異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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【337 エロールとフローラ①】

「敵の指揮官は、ルシアン・クラスニキか・・・ジョルジュにボコられたヤツだよな?」

エロールが眉を上げ、書類に目を通しながら誰にともなく呟く。

砦の一室では、指揮官、部隊長クラスの人間が集まり、対策会議が開かれていた。

「そう、指揮官は帝国軍第二師団長、ルシアン・クラスニキ。王位継承の儀でウィッカーとジョルジュの二人が戦った男って聞いてる。これは二人から聞いた話しだけど、あの男はナパームインパクトという技を使う。ヤツの鎧の両肩に尖った角が付いていて、それを炎の精霊の力で発火させ大爆発を起こすらしい」

縦長で大型のテーブルでは、全員を見渡せるように端の真ん中に位置しているペトラが、立ち上がって敵の能力について説明していた。

「あ、あれですね?皇帝の光源爆裂弾程じゃないけど、その前にもすごい爆発がありましたよね?」

エロールの隣に座るフローラが、思い出したように両手を合わせる。

「そう。あれは私も見たわ。その爆発がルシアンのナパームインパクトよ」

フローラの向かいに座るエリンが、断定して言い切る。

「あぁ、私もエリンも、ジョルジュから詳しく話しを聞いているから、最初の爆発がナパームインパクトというのは聞いているんだ」

補足するようにペトラが口添えをすると、フローラは、なるほど、と言い頷いた。

「それで、ルシアンの野郎はまだ出てこねぇのか?」

「あぁ、今はまだ出て来ていない。様子を見ているのか、半端な攻撃をしかけてきては、ある程度の反撃を受けては撤退を繰り返している。いまいち考えが読めない」

ペトラは首を傾げるが、エロールはやや難しい顔で何事かを考えている。

「・・・先輩?どうしたんですか?」

フローラが顔を覗き込むが、エロールは一瞥にせず、そのまましばらく考えこみ、やがて納得がいったように、そうか、と呟いた。

「おーい、せんぱーい、聞こえますかー?」

「うっせぇぞクセッ毛、邪魔だ」

顔の前で手を振るフローラを面倒くさそうに睨むと、エロールはペトラに顔を向けた。

「おう、連中の考えが分かった。その小競り合いだが、今回で何度目だ?」

「ん、今回で4度目だな。それがどうした?」

ペトラが回数を答えると、エロールは得心がいったように、なるほど、と頷いた。

「・・・エロール君、どうしたというのだ?回数で何か分かったのか?」

エリンが話しを促すように手の平を向けると、エロールはペトラとエリンの顔を交互に見た後、同席している部隊長クラスの兵士達にも顔を向け話し始めた。

「あぁ、おそらく次かその次あたりだな、本腰を入れて攻めて来る。これまでと同じ、どうせすぐ撤退するだろうと考えてたら・・・負けるぞ」


「・・・そう考えた理由を教えてくれないか?」

エロールの考えの根拠を求めるエリンに対し、エロールはよどみなく答える。

「今俺が言った通りだ。もう四回も繰り返して、そろそろこっちの兵士も帝国のやり口に慣れただろ?ドロストなんて見張りさぼってる始末だ。そうしてこっちの気が緩んだところで一網打尽にする腹積もりなんだよ」

エロールの推測を聞き、室内にざわめきがおきる。
そのどれもが、概ねエロールの考えに肯定の意を持っており、エロールの推測を軸に話しを進めていく事になった。



「・・・よし、では敵が次に仕掛けて来た時は、こちらも全力で当たるよう、各部隊へ指示を出しておけ。確かに前回、前々回は少し緊張感が薄かったようにも見える。気を引き締め直して取り組むようにな」


会議が終わると各々が資料を手に、お互いの部隊についてや、今の会議のついての話をしながら、退室して行く。

「先輩、よく帝国の狙いが分かりましたね?さすがです」

エロールが席を立つと、それに続いてフローラも立ち上がり声をかける。

「大した事じゃねぇよ。ちょっと想像力を働かせりゃ分かる事だ」

ぶっきらぼうに答え、自分のペースでスタスタと部屋を出て行くが、フローラは当然のようにその後ろを着いて行く。

「・・・おいクセッ毛」

「無造作ヘアです」

「なんで着いてくんだよ?」

「先輩がたまたま私の前を歩いているだけです」

前を向いたまま話していたエロールだが、そこでピタリと足を止め振り返る。


「おい、ふざけてねぇでちゃんとしろ。女のお前の部屋は俺と逆方向だろ?それと、お前も部隊長なんだから、さっさと今の会議の話しを自分の隊に伝えてこい」

「あ、その・・・はい。すいませんでした」

いつもの軽口をきこうとしたが、エロールの目が本気だと察すると、フローラは頭を下げてエロールに背中を向けた。


「・・・おい、クセッ毛」

「え、あ、はい・・・なんですか?」

とぼとぼと肩を落として歩いて行くフローラの背中を見て、エロールが呼び止めると、フローラは眉を下げて落ち込んだ顔で振り返る。

「・・・夕食はなんだ?」

「・・・え?」

「今日の夕食だ。俺の分はないのか?」

「・・・せ、先輩!あります!もちろんありますよ!えっと、先輩シチュー好きでしたよね?夕食はシチューです!私の部屋でいいですか?」

喜びを隠さず体全体で表現するフローラを見て、エロールは、フッと笑い軽く頷くと、それ以上は何も言わずに背を向けた。

「せーんぱーい!私、ちゃんと仕事やりますからね!お腹空かせて来てくださいよー!」


背中にかけられる声に、エロールは軽く手を上げて応えた。
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