異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
339 / 1,576

【338 エロールとフローラ②】

「ご馳走様・・・」

手を合わせてスプーンを置き、皿を持って立ち上がると、フローラが、いいですよ、と言いながらエロールから皿を受け取りキッチンへ持って行く。

「片づけくらいやるぞ」

エロールが言葉をかけると、フローラはチラリと顔を向け笑って見せた。
くつろいでいるが、エロールもフローラも、白のパイピングに深緑色のローブという、いつもの白魔法使いの服装で過ごしている。

これは、現在の状況を考えての事だ。
敵がいつ攻めて来るかわからないから、こうしていつでも出られるように控えているに過ぎない。

「いいですよ。あ、先輩はカフェオレでしたよね?座って待っててください」

「そうか、何から何まで悪いな」

イスに腰を下し、部屋を見回す。
ブローグ砦内には、部隊長、指揮官クラスにだけ分け与えられた個室がある。
備えは、最低限の料理が作れるキッチンと、シングルベット、そしてイスとテーブルがあるだけだが、
平の兵士が大部屋という事を考えれば、贅沢と言える待遇だ。

「俺の部屋とほとんど同じ作りだな」

「そりゃそうですよ、結局は砦の個室なんですから、はいどうぞ」

カップを受け取り一口含む。ほんのりとした甘さと温かさに、ほっと息を付く。

「・・・美味いな」

「甘さ、それくらいで丁度良かったですよね?」

「あぁ、このくらいでいい」

「クッキーもありますよ。先輩、チョコとか何も入ってない普通のクッキーが好きでしたよね?」

「あぁ、それが好きなんだ」

エロールがクッキーをかじり、カフェオレを飲む。
フローラは正面に座り、ニコニコと満足気にその様子を見ている。

「・・・なぁ、クセッ毛」

「無造作ヘアですけど、なんですか?先輩」

「お前・・・戦えるか?」

チラリとフローラに目を向け、エロールが探るようにその言葉を口にすると、フローラの表情が曇った。

「・・・はい、私も部隊長に任命されてから、戦う覚悟は決めてきました。怖いですけど・・・頑張ります」

「・・・・・そうか」

エロールは腰を上げると、脇に置いていた紙袋を手に取りフローラの前に置いた。

「やるよ」

「え!せ、先輩が・・・私にプレゼントですか?」

フローラは目を開き、目の前の紙袋と、エロールの顔を何度も交互に見る。

「・・・驚き過ぎだ。ったく、話しが進まねぇな・・・ほら、これだ」

エロールはフローラの隣に腰を下すと、紙袋の中からマフラーを取り出し、フローラの首に巻いていく。

「え!えぇっ!?ちょっ、せ、せんぱい!・・・あ、これって?」

「俺と同じ魔道具、反作用の糸だ・・・と言っても、俺のと全く同じ効果があるわけじゃない。お前の今のレベルじゃ、攻撃も防御も全部使いこなすのは負担がでかすぎる。だから、防御だけだ。いいかクセッ毛、この反作用の糸がどんな攻撃からもお前を護る。だから安心しろ」

エロールに巻いてもらったマフラーの魔道具、反作用の糸を手に取り見つめるフローラ。
その口元が喜びでほころんでいく。

「・・・嬉しいです。先輩が編んでくれたんですよね?」

「俺以外に誰が編めんだよ?」

「先輩と同じ水色だ・・・えへへ」

「・・・あ~、他に糸が無かったからな」

「先輩、私・・・怖くなくなりました」

「おぅ、そりゃ良かった。・・・んじゃ、俺はそろそろ行くぞ」


エロールが立ち上がると、フローラが袖を掴み、エロールを引き留める。

「ん、どうした?」

「もう、帰っちゃうんですか?」

「・・・ん?食事もしたし、マフラーも渡したし、あと帰るしかないだろ?」

「・・・先輩って、ほんっとーに先輩ですよね?」

「なに言ってんだお前?」

エロールが心底理解できないという顔で首を傾げると、フローラは、もういいです!と少し強く言い、エロールの背中を押して部屋から追い出した。

「痛ってぇーなぁ!クセッ毛!お前本当になんなんだよ!?」

「先輩はもっと女心を勉強してください!」

バタン!と、勢いよくドアを閉められると、エロールは頭をぽりぽりとかきながら、わけわかんねぇ、と呟きフローラの部屋から離れる。


「先輩!なんでそこで帰るんですか!」
「あ!?」
今度は、バン!と、勢いよくドアが開き、口をへの字に曲げたフローラが顔を出す。

「普通、ドアの前で必死に謝って、なんとか機嫌直してもらおうと頑張るとこですよ!」
「あぁ!?お前何言ってんだ!?」
「もぅ!本当に先輩ですね!もういいです!じゃあ、早く入ってください!」
「いやいや、なんで?食ったし渡したし、あと何もする事ねぇよな!?」
「まだ七時じゃないですか!用事がないなら私の部屋でお話ししましょうよ!」
「なんで用事ねぇって決めつけてんだよ!」
「あるんですか!?」
「ねぇよ!」
「じゃあ私と一緒にいればいいじゃないですか!先輩、私の事嫌いなんですか!?」


「え?い、いや、そんな事ねぇけど・・・」

「・・・じゃあ、一緒にいてくださいよ・・・」

俯きながらエロールの前まで来ると、フローラはエロールの袖を摘まんだ。


「・・・面白い話しとか、なにも知らねぇぞ?」

「・・・先輩、ここは余計な事言わないで、ぎゅっとするとこですよ?」

「あぁ?なに言ってんだお前?」

「・・・もういいです。ほら、早く入ってください」

「はぁ~、わぁったよ。もうちょっと付き合うわ・・・」

エロールは諦めたように大きく息をつくと、フローラに袖を引かれ部屋に戻って行った。
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!

TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。 その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。 競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。 俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。 その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。 意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。 相変わらずの豪華客船の中だった。 しかし、そこは地球では無かった。 魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。 船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。 ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ…… 果たして、地球と東の運命はどうなるの?

スーパーのビニール袋で竜を保護した

チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。 見つけ次第、討伐――のはずだった。 だが俺の前に現れたのは、 震える子竜と、役立たず扱いされたスキル―― 「スーパーのビニール袋」。 剣でも炎でもない。 シャカシャカ鳴る、ただの袋。 なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。 討伐か、保護か。 世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。 これは―― ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

[完]異世界銭湯

三園 七詩
ファンタジー
下町で昔ながらの薪で沸かす銭湯を経営する一家が住んでいた。 しかし近くにスーパー銭湯が出来てから客足が激減…このままでは店を畳むしかない、そう思っていた。 暗い気持ちで目覚め、いつもの習慣のように準備をしようと外に出ると…そこは見慣れた下町ではなく見たことも無い場所に銭湯は建っていた…