333 / 1,542
【332 磔(はりつけ)】
しおりを挟む
数十人による上級魔法の一斉攻撃。
パトリックは咄嗟に天衣結界を弥生に向け使ったが、結界はダメージも蓄積するし、耐久力を越えた場合は当然崩壊する。
パトリックの天衣結界ならば、上級攻撃魔法であってもある程度は耐えられる。
だが、あれだけの人数の上級攻撃魔法を一斉に受けては、とても持たない。
逃げ場は無かった。
事前の訓練が伺える程、見事に統率された連携で、上下左右、隙間なく弥生を包囲し魔法を撃つ。
そして巻き添えを避けるため、高速で場を離脱する動きにも淀みが無かった。
光源爆裂弾が大爆発を起こし上空に爆煙が上がる。それは雲も吹き飛ばし、地上のパトリックにも、爆発による荒れた風に叩き付けられる程だった。
灼炎竜の炎が燃やし、爆炎がより強く大きな炎として空を赤く染める。
爆発による風は熱を帯び、火の粉を地上に散らす。
トルネードバーストの竜巻が打ち砕く。
濛々とする爆煙に竜巻がぶつかり、爆煙はさながら炎を帯びた巨大竜巻となった。
竜巻の中では激しい爆音も響かせながら、炎が踊り、荒れ狂う。
たった一人の弥生に向け放たれた攻撃魔法は、街一つ壊滅できるのではと思える程の破壊力を見せた。
あまりに凄まじい威力に、帝国軍もカエストゥス軍も、しばしその光景に釘付けになってしまっていた。
生存は絶望的だろう。
いかに天衣結界でも持たない。弥生の風を使った防御でも凌ぎきれるとは思えない。
「弥生ーッツ!」
パトリックは弥生の名を叫んだが、返事が返って来るはずもなく、ただ茫然とその場に立ち尽くした。
「・・・へへ、終わったな」
「ああ、あれだけ上級魔法を受けて生きてられるわけがねぇ」
「そうだ、俺達の・・・ん?」
まだ収まりそうもなかった爆煙が突如風に吹き飛ばされる。
「な!?なんだ・・・あれ?」
「そんな!?あれだけの攻撃を受けて・・・」
煙を吹き飛ばし現れた弥生を見て、帝国の魔法使い達はその姿に驚き、感じたままの言葉を口にする事しかできなかった。
「・・・こっちの世界に来て、ずっと気になってたんだよね。アタシの中に、なにかすごい力が眠ってるって・・・これかぁー・・・」
弥生の体は眩いばかりの光に包まれていた。
とても力強いその光は、弥生を護るようにその輝きを発している。
「む、無傷だと!?」
「馬鹿な!あ、あれだけの上級魔法を受けて傷一つないのか!?」
「こ、この女、いったい・・・」
弥生は自分の体を見つめていた。
あふれ出る力に弥生は少しの戸惑いも感じていた。
凄まじいな・・・これ程の力が私の中にあったとは・・・
この力が無ければ、あれだけの魔法を防ぐ事はできなかっただろう。
危ないところだった・・・・・
そして、おそらくこの力は私の生命力・・・
これだけのエネルギー、そして体にかかる疲労感・・・あまり長くは持たないな・・・
「・・・一瞬で決めさせてもらう」
帝国兵達が再び攻撃に移ろうと構えたその時、弥生の薙刀から光の刃が放たれた。
「な、いったい何が起こってる!?」
マイリスは、驚きのあまり声を荒げた。
先行させた黒魔法使い達の魔力反応が、一瞬で百以上も消えたのだ。
「あの上級黒魔法の一斉攻撃に耐え、さらに一瞬のうちに、百以上の黒魔法使い達を仕留めたと言うんですか?こ、この敵は一体・・・」
マイリスが言葉を口にしている間にも、帝国黒魔法使いはその数を減らしていっている。
「くっ、このままでは!」
右手人差し指を前に出し、マイリスは指門の筒に魔力を集中させる。
「・・・先行の黒魔法使いが、全滅・・・そして、こっちに向かっている。コイツ、僕の位置まで捉えてますね?」
どうやって探っているかは分からない。
だけど、この敵は何らかの方法で僕の位置を捉えている。この迷いの無い動きは間違いない。
「やっかいな敵ですね。逃げられそうもないし、僕との相性は最悪です。詰められる前に終わらせたいですね・・・」
マイリスは目を細めて神経を集中させる。
体力型である弥生には魔力は無い。だが、研ぎ澄まされたマイリスの感覚は、自分に向けられる殺気を捉え、そこに狙いを付けた。
「指門の筒を使った僕の光源爆裂弾・・・・・受けて見ろ!」
マイリスの指先から強烈な光と共に、膨大な魔力を秘めた破壊のエネルギーが撃ち放たれた。
数百人の帝国の黒魔法使い達を、ほとんど一人で倒した弥生は、そのままマイリスの元に飛んで向かっていた。
「っ!?」
僅かな光が見えたと思った瞬間、弥生の体は強烈な衝撃を受けた。
黒い爆煙が全身から尾を引き、体が打ち上げられる。
「くっ・・・この威力!?」
光を纏った弥生はマイリスの一撃に耐える事はできた。帝国兵数十人の上級魔法でさえ、無傷で防いだ弥生の光の力ならば、一撃でダメージを通す事は無い。
だが、マイリスの魔法の威力は、弥生をその場に踏みとどまらせる事までは許さなかった。
体制を立て直そうと上半身を起こすが、すでに目の前には二発目の光源爆裂弾が迫っていた。
咄嗟に両腕を交差させ身を護るが、再び直撃を受けて、爆発に体を大きく吹き飛ばされる。
「うぐっ!こ、こいつ!?」
マイリスの魔法は弥生の光によって防がれている。
魔法によるダメージはまだ与えられていない。
だが、爆発で吹き飛ばされる衝撃までは無効化する事はできない。
少なからず、弥生は体に痛みを感じ始めた。
そして、弥生が吹き飛ばされた先に、マイリスの光源爆裂弾が三度直撃する。
「ぐっ・・あぁっ!こ、こい・・・つ!まち、がい・・ない!ア、アタシを・・・」
アタシをこのまま磔にするつもりだ。
吹き飛ばされる。体制を立て直そうとすると、追撃にまたも吹き飛ばされる。
抜け出せないマイリスの正確無比な連続攻撃に、弥生はなすすべなく撃たれるままになっていた。
「ずいぶん防御力が高いようですけど・・・もう、お終いですよ。僕は絶対に外しません」
この指の先の相手こそが、カエストゥスの指揮官クラス、中心人物だろう。
何をやって防いでいるのか分からない。結界の魔道具を大量に持っているのかもしれない。
だが、そんな事はどうでもいい。
「死ぬまで撃ち続けるだけです」
氷のように冷たい微笑を浮かべ、マイリスは指先から魔法を放った。
パトリックは咄嗟に天衣結界を弥生に向け使ったが、結界はダメージも蓄積するし、耐久力を越えた場合は当然崩壊する。
パトリックの天衣結界ならば、上級攻撃魔法であってもある程度は耐えられる。
だが、あれだけの人数の上級攻撃魔法を一斉に受けては、とても持たない。
逃げ場は無かった。
事前の訓練が伺える程、見事に統率された連携で、上下左右、隙間なく弥生を包囲し魔法を撃つ。
そして巻き添えを避けるため、高速で場を離脱する動きにも淀みが無かった。
光源爆裂弾が大爆発を起こし上空に爆煙が上がる。それは雲も吹き飛ばし、地上のパトリックにも、爆発による荒れた風に叩き付けられる程だった。
灼炎竜の炎が燃やし、爆炎がより強く大きな炎として空を赤く染める。
爆発による風は熱を帯び、火の粉を地上に散らす。
トルネードバーストの竜巻が打ち砕く。
濛々とする爆煙に竜巻がぶつかり、爆煙はさながら炎を帯びた巨大竜巻となった。
竜巻の中では激しい爆音も響かせながら、炎が踊り、荒れ狂う。
たった一人の弥生に向け放たれた攻撃魔法は、街一つ壊滅できるのではと思える程の破壊力を見せた。
あまりに凄まじい威力に、帝国軍もカエストゥス軍も、しばしその光景に釘付けになってしまっていた。
生存は絶望的だろう。
いかに天衣結界でも持たない。弥生の風を使った防御でも凌ぎきれるとは思えない。
「弥生ーッツ!」
パトリックは弥生の名を叫んだが、返事が返って来るはずもなく、ただ茫然とその場に立ち尽くした。
「・・・へへ、終わったな」
「ああ、あれだけ上級魔法を受けて生きてられるわけがねぇ」
「そうだ、俺達の・・・ん?」
まだ収まりそうもなかった爆煙が突如風に吹き飛ばされる。
「な!?なんだ・・・あれ?」
「そんな!?あれだけの攻撃を受けて・・・」
煙を吹き飛ばし現れた弥生を見て、帝国の魔法使い達はその姿に驚き、感じたままの言葉を口にする事しかできなかった。
「・・・こっちの世界に来て、ずっと気になってたんだよね。アタシの中に、なにかすごい力が眠ってるって・・・これかぁー・・・」
弥生の体は眩いばかりの光に包まれていた。
とても力強いその光は、弥生を護るようにその輝きを発している。
「む、無傷だと!?」
「馬鹿な!あ、あれだけの上級魔法を受けて傷一つないのか!?」
「こ、この女、いったい・・・」
弥生は自分の体を見つめていた。
あふれ出る力に弥生は少しの戸惑いも感じていた。
凄まじいな・・・これ程の力が私の中にあったとは・・・
この力が無ければ、あれだけの魔法を防ぐ事はできなかっただろう。
危ないところだった・・・・・
そして、おそらくこの力は私の生命力・・・
これだけのエネルギー、そして体にかかる疲労感・・・あまり長くは持たないな・・・
「・・・一瞬で決めさせてもらう」
帝国兵達が再び攻撃に移ろうと構えたその時、弥生の薙刀から光の刃が放たれた。
「な、いったい何が起こってる!?」
マイリスは、驚きのあまり声を荒げた。
先行させた黒魔法使い達の魔力反応が、一瞬で百以上も消えたのだ。
「あの上級黒魔法の一斉攻撃に耐え、さらに一瞬のうちに、百以上の黒魔法使い達を仕留めたと言うんですか?こ、この敵は一体・・・」
マイリスが言葉を口にしている間にも、帝国黒魔法使いはその数を減らしていっている。
「くっ、このままでは!」
右手人差し指を前に出し、マイリスは指門の筒に魔力を集中させる。
「・・・先行の黒魔法使いが、全滅・・・そして、こっちに向かっている。コイツ、僕の位置まで捉えてますね?」
どうやって探っているかは分からない。
だけど、この敵は何らかの方法で僕の位置を捉えている。この迷いの無い動きは間違いない。
「やっかいな敵ですね。逃げられそうもないし、僕との相性は最悪です。詰められる前に終わらせたいですね・・・」
マイリスは目を細めて神経を集中させる。
体力型である弥生には魔力は無い。だが、研ぎ澄まされたマイリスの感覚は、自分に向けられる殺気を捉え、そこに狙いを付けた。
「指門の筒を使った僕の光源爆裂弾・・・・・受けて見ろ!」
マイリスの指先から強烈な光と共に、膨大な魔力を秘めた破壊のエネルギーが撃ち放たれた。
数百人の帝国の黒魔法使い達を、ほとんど一人で倒した弥生は、そのままマイリスの元に飛んで向かっていた。
「っ!?」
僅かな光が見えたと思った瞬間、弥生の体は強烈な衝撃を受けた。
黒い爆煙が全身から尾を引き、体が打ち上げられる。
「くっ・・・この威力!?」
光を纏った弥生はマイリスの一撃に耐える事はできた。帝国兵数十人の上級魔法でさえ、無傷で防いだ弥生の光の力ならば、一撃でダメージを通す事は無い。
だが、マイリスの魔法の威力は、弥生をその場に踏みとどまらせる事までは許さなかった。
体制を立て直そうと上半身を起こすが、すでに目の前には二発目の光源爆裂弾が迫っていた。
咄嗟に両腕を交差させ身を護るが、再び直撃を受けて、爆発に体を大きく吹き飛ばされる。
「うぐっ!こ、こいつ!?」
マイリスの魔法は弥生の光によって防がれている。
魔法によるダメージはまだ与えられていない。
だが、爆発で吹き飛ばされる衝撃までは無効化する事はできない。
少なからず、弥生は体に痛みを感じ始めた。
そして、弥生が吹き飛ばされた先に、マイリスの光源爆裂弾が三度直撃する。
「ぐっ・・あぁっ!こ、こい・・・つ!まち、がい・・ない!ア、アタシを・・・」
アタシをこのまま磔にするつもりだ。
吹き飛ばされる。体制を立て直そうとすると、追撃にまたも吹き飛ばされる。
抜け出せないマイリスの正確無比な連続攻撃に、弥生はなすすべなく撃たれるままになっていた。
「ずいぶん防御力が高いようですけど・・・もう、お終いですよ。僕は絶対に外しません」
この指の先の相手こそが、カエストゥスの指揮官クラス、中心人物だろう。
何をやって防いでいるのか分からない。結界の魔道具を大量に持っているのかもしれない。
だが、そんな事はどうでもいい。
「死ぬまで撃ち続けるだけです」
氷のように冷たい微笑を浮かべ、マイリスは指先から魔法を放った。
0
あなたにおすすめの小説
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
神スキル【絶対育成】で追放令嬢を餌付けしたら国ができた
黒崎隼人
ファンタジー
過労死した植物研究者が転生したのは、貧しい開拓村の少年アランだった。彼に与えられたのは、あらゆる植物を意のままに操る神スキル【絶対育成】だった。
そんな彼の元に、ある日、王都から追放されてきた「悪役令嬢」セラフィーナがやってくる。
「私があなたの知識となり、盾となりましょう。その代わり、この村を豊かにする力を貸してください」
前世の知識とチートスキルを持つ少年と、気高く理知的な元公爵令嬢。
二人が手を取り合った時、飢えた辺境の村は、やがて世界が羨む豊かで平和な楽園へと姿を変えていく。
辺境から始まる、農業革命ファンタジー&国家創成譚が、ここに開幕する。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
空を翔ける鷲医者の異世界行診録
川原源明
ファンタジー
異世界に飛ばされた外科医は、何故か巨大な鷲の姿で目を覚ました。
手術道具も病院もない世界で、彼は鋭い嘴と翼、そして医者としての知識を武器に、人助けと旅を続けることになる。
港町での診療や救助活動の最中、彼は裏社会に暗躍する組織――黒羽同盟の存在を知る。
些細な事件をきっかけに彼らの計画を阻み、やがて同盟幹部“刺青の男”との因縁が芽生える。
仲間の戦士バルグ、薬師リィナと共に各地を巡りながら、黒羽同盟の毒物流通や破壊工作を次々と阻止していく鷲医者。
だが、阻止するたびに組織の敵意は強まり、陰謀はより大きく、危険な形で彼らの旅路に絡みついていく――。
異世界の空を翔ける空飛ぶ医者と仲間たちの戦いは、いま大陸屈指の商業都市ヴァルメリアを舞台に、
黒羽同盟との避けられぬ衝突へと静かに加速していた。
冴えない経理オッサン、異世界で帳簿を握れば最強だった~俺はただの経理なんだけどな~
中岡 始
ファンタジー
「俺はただの経理なんだけどな」
ブラック企業の経理マンだった葛城隆司(45歳・独身)。
社内の不正会計を見抜きながらも誰にも評価されず、今日も淡々と帳簿を整理する日々。
そんな彼がある日、突然異世界に転生した。
――しかし、そこは剣も魔法もない、金と権力がすべての世界だった。
目覚めた先は、王都のスラム街。
財布なし、金なし、スキルなし。
詰んだかと思った矢先、喋る黒猫・モルディと出会う。
「オッサン、ここの経済はめちゃくちゃだぞ?」
試しに商店の帳簿を整理したところ、たった数日で利益が倍増。
経理の力がこの世界では「未知の技術」であることに気づいた葛城は、財務管理サービスを売りに商会を設立し、王都の商人や貴族たちの経済を掌握していく。
しかし、貴族たちの不正を暴き、金の流れを制したことで、
王国を揺るがす大きな陰謀に巻き込まれていく。
「お前がいなきゃ、この国はもたねえぞ?」
国王に乞われ、王国財務顧問に就任。
貴族派との経済戦争、宰相マクシミリアンとの頭脳戦、
そして戦争すら経済で終結させる驚異の手腕。
――剣も魔法もいらない。この世を支配するのは、数字だ。
異世界でただ一人、"経理"を武器にのし上がる男の物語が、今始まる!
ショボい人生のやり直し?!絶対に消えたくないので真逆の人生でポイント貯める
亀野内アンディ
ファンタジー
「佐藤さんはお亡くなりになりました」
「え?」
佐藤竜、独身リーマン。ビルの倒壊で享年(40)案内役に連れられ天へと向かうが⋯⋯⋯⋯
「佐藤竜はさぁ、色んな世界でも特に人気の高い地球の日本に産まれて一体何を成し遂げたの?」
「え?」
「五体満足な体。戦いの無い安全な環境で育ち、衣食住は常に満たされて、それで何をしたの?」
俺は恵まれた環境であまりにもショボい人生を送っていたらしい。このままでは⋯⋯⋯⋯
「はぁ。どうしようかな。消すかな」
「な、何をですか?!」
「君を」
「怖いです!許して下さい!」
「そう?消えれば無に還れるよ?」
「お、お願いします!無は嫌です!」
「う~ん。じゃあ君は佐藤と真逆の人生を歩ませようかな?そこで人生経験ポイントを佐藤の分まで貯めなよ?佐藤とこれから転生する君の二人分の体験だよ?失敗したら今度こそは無にするからね」
「はい、死ぬ気で頑張ります!!」
ここから真逆の人生で経験ポイント貯める佐藤の戦いが始まる?!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる