異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
440 / 1,558

439 北西の塔 決着

しおりを挟む
「・・・・・う・・・ん・・・」

「バルデス様、気が付きましたか?」

目を開けると、見慣れたキツイ目の女の顔が映った。

「・・・サリー、私は・・・?」

体を起こそうとすると、額に手をあてられ押さえられてしまう。

「バルデス様、20分程ですが気を失っておりました。折れた顎と右腕は治療致しましたが、どうかもうしばらくはこのままお休みください」

見上げる形でサリーの顔が目の前にある事から、自分がどういう姿勢かを理解する。

膝枕など初めてされたが、そう言えばサリーは、スキンシップは恥ずかしがらないところがあったな。


20分・・・気を失っていたのか・・・

だんだんと意識がハッキリしてくるが、自分がなぜ気を失っていたのか思い出せない。



「もう大丈夫?なら、話していい?」

声のした方に顔を向けると、私達から少し離れて、さっきまで戦っていた青魔法の男と、白魔法の女が床に座って私を見ていた。


「・・・貴様ら・・・あぁ、そうか・・・私は、負けたのか」

気を失っていた自分と、座っている彼らを見て、この戦いの勝者がどちらかを理解した。

「バルデス様、申し訳ありません。大障壁は・・・」

「サリー・・・気にするな。勝者は彼らだ」

私が倒れた後、大障壁を渡したのだろう。
おそらく私を護るためだ。そうでなければ、敗者の私がこうものんびり寝ていられるわけがない。


まだ私の体を気にかけるサリーを止めて、私は体を起こし彼らに向き直った。

「・・・いまいち記憶がハッキリしないが、どうやら私は負けたようだな。大障壁は貴様達の好きにすればいい。破壊すればこの塔からの結界は消える」

「最後、なんで撃たなかったの?ハッキリ言えば、アタシ達はあんたが手加減してたから勝てた。勝ちを譲られたと言っていい。何考えてんの?」

私の話しなど聞く気もないのか、女は自分の知りたい事だけを問いかけてきた。
まったく、ずいぶん面白いヤツだ。

「・・・おい、なんで笑う?顎にもう一発食らわせるぞ?」

自分でも気づかないうちに笑っていたようだ。
白魔法使いの女が拳を握り腰を上げたので、私は手を前に出してそれを制する。

顎にもう一発・・・そう言えば私はあの最後の瞬間、この女が突然目の前のから消えて、一瞬のうちに懐に入られていたのでは・・・・・


「あぁ、待て待て。貴様らを馬鹿にしたわけではない。少しばかり、面白い連中だと思っただけだ。目的の物はサリーが渡したのだろう?さっさと破壊してここを出て行けばいい。それなのにわざわざ私が起きるまで待って、なにかと思えばそんな事を聞いてくるのだから、つい・・・な」

そう話すと、白魔法使いの女は特に表情を変える事もなく、起こした腰をまた床に下ろした。
納得したのか分からないが、とりあえず話しはできそうだ。


「・・・それで、手加減の理由か?そうだな、貴様らも気付いているだろうが、この塔を破壊する訳にはいかない。私が全力で魔法を放てば、この塔が耐えられんからな。魔道具大障壁は、この塔から外に出しても使用する事は可能だ。だが、この塔は見張りの役割もある。いよいよとなればしかたないかもしれんが、できるだけ破壊したくはなかった。まぁ、もし敵が私以上の魔力をもっていて、他国からの侵入者だったとすれば、私はこの塔を破壊してでも倒す気持ちはあった。だが、貴様らの魔力は私に遠く及ばない。半分の魔力で倒せるくらいだ。そういう事だ」

「・・・それだと答えの半分。もう半分に答えていない。なんで最後撃たなかった?」


「・・・なんの事だ?」

白魔法使いの女が睨んでくるが、私は視線を逸らさずにその目を見返した。
緊張感のある沈黙に、場の空気が張り詰めて来る。

「・・・バルデス様、私も知りたいです。あの時バルデス様は、撃てたのに撃たなかった。確かに迷っておられました。なぜでしょうか?」

「サリー・・・」

遠慮がちに訊ねているが、こういう時のサリーは、納得のいく説明がない限り引く事はない。

全く、面倒な侍女が付いたものだ・・・・・


「・・・・・お前達と戦って、少しだけ迷った。私は国王からお前達は国賊だと聞いていた。王妃様と王女様を言葉巧みに操り、国家を転覆させようとする悪党だとな。さすがにその言葉全てを真に受けたわけではないが、国王がそこまで言うのだから、始末せねばならない敵だとは思っていた。だが・・・・・正直分からなくなった。お前達の戦いには正義がある。とても国家転覆なんて考える愚か者には見えん。そう考えたら、撃てなかった・・・・・」


「ふ~ん・・・・・なかなか見る目のある男。今日はこのくらいで勘弁してあげる」

私が話し終えると、白魔法の女は満足したように腕を組んで頷き、隣の青魔法の男へ顔を向けた。


「ジーン、私は納得した。嘘を言ってるようにも見えないし、この男とはもう戦う理由は無い。大障壁も壊してしまおう」

「あぁ、僕もそう思うよ。ちょっと死にかけたけど、平和的に終わってなによりだ」

青魔法使いの男は、手にしていた十数センチ程の銀のプレート、大障壁を頭の上くらいの高さに軽く放る。すると、次の瞬間プレートは真っ二つに斬り裂かれ落ちた。二つになったプレートが床にぶつかり、それぞれ金属音を響かせる。


「・・・仲間がいるんだろ?まだ他三つの大障壁は解けていないようだ。加勢に行くのか?」

女と男が立ち上がったのを見て声をかける。

「いや、僕達の役目はここまでだ。まぁ、後は仲間達がなんとかしてくれる。信じて待つさ」

「そうか・・・だが、塔を降りて戻るのなら、一つ忠告しておこう。私と戦ったお前達は運がいい。他三人の四勇士は、私のように甘くはない。気を付ける事だ・・・えぇと」


「ん?・・・あぁ、僕はジーン、こっちはユーリだ。覚える気になってくれたようで嬉しいよ」

それじゃ、そう言い残してジーンとユーリは部屋を出て行った。




「・・・バルデス様、大障壁を渡した私が言う事ではないかもしれませんが・・・本当によろしかったのですか?」

屈んで真っ二つになった銀のプレートを拾うと、サリーは私の顔を見ずに小さな声で聞いてきた。自分の行いが間違っていたのでは、そう感じているような不安そうな声だった。

「・・・サリー、気にするなと言っただろ?私を護るために渡したという事は分かっている。それに、今話したように迷いが出た。残る塔はあと三つ・・・彼らがどこまでやれるのか見て見たくなったよ。もし、国王の言葉が偽りであるのならば・・・・・考えなくてはならない」

私は自分の雷で空けた天井の大穴から空を見上げた。
冷たく心地の良い風が肌に触れる。

「・・・青い、綺麗な空ですね」

隣に立ったサリーが、空を見上げてポツリと呟く。


「・・・サリー、もし私が・・・この塔を降りるとしたら・・・どうする?」

少しだけ首を動かし、隣に立つサリーに目を向けた。


サリーはゆっくりと私に顔を向けると、目を細め、まるでおかしな事を聞かれたと言うようにクスリと笑った。


「ふふ・・・ご一緒するに決まってるじゃないですか?」


「・・・サリー、ありがとう」

「ふふ・・・変なバルデス様ですね」


サリーがこの塔に来てから五年。
ここから外を見るだけの何もないモノクロの生活に、温もりと笑顔と言う色が付いた。






「ジーン、休もう」

最上階の部屋を出て、螺旋階段を一段一段ゆっくりと降りている。
アタシは前を行くジーンの背中に声をかけた。

「・・・ユーリ、疲れたのかい?」

「アタシじゃない。ジーンが疲れている。座って。少し休憩する」

そう言ってアタシはジーンの返事を待たずに石段に座り、休む意思を態度で表した。
ジーンはそんなアタシを見て小さく息を付くと、ごめんね、と呟いてアタシの一段前にゆっくりと腰を下ろした。

「ジーン、けっこう危なかった。血もいっぱい出てたし、回復してもまだ満足に動けるはずがない。アタシ達はやり遂げた。だから降りるのはゆっくりでいい」

「・・・心配かけたね。うん、実はね、まだ足にあまり力が入らないんだ。最後の雷には全魔力を込めて天衣結界を張ったけど、それでも防ぎきれなかった。しかもあれでもまだ全力じゃないんだ・・・本当に雲の上の強さだったよ・・・ユーリ、助けてくれてありがとう。キミと組んで良かった」

「・・・助けてもらったのはアタシ。ジーンが護ってくれたから、アタシは怪我一つしなかった。ジーンは最後までアタシを護ってくれた。ありがとうジーン」

素直な気持ちを伝えると、ジーンは優しく微笑んだ。

「じゃあ、僕達はお互いに助け合えたって事だね」


・・・ジーンは優しい。言葉の一つ一つに思いやりが感じられる。
ケイトが好きになるのも分かる気がする。

それからアタシ達はもう少しだけ休んで、ジーンの体力が回復した頃を見て階段を降りた。

残る塔はあと三つ。

アタシはみんなが無事に帰って来る事を祈った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

異世界レストラン・フェルマータ ~追放料理人の俺、神の舌で世界を喰らう~

たまごころ
ファンタジー
王都の五つ星料理店を追放された若き料理人カイ。理不尽な仕打ちに絶望しかけたその瞬間、彼は異世界で目を覚ます。 そこは「味覚」が魔力と結びついた世界──。美味を極めれば魔力が高まり、料理は民を癒やし、王すら跪く力を持つ。 一介の料理人だったカイは、神の舌「フェルマータ」の力に目覚め、貧しい村に小さな食堂を開く。 だがその料理は瞬く間に世界を変え、王侯貴族、聖女、竜姫、女勇者、果ては神々までが彼の皿を求めるようになる。 追放された男の、料理と復讐と愛の異世界成り上がり劇、ここに開店!

本の知識で、らくらく異世界生活? 〜チート過ぎて、逆にヤバい……けど、とっても役に立つ!〜

あーもんど
ファンタジー
異世界でも、本を読みたい! ミレイのそんな願いにより、生まれた“あらゆる文書を閲覧出来るタブレット” ミレイとしては、『小説や漫画が読めればいい』くらいの感覚だったが、思ったよりチートみたいで? 異世界で知り合った仲間達の窮地を救うキッカケになったり、敵の情報が筒抜けになったりと大変優秀。 チートすぎるがゆえの弊害も多少あるものの、それを鑑みても一家に一台はほしい性能だ。 「────さてと、今日は何を読もうかな」 これはマイペースな主人公ミレイが、タブレット片手に異世界の暮らしを謳歌するお話。 ◆小説家になろう様でも、公開中◆ ◆恋愛要素は、ありません◆

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

処理中です...