86 / 1,558
86 同じ夕陽を見ている
しおりを挟む
アタシが話し終えると、皆、大変だったな、店長大丈夫だといいね、と口々に話しかけてきた。
あの後、二人で一度ふもとに降り、小屋で今後の事を話し合い、アタシは店長と別れ一人で帰ってきた。
真実の花はアタシが持って帰る事になった。
なるべく早く届けた方がいいだろうという事で、まぁ確かにその通りだ。
薬の作り方は店長に教えてもらった。
意外に簡単で、誰でもできそうな感じではあったが、念のためにメモしておいた。
作業に入る前にもう一度確認はしておこうと思う。
なんせ、王妃様の薬だ。万一にも失敗はできない。
皆への報告だが、アタシはジーンに心配をかけないために、一度気を失った事は黙っていた。
ジーンには絶対に心配はかけたくない。
そしてもう一つ、店長個人に関係する事は全て話さなかった。
だから、真実の花は、西側の山頂付近でやっと見つけたという事にしておいた。
東側で起きた事は全て話さないでおこうと思う。
【メアリー】
多分、店長の奥さんの名前だろう。
店長はカエストゥスの人間だと言っていた。奥さんも同じ出身かもしれない。
珍しい名前ではないが、カエストゥス国のメアリーという女性を調べれば、店長の事が何か分かるかもしれないと思った。
でも、やめる事にした。
もう店長の過去を詮索する事はよそう・・・
ボロボロのあの人を、これ以上傷つけてはいけない・・・
自分で言った事だ。もう話さなくていいって。
店長は店長だ。レイジェスの店長だ。それでいいじゃないか。
困った時は、アタシがフォローするから・・・感謝してくださいね・・・
少し話が長引いたので、今日のところはアタシの報告だけでお開きになった。
真実の花は店の金庫で保管する事にした。
セーブをかけておけば、どこに保管しても決して痛まないから花を金庫に閉まっても大丈夫なんだ。
店を出て、空を見上げるともう日が沈みかけ、夕陽が街を赤く染めていた。
早いな・・・陽が短くなるとアタシは物悲しくなる。
「ケイト、どうかした?」
隣に立ったジーンが、そんなアタシを見て顔を向けて来た。
「うぅん、大丈夫だよ・・・ただ、ちょっとだけ・・・この夕陽が寂しかった・・・」
ジーンも夕陽に目をやると、なにかを感じたのかもしれない。
アタシの手を握ってきた。
あの日・・・ボロボロだったアタシの手を握った時のように
「帰ろう・・・僕達の家に」
「・・・うん」
店長・・・
どうか無事に帰って来て下さい
同じ夕陽を見ている店長の心が、どうか穏やかであるように・・・そう願った
あの後、二人で一度ふもとに降り、小屋で今後の事を話し合い、アタシは店長と別れ一人で帰ってきた。
真実の花はアタシが持って帰る事になった。
なるべく早く届けた方がいいだろうという事で、まぁ確かにその通りだ。
薬の作り方は店長に教えてもらった。
意外に簡単で、誰でもできそうな感じではあったが、念のためにメモしておいた。
作業に入る前にもう一度確認はしておこうと思う。
なんせ、王妃様の薬だ。万一にも失敗はできない。
皆への報告だが、アタシはジーンに心配をかけないために、一度気を失った事は黙っていた。
ジーンには絶対に心配はかけたくない。
そしてもう一つ、店長個人に関係する事は全て話さなかった。
だから、真実の花は、西側の山頂付近でやっと見つけたという事にしておいた。
東側で起きた事は全て話さないでおこうと思う。
【メアリー】
多分、店長の奥さんの名前だろう。
店長はカエストゥスの人間だと言っていた。奥さんも同じ出身かもしれない。
珍しい名前ではないが、カエストゥス国のメアリーという女性を調べれば、店長の事が何か分かるかもしれないと思った。
でも、やめる事にした。
もう店長の過去を詮索する事はよそう・・・
ボロボロのあの人を、これ以上傷つけてはいけない・・・
自分で言った事だ。もう話さなくていいって。
店長は店長だ。レイジェスの店長だ。それでいいじゃないか。
困った時は、アタシがフォローするから・・・感謝してくださいね・・・
少し話が長引いたので、今日のところはアタシの報告だけでお開きになった。
真実の花は店の金庫で保管する事にした。
セーブをかけておけば、どこに保管しても決して痛まないから花を金庫に閉まっても大丈夫なんだ。
店を出て、空を見上げるともう日が沈みかけ、夕陽が街を赤く染めていた。
早いな・・・陽が短くなるとアタシは物悲しくなる。
「ケイト、どうかした?」
隣に立ったジーンが、そんなアタシを見て顔を向けて来た。
「うぅん、大丈夫だよ・・・ただ、ちょっとだけ・・・この夕陽が寂しかった・・・」
ジーンも夕陽に目をやると、なにかを感じたのかもしれない。
アタシの手を握ってきた。
あの日・・・ボロボロだったアタシの手を握った時のように
「帰ろう・・・僕達の家に」
「・・・うん」
店長・・・
どうか無事に帰って来て下さい
同じ夕陽を見ている店長の心が、どうか穏やかであるように・・・そう願った
15
あなたにおすすめの小説
【読切短編】転生したら辺境伯家の三男でした ~のんびり暮らしたいのに、なぜか領地が発展していく~
Lihito
ファンタジー
過労死したシステムエンジニアは、異世界の辺境伯家に転生した。
三男。継承権は遠い。期待もされない。
——最高じゃないか。
「今度こそ、のんびり生きよう」
兄たちの継承争いに巻き込まれないよう、誰も欲しがらない荒れ地を引き受けた。
静かに暮らすつもりだった。
だが、彼には「構造把握」という能力があった。
物事の問題点が、図解のように見える力。
井戸が枯れた。見て見ぬふりができなかった。
作物が育たない。見て見ぬふりができなかった。
気づけば——領地が勝手に発展していた。
「俺ののんびりライフ、どこ行った……」
これは、静かに暮らしたかった男が、なぜか成り上がっていく物語。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
元チート大賢者の転生幼女物語
こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。)
とある孤児院で私は暮らしていた。
ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。
そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。
「あれ?私って…」
そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。
迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜
サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。
父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。
そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。
彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。
その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。
「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」
そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。
これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
執事なんかやってられるか!!! 生きたいように生きる転生者のスローライフ?
Gai
ファンタジー
不慮の事故で亡くなった中学生、朝霧詠無。
彼の魂はそのまま天国へ……行くことはなく、異世界の住人に転生。
ゲームや漫画といった娯楽はないが、それでも男であれば心が躍るファンタジーな世界。
転生した世界の詳細を知った詠無改め、バドムス・ディアラも例に漏れず、心が躍った。
しかし……彼が生まれた家系は、代々ある貴族に仕える歴史を持つ。
男であれば執事、女であればメイド。
「いや……ふざけんな!!! やってられるか!!!!!」
如何にして異世界を楽しむか。
バドムスは執事という敷かれた将来へのレールを蹴り飛ばし、生きたいように生きると決めた。
転生したら実は神の息子だった俺、無自覚のまま世界を救ってハーレム王になっていた件
fuwamofu
ファンタジー
ブラック企業で過労死した平凡サラリーマン・榊悠斗は、気づけば剣と魔法の異世界へ転生していた。
チート能力もない地味な村人として静かに暮らすはずだった……が、なぜか魔物が逃げ出し、勇者が跪き、王女がプロポーズ!?
実は神の息子で、世界最強の存在だったが、その力に本人だけが気づいていない。
「無自覚最強」な悠斗が巻き起こす勘違い系異世界英雄譚、ここに開幕!
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる