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第二章
≪Ⅹ≫これが不安、か【1】
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あのままヴォルに流されてベッドに入ってしまったのですが、目が覚めたら何と翌朝でした。ご飯、食べ損ないました。えっと、昼と夜……二回もです。残念です。私は起き上がろうとして、いつものように抱き留められている腕に触れました。
「……起きたのか、メル」
「はい、おはようございます。体調はどうですか?」
腕を緩めてくれたので、私はベッドに腰掛けるように座りました。振り向くとまだ横になったままでしたが、表情はいつものヴォルです。甘えん坊ではなくなりました。あれはあれで貴重な体験でしたが。
私はソッと掌をヴォルの額につけます。ヴォルは大人しく横たわってくれています。
「うん、もう大丈夫そうですね。良かったです、熱が下がったようで」
嬉しくて自然と笑みが溢れました。あれ?何か私を見たヴォル、不自然に視線を逸らしたような気がしますけど。気のせいでしょうか。
「どうかしましたか?」
「……問題ない」
小首を傾げて問い掛けますが、ヴォルはそのまま身体を起こしてしまいました。
……何かベッドの上で二人して座っている今の状況って、親密な関係の男女みたいですね。あ、恋愛物語的なですよ?勿論私には実経験がないので、あくまでも想像の域を出ませんが。
「顔が赤い」
突然ヴォルが頬に触れたので、私は自分の妄想の世界に入っていた事に気付き、非常に恥ずかしくなりました。
「あ、ごめんなさい。だ、大丈夫です。すみません」
慌てて頬を両手で隠しますが、熱くなった顔は中々元に戻りません。
「熱か?」
「あ、ち、違います。大丈夫です」
赤面している理由を聞かれても困るので、私は急いでベッドを降りました。は、話を変えなくてはなりません。えっと、えっと……船っ!
「ふ、船はいつ乗るのですか?」
わざとらしいですが仕方がありません。
「……良いのか、メル」
逆に問い掛けられました。……あ、そう言えばそんな事を言っていましたね。私が行く気になるまで待つとか……、冗談とか熱に浮かされていたからではないのですか。
「でもヴォルは、急いでいたのですよね?」
「……セントラルに行けば、ベンダーツのような人間が大勢いる」
お、大勢……それは嫌ですね。
ヴォルはベッドに腰を掛けたまま、その場を動く事なく私に問い掛けます。
「俺がメルを守ってやれないかもしれない」
あら、随分と弱気な発言ですね。と言うか、守ってくれる気になっていたのですか?確か初めは、『式を挙げたら後は互いに無関心で』的な事を言われていましたよ。
「でもヴォルは、セントラルに戻らなくてはならないのですよね?その為には結婚相手が必要なのですよね?それには期限があって、その為に私が行った方が良いのですよね?」
私は自分にも言い聞かせるように、ゆっくりとヴォルに問い掛けます。それに対し、ヴォルは一つ一つに頷いてくれました。
「それでしたら、私はヴォルと一緒にセントラルに行きます。本当は最初そんな気はなかったのですけど……、ここまで来る間に色々考えました。村にいても経験出来なかった事を知りましたし、ヴォルに恩があります」
「それは……、俺が連れ出したから」
ヴォルの視線が落ちました。あぁ、彼も少しは気にしてくれていたのですね。それが分かっただけでも、私は十分ですよ。
「……起きたのか、メル」
「はい、おはようございます。体調はどうですか?」
腕を緩めてくれたので、私はベッドに腰掛けるように座りました。振り向くとまだ横になったままでしたが、表情はいつものヴォルです。甘えん坊ではなくなりました。あれはあれで貴重な体験でしたが。
私はソッと掌をヴォルの額につけます。ヴォルは大人しく横たわってくれています。
「うん、もう大丈夫そうですね。良かったです、熱が下がったようで」
嬉しくて自然と笑みが溢れました。あれ?何か私を見たヴォル、不自然に視線を逸らしたような気がしますけど。気のせいでしょうか。
「どうかしましたか?」
「……問題ない」
小首を傾げて問い掛けますが、ヴォルはそのまま身体を起こしてしまいました。
……何かベッドの上で二人して座っている今の状況って、親密な関係の男女みたいですね。あ、恋愛物語的なですよ?勿論私には実経験がないので、あくまでも想像の域を出ませんが。
「顔が赤い」
突然ヴォルが頬に触れたので、私は自分の妄想の世界に入っていた事に気付き、非常に恥ずかしくなりました。
「あ、ごめんなさい。だ、大丈夫です。すみません」
慌てて頬を両手で隠しますが、熱くなった顔は中々元に戻りません。
「熱か?」
「あ、ち、違います。大丈夫です」
赤面している理由を聞かれても困るので、私は急いでベッドを降りました。は、話を変えなくてはなりません。えっと、えっと……船っ!
「ふ、船はいつ乗るのですか?」
わざとらしいですが仕方がありません。
「……良いのか、メル」
逆に問い掛けられました。……あ、そう言えばそんな事を言っていましたね。私が行く気になるまで待つとか……、冗談とか熱に浮かされていたからではないのですか。
「でもヴォルは、急いでいたのですよね?」
「……セントラルに行けば、ベンダーツのような人間が大勢いる」
お、大勢……それは嫌ですね。
ヴォルはベッドに腰を掛けたまま、その場を動く事なく私に問い掛けます。
「俺がメルを守ってやれないかもしれない」
あら、随分と弱気な発言ですね。と言うか、守ってくれる気になっていたのですか?確か初めは、『式を挙げたら後は互いに無関心で』的な事を言われていましたよ。
「でもヴォルは、セントラルに戻らなくてはならないのですよね?その為には結婚相手が必要なのですよね?それには期限があって、その為に私が行った方が良いのですよね?」
私は自分にも言い聞かせるように、ゆっくりとヴォルに問い掛けます。それに対し、ヴォルは一つ一つに頷いてくれました。
「それでしたら、私はヴォルと一緒にセントラルに行きます。本当は最初そんな気はなかったのですけど……、ここまで来る間に色々考えました。村にいても経験出来なかった事を知りましたし、ヴォルに恩があります」
「それは……、俺が連れ出したから」
ヴォルの視線が落ちました。あぁ、彼も少しは気にしてくれていたのですね。それが分かっただけでも、私は十分ですよ。
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