならきっとその様な完璧な存在なのだろう。
そして現れたソレは純白の6対12枚の翅を広げて欠けた王冠に似た天使の輪が頭上で廻っており、その出で立ちは純真無垢を体現した神々しい少女であった


「はじめまして、かな。わたしは────七天の一体ピエタだよ」


「《今は》」


「見てたから知ってるよ、3人で仲良くすればいいんだよね」


「失せろ 悪魔殺しの気狂いが!よりにもよって貴様みたいな」


この取り乱しようからネクロファリアスとピエタは因縁浅からぬ仲らしい。言葉途中でピエタの手元に1枚カードが現れた。カードから何らかの魔法を発動して地下だというのに雷が落ち、ネクロフィリアスに直撃して地面に這いつくばる事となる


「かはっ!」


「あれ?今のも避けられないくらい随分とフラフラなんだね。フィリアス君は。」


「くぅ、こいつはやめておけ!このピエタは破壊と殺戮を二つ名にする大天使だ。人々に罰を与えるのを喜ぶ頭のネジが」


「悪魔がさ。何言ってんの」


天使が微笑みながら悪魔の顔を掴み、何度も地面に叩きつける。


「あれは罰じゃない。言うならば試練なの。悪魔には分かんないかな~。そういう高尚な役割。」


「《ピエタ、だっけ?もういい。十分だ。シャーロット君の中に入ってくれ》」


「うん!」


あら素直。正直肩書きが悪魔みたいな天使来たから、万事休すかと思った。悪魔には異様に厳しいみたいだが


「その代わり」


ピエタが耳元に近付き、そっと言葉を告げた


「今度は私ともデートしてね」






今回のオチというか締め。
それから数日かけて、ルネデド家の管理するリアクターは無事魔導教会に移送できる手筈が整ったので、それに伴い、先に灰土の方がリアクターと共に先に帰ることとなった。イケメンだがアイツは良い奴だった。また3人で遊びたいものだ。
残った姫と我は前例のない、天使と悪魔の2体を身体に宿したシャーロット君の経過観察の為に更に数日残る事となっていた


「本日も異常なしですね……どうしました。何か言いたそうですね」


「2人とも、明日には、帰るんだよね?」


【まあ、うん。そっちも大丈夫そうだしな】


天使と悪魔を宿したシャーロット君はまだ僅かに心身にズレが見られ上手く喋ることが出来ないが耳も問題なく聞こえるようになったとの事なので、今後の訓練次第では何の支障も無く生活を送れるとのことだった。



「ねえ、アーカーシャもう一回、空、飛んでみたいな。今度は、母さまも一緒に。」


何かを決意した目をしていたその提案を断る理由は特に思いつかなかった




子供って怖いもの知らずだよな。だって我の身体の上で風を受けながら立ってるんだぜ。普通足震えない?


「すごいよね!これすごいよね!母さま」


「わ、分かったから、お、おい、チャーリー。落ちるぞ!もっとこっちによれ!危あぶ危ないぞ!」


「大丈夫だよ、母さま」


中にいる天使の影響があるのだろうか?元気に満ちたシャーロットがツカツカとフランソワールに近付き手を引く。彼女はギュッと目を閉じながら、ジリジリと進んでいく


「だから目を開けて」


「あ、開けてるよ、薄目でな」


「母さまの嘘つき」


「なっ!」


そう指摘されたフランソワールは、慌てながらも数秒かけてゆっくりと目を開けた。丁度そこは自身の治める街ルセイユの全貌が眺められた。街から溢れ出る音がこちらにも聞こえてくるようだった。
彼女は魅入っているのか声も上げなかったが突然口を開いた


「綺麗な景色だ。思えばこうやって街を一望するのは初めてな気がする。そうかここまで大きくなっていたのだな。街もそなたも。」


「う、うん。そ、それでね」


「母さまが時間があるときでいいから、僕と街を一緒に見て回ってください、駄目かな」


「妾とか?」


「母さまと」


気恥ずかしそうにではあるがフランソワールは頷いた。ここまでくるともはや別人のように穏やかである


「ま、まあ、そうだな。近いうちにな」


それを見ていた姫が意地悪く笑って囁いた


「おやおや、良かったですね。これからどう接していこうか悩んでましたもんね?」


「なっ なっ 何の話だ!?」


「おかしいですね。これまで散々実力主義でやっておいて、いきなり育児の方針を変えるのはいかがなものかと相談を受けた記憶がありますが」


「ちょっ!言ってない。そこまでは言ってないぞ!」


「なんのはなしー?」


「そのですね」


「イフリート!こいつを燃やせあああ!!!」


「Uoooo!!!」



雨降って地固まるってやつだろうか。雨が大分長かかったせいでまだぬかるんでいるが、きっとこの2人はもう大丈夫なのだろう。何となくそんな気がした
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