異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

文字の大きさ
472 / 1,576

471 炎と虹

「どうしました!?どうしました!?ゴールド騎士とはこの程度なのですか!?期待外れですねぇぇぇー!」

ナイフを両手持ちにしたマルコスの攻撃に、フェリックスは防戦一方を余儀なくされていた。
かろうじて致命傷は避けているが、頬を、腕を、足を斬りつけられ、その体は血まみれの赤に染まっている。

「はぁ・・・はぁ・・・」

「おや、だいぶ息があがってきたようですね。そろそろ限界ですか?」

マルコスの圧力に壁際まで下がらされたフェリックスは、幻想の剣を両手で持ち構えた。

「なにか奥の手があるのでしたら、悔いを残さぬよう今お出しなさい。あなたが相手にしている男は、マルコス・ゴンサレスですよ。温存したまま勝てると思わない事です」

余裕の笑みを浮かべるマルコスを前にして、フェリックスは幻想の剣の切っ先をマルコスに向けた。

「・・・言ってくれるね、なら見せてあげるよ。ゴールド騎士の全力を!」

気合と共にフェリックスの体から放たれる闘気が広間全体を揺るがし、幻想の剣からは虹色の光が眩い程に放たれた。


瞬間、戦いを見ていたアラタの目から、マルコスの姿が消え、一瞬遅れて反対側の壁が崩壊する大きな音が響き渡った。

音に反応し振り返ると、崩れ落ちた壁に埋もれ、マルコスが仰向けに倒れている姿が目に映り、一瞬であそこまで吹き飛ばされたのだと理解する。


「どうだ!これがゴールド騎士の力だ!あまり調子に乗るなよ!」

幻想の剣の切っ先には、虹色の光が渦を巻くように集中している。
フェリックスはいまだ倒れたままのマルコスに対し剣先を向けると、気合と共に虹色の波動を撃ち放った。

球状になった巨大な虹色の光が、マルコスに直撃しそのまま壁をも粉砕する。


「くっ、エリザ様!」

爆風がアラタとエリザにも届き、アラタはとっさにエリザの前に立ち、体を盾にしてかばった。

「ゲホッ、アラタさん、す、すみませ、ん」

咳き込み、煙に目をつむるエリザを見て、アラタは魔法使いの体力を感じとった。
エリザの魔力は高い。
体力型のアラタでは正確な魔力までは測れないが、おそらくカチュアとユーリと比べても高い。

しかし、アラタにとって大した事のない爆風でも、魔法使いのエリザにとっては転ばされそうになるほどなのだ。

アラタはエリザベートを、魔法使いを護るという意味を、あらためて感じていた。


「・・・よし、ここまで回復すればもう大丈夫でしょう。アラタさん・・・」

ヴァンとフェンテスの治癒を終えると、エリザベートはアラタの判断を仰ぐように、顔を向けて来た。

「・・・はい、もう少しです・・・もう少しだけ、お待ちください」


フェリックスはマルコスから距離をとって幻想の剣を振るい、虹の波動を撃ち続けていた。

アラタとエリザベートに背を向け、二階へ続く階段からもそれなりの距離がある。

このままエリザベートの手を取り、走り抜けられるのでは・・・
そう頭で考えたが、アラタは動く事ができなかった。

この状況でも、フェリックスはアラタへの警戒を解いていない。

自分が二階へ向かえば、その瞬間フェリックスは、あの虹の波動を撃ってくるだろう。
それが王女であるエリザベートを巻き込む事になったとしてもだ。


そしてもう一つ・・・アラタは、二階へ向けて顔を上げた。


仮にフェリックスが自分を見逃したとしても、もう一人のゴールド騎士が先へ進む事を許さないだろう。

現在二階でレイチェルと一騎打ちを繰り広げている、アルベルト・ジョシュアもまた、アラタとエリザベートへ意識を向けている事が察せられた。



・・・気持ちを抑えるしかない。俺だって王妃様が心配だ。
だが、ここで焦って動けば、みんなの気持ちを裏切る事になってしまう。
俺は無傷で偽国王の元に行かなきゃならないんだ!

「・・・マルゴン・・・信じてるぞ」

アラタの口をついて出た言葉は、マルコスへの信頼だった。

マルコスの強さはアラタ自身が身を持って体験している。
そしてアラタ自身、未だに自分がマルコスの上をいったとは思っていない。

だからこそアラタは、この局面でもマルコスの言葉を信じていた。

自分とレイチェルが必ず道を作ると言ったマルコスの言葉を!




十数発は撃ち込んだであろう虹の波動。

フェリックスがようやく剣を下げたその瞬間、濛々と立ち昇る煙をぶち抜いて、その身を焼けた鉄のように赤黒く染めたマルコスが飛び出して来た。


体中から吹き上がる赤い煙、それはかつてアラタも目にした事がある血煙・・・


「決着をつけましょうかフェリックスゥゥゥゥゥーーーッツ!」


最終奥義、炎燃焦身(ほむらねんしょうしん)

体中の熱を強制的に上げて、一時的に大幅に身体能力を上げるマルコスの切り札。

炎の化身と化したマルコスが、触れるもの全てを焼き尽くすほどの強烈な熱波を放ちながら、フェリックスに飛び掛かる。



「幻想の剣よ!全てを出し尽くせ!」

躱す事も防ぐ事もできない!
瞬時にそう判断したフェリックスは、土の精霊の加護を限界まで引き出した。

両手に持ち構える幻想の剣が、これまでで最大の虹色の光を放つと、吸収されるかのように一気に剣に集約された。

光が集まり剣そのものとなる。それは虹そのものと言える七色の剣だった。


ぶつかり合う炎と虹


炎燃焦身 対 七色の剣


決着の時が来た
感想 0

あなたにおすすめの小説

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

ダンジョンをある日見つけた結果→世界最強になってしまった

仮実谷 望
ファンタジー
いつも遊び場にしていた山である日ダンジョンを見つけた。とりあえず入ってみるがそこは未知の場所で……モンスターや宝箱などお宝やワクワクが溢れている場所だった。 そんなところで過ごしているといつの間にかステータスが伸びて伸びていつの間にか世界最強になっていた!?

WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!

TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。 その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。 競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。 俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。 その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。 意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。 相変わらずの豪華客船の中だった。 しかし、そこは地球では無かった。 魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。 船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。 ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ…… 果たして、地球と東の運命はどうなるの?

スーパーのビニール袋で竜を保護した

チー牛Y
ファンタジー
竜は、災害指定生物。 見つけ次第、討伐――のはずだった。 だが俺の前に現れたのは、 震える子竜と、役立たず扱いされたスキル―― 「スーパーのビニール袋」。 剣でも炎でもない。 シャカシャカ鳴る、ただの袋。 なのにその袋は、なぜか竜を落ち着かせる。 討伐か、保護か。 世界の常識と、ひとりの男の常識が衝突する。 これは―― ビニール袋から始まる、異世界保護ファンタジー。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!