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471 炎と虹
「どうしました!?どうしました!?ゴールド騎士とはこの程度なのですか!?期待外れですねぇぇぇー!」
ナイフを両手持ちにしたマルコスの攻撃に、フェリックスは防戦一方を余儀なくされていた。
かろうじて致命傷は避けているが、頬を、腕を、足を斬りつけられ、その体は血まみれの赤に染まっている。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「おや、だいぶ息があがってきたようですね。そろそろ限界ですか?」
マルコスの圧力に壁際まで下がらされたフェリックスは、幻想の剣を両手で持ち構えた。
「なにか奥の手があるのでしたら、悔いを残さぬよう今お出しなさい。あなたが相手にしている男は、マルコス・ゴンサレスですよ。温存したまま勝てると思わない事です」
余裕の笑みを浮かべるマルコスを前にして、フェリックスは幻想の剣の切っ先をマルコスに向けた。
「・・・言ってくれるね、なら見せてあげるよ。ゴールド騎士の全力を!」
気合と共にフェリックスの体から放たれる闘気が広間全体を揺るがし、幻想の剣からは虹色の光が眩い程に放たれた。
瞬間、戦いを見ていたアラタの目から、マルコスの姿が消え、一瞬遅れて反対側の壁が崩壊する大きな音が響き渡った。
音に反応し振り返ると、崩れ落ちた壁に埋もれ、マルコスが仰向けに倒れている姿が目に映り、一瞬であそこまで吹き飛ばされたのだと理解する。
「どうだ!これがゴールド騎士の力だ!あまり調子に乗るなよ!」
幻想の剣の切っ先には、虹色の光が渦を巻くように集中している。
フェリックスはいまだ倒れたままのマルコスに対し剣先を向けると、気合と共に虹色の波動を撃ち放った。
球状になった巨大な虹色の光が、マルコスに直撃しそのまま壁をも粉砕する。
「くっ、エリザ様!」
爆風がアラタとエリザにも届き、アラタはとっさにエリザの前に立ち、体を盾にしてかばった。
「ゲホッ、アラタさん、す、すみませ、ん」
咳き込み、煙に目をつむるエリザを見て、アラタは魔法使いの体力を感じとった。
エリザの魔力は高い。
体力型のアラタでは正確な魔力までは測れないが、おそらくカチュアとユーリと比べても高い。
しかし、アラタにとって大した事のない爆風でも、魔法使いのエリザにとっては転ばされそうになるほどなのだ。
アラタはエリザベートを、魔法使いを護るという意味を、あらためて感じていた。
「・・・よし、ここまで回復すればもう大丈夫でしょう。アラタさん・・・」
ヴァンとフェンテスの治癒を終えると、エリザベートはアラタの判断を仰ぐように、顔を向けて来た。
「・・・はい、もう少しです・・・もう少しだけ、お待ちください」
フェリックスはマルコスから距離をとって幻想の剣を振るい、虹の波動を撃ち続けていた。
アラタとエリザベートに背を向け、二階へ続く階段からもそれなりの距離がある。
このままエリザベートの手を取り、走り抜けられるのでは・・・
そう頭で考えたが、アラタは動く事ができなかった。
この状況でも、フェリックスはアラタへの警戒を解いていない。
自分が二階へ向かえば、その瞬間フェリックスは、あの虹の波動を撃ってくるだろう。
それが王女であるエリザベートを巻き込む事になったとしてもだ。
そしてもう一つ・・・アラタは、二階へ向けて顔を上げた。
仮にフェリックスが自分を見逃したとしても、もう一人のゴールド騎士が先へ進む事を許さないだろう。
現在二階でレイチェルと一騎打ちを繰り広げている、アルベルト・ジョシュアもまた、アラタとエリザベートへ意識を向けている事が察せられた。
・・・気持ちを抑えるしかない。俺だって王妃様が心配だ。
だが、ここで焦って動けば、みんなの気持ちを裏切る事になってしまう。
俺は無傷で偽国王の元に行かなきゃならないんだ!
「・・・マルゴン・・・信じてるぞ」
アラタの口をついて出た言葉は、マルコスへの信頼だった。
マルコスの強さはアラタ自身が身を持って体験している。
そしてアラタ自身、未だに自分がマルコスの上をいったとは思っていない。
だからこそアラタは、この局面でもマルコスの言葉を信じていた。
自分とレイチェルが必ず道を作ると言ったマルコスの言葉を!
十数発は撃ち込んだであろう虹の波動。
フェリックスがようやく剣を下げたその瞬間、濛々と立ち昇る煙をぶち抜いて、その身を焼けた鉄のように赤黒く染めたマルコスが飛び出して来た。
体中から吹き上がる赤い煙、それはかつてアラタも目にした事がある血煙・・・
「決着をつけましょうかフェリックスゥゥゥゥゥーーーッツ!」
最終奥義、炎燃焦身(ほむらねんしょうしん)
体中の熱を強制的に上げて、一時的に大幅に身体能力を上げるマルコスの切り札。
炎の化身と化したマルコスが、触れるもの全てを焼き尽くすほどの強烈な熱波を放ちながら、フェリックスに飛び掛かる。
「幻想の剣よ!全てを出し尽くせ!」
躱す事も防ぐ事もできない!
瞬時にそう判断したフェリックスは、土の精霊の加護を限界まで引き出した。
両手に持ち構える幻想の剣が、これまでで最大の虹色の光を放つと、吸収されるかのように一気に剣に集約された。
光が集まり剣そのものとなる。それは虹そのものと言える七色の剣だった。
ぶつかり合う炎と虹
炎燃焦身 対 七色の剣
決着の時が来た
ナイフを両手持ちにしたマルコスの攻撃に、フェリックスは防戦一方を余儀なくされていた。
かろうじて致命傷は避けているが、頬を、腕を、足を斬りつけられ、その体は血まみれの赤に染まっている。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「おや、だいぶ息があがってきたようですね。そろそろ限界ですか?」
マルコスの圧力に壁際まで下がらされたフェリックスは、幻想の剣を両手で持ち構えた。
「なにか奥の手があるのでしたら、悔いを残さぬよう今お出しなさい。あなたが相手にしている男は、マルコス・ゴンサレスですよ。温存したまま勝てると思わない事です」
余裕の笑みを浮かべるマルコスを前にして、フェリックスは幻想の剣の切っ先をマルコスに向けた。
「・・・言ってくれるね、なら見せてあげるよ。ゴールド騎士の全力を!」
気合と共にフェリックスの体から放たれる闘気が広間全体を揺るがし、幻想の剣からは虹色の光が眩い程に放たれた。
瞬間、戦いを見ていたアラタの目から、マルコスの姿が消え、一瞬遅れて反対側の壁が崩壊する大きな音が響き渡った。
音に反応し振り返ると、崩れ落ちた壁に埋もれ、マルコスが仰向けに倒れている姿が目に映り、一瞬であそこまで吹き飛ばされたのだと理解する。
「どうだ!これがゴールド騎士の力だ!あまり調子に乗るなよ!」
幻想の剣の切っ先には、虹色の光が渦を巻くように集中している。
フェリックスはいまだ倒れたままのマルコスに対し剣先を向けると、気合と共に虹色の波動を撃ち放った。
球状になった巨大な虹色の光が、マルコスに直撃しそのまま壁をも粉砕する。
「くっ、エリザ様!」
爆風がアラタとエリザにも届き、アラタはとっさにエリザの前に立ち、体を盾にしてかばった。
「ゲホッ、アラタさん、す、すみませ、ん」
咳き込み、煙に目をつむるエリザを見て、アラタは魔法使いの体力を感じとった。
エリザの魔力は高い。
体力型のアラタでは正確な魔力までは測れないが、おそらくカチュアとユーリと比べても高い。
しかし、アラタにとって大した事のない爆風でも、魔法使いのエリザにとっては転ばされそうになるほどなのだ。
アラタはエリザベートを、魔法使いを護るという意味を、あらためて感じていた。
「・・・よし、ここまで回復すればもう大丈夫でしょう。アラタさん・・・」
ヴァンとフェンテスの治癒を終えると、エリザベートはアラタの判断を仰ぐように、顔を向けて来た。
「・・・はい、もう少しです・・・もう少しだけ、お待ちください」
フェリックスはマルコスから距離をとって幻想の剣を振るい、虹の波動を撃ち続けていた。
アラタとエリザベートに背を向け、二階へ続く階段からもそれなりの距離がある。
このままエリザベートの手を取り、走り抜けられるのでは・・・
そう頭で考えたが、アラタは動く事ができなかった。
この状況でも、フェリックスはアラタへの警戒を解いていない。
自分が二階へ向かえば、その瞬間フェリックスは、あの虹の波動を撃ってくるだろう。
それが王女であるエリザベートを巻き込む事になったとしてもだ。
そしてもう一つ・・・アラタは、二階へ向けて顔を上げた。
仮にフェリックスが自分を見逃したとしても、もう一人のゴールド騎士が先へ進む事を許さないだろう。
現在二階でレイチェルと一騎打ちを繰り広げている、アルベルト・ジョシュアもまた、アラタとエリザベートへ意識を向けている事が察せられた。
・・・気持ちを抑えるしかない。俺だって王妃様が心配だ。
だが、ここで焦って動けば、みんなの気持ちを裏切る事になってしまう。
俺は無傷で偽国王の元に行かなきゃならないんだ!
「・・・マルゴン・・・信じてるぞ」
アラタの口をついて出た言葉は、マルコスへの信頼だった。
マルコスの強さはアラタ自身が身を持って体験している。
そしてアラタ自身、未だに自分がマルコスの上をいったとは思っていない。
だからこそアラタは、この局面でもマルコスの言葉を信じていた。
自分とレイチェルが必ず道を作ると言ったマルコスの言葉を!
十数発は撃ち込んだであろう虹の波動。
フェリックスがようやく剣を下げたその瞬間、濛々と立ち昇る煙をぶち抜いて、その身を焼けた鉄のように赤黒く染めたマルコスが飛び出して来た。
体中から吹き上がる赤い煙、それはかつてアラタも目にした事がある血煙・・・
「決着をつけましょうかフェリックスゥゥゥゥゥーーーッツ!」
最終奥義、炎燃焦身(ほむらねんしょうしん)
体中の熱を強制的に上げて、一時的に大幅に身体能力を上げるマルコスの切り札。
炎の化身と化したマルコスが、触れるもの全てを焼き尽くすほどの強烈な熱波を放ちながら、フェリックスに飛び掛かる。
「幻想の剣よ!全てを出し尽くせ!」
躱す事も防ぐ事もできない!
瞬時にそう判断したフェリックスは、土の精霊の加護を限界まで引き出した。
両手に持ち構える幻想の剣が、これまでで最大の虹色の光を放つと、吸収されるかのように一気に剣に集約された。
光が集まり剣そのものとなる。それは虹そのものと言える七色の剣だった。
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