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1136 最終手段
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「アダメス、連中がブラックスフィアまでたどり着いたようだぜ。つー事はだ、あの光線を突破したって事だよな・・・なるほど、お前が連中を近づけちゃいけねぇって、言うだけはあるって事か」
サンティアゴは眉間にシワを作りながら、土で作った地図を睨むようにして言葉を口にした。
これまでずっと余裕の態度を見せていたサンティアゴだったが、向かって来る4人が想定以上の力を持っていると感じ取り、緊張感のある空気が漂っていた。
「・・・かなりの手練れだな。ブラックスフィアは太陽光をエネルギーに変えて撃ち続ける事ができる。今日のこの天気なら一分間に百発以上は確実だ。どうやったのか分からんが、それを突破してブラックスフィアまでたどり着いたのなら、こいつらを倒すのは骨が折れそうだ」
アダメスもまたサンティアゴと同じく、自分達に向かって来る四人が相当な実力者だという事を感じていた。陽の光の下でならば無限に光線を撃てる、ブラックスフィアで足止めができない程なのだから。
「アダメス・・・一旦退いた方がいいんじゃねぇか?俺らの任務はクインズベリーの戦力を削ぐ事で、全滅させる事じゃねぇ。確かにまだ一人も始末できてねぇが、ブラックスフィアで軍隊の魔力はけっこう削れたはずだ。一旦退いて仕切り直そうぜ」
当初の計画通りならば、最初のブラックスフィアでクインズベリー軍を、少なくとも数百人は殺せる見通しだった。だが初見でブラックスフィアの光線を防がれてしまい、二発目のブラックスフィアでも、ただの一人として始末する事ができていない。
ここまで読み違えてしまえば、もはや一度退いたほうが懸命なのは明らかだった。
現在こっちに向かっているクインズベリーの四人がここにたどり着き、そして戦闘になった場合、四対二という不利な状況にも追い込まれる。
クインズベリー軍の魔力を削れただけでも良しとして、退くべきだというサンティアゴの主張は当然と言っていいものだった。
だが、アダメスの考えは違っていた。
「・・・ここで撤退だと?サンティアゴ、俺は反対だ」
「・・・アダメス・・・でもよ、もうやりようがねぇじゃねぇか?俺らの戦闘スタイルじゃ接近されたら負けだ。そしてこの状況は完全に想定外だ。まだブラックスフィアが足止めできてるうちに退いた方が・・・」
「ブラックスフィアには最終手段がある」
なにか決意を固めたような目を見せたアダメスに、サンティアゴは思い当たる事があり息を飲んだ。
「・・・アダメス、お前・・・最終手段ってまさか・・・」
「そうだ・・・お前の考えている通りだ。連中がブラックスフィアと向かい合っているなら好都合だ。全員まとめて始末してやる」
「アダメス!よせ!それだけは駄目だ!この距離じゃ俺らまで巻き込まれるぞ!分かってるのか!?」
アダメスの口にした最終手段という言葉に、サンティアゴは大きく動揺した。立ち上がってアダメスの両肩を掴むと、考え直すように強く訴えかける。
「聞け、サンティアゴ!この四人は決断力と行動力を備えた四人だ。最初の攻撃から一分もしねぇうちに走り出して、今もブラックスフィアの光線を潜り抜けてこっちに向かってんだぞ!この四人は只者じゃねぇ・・・おそらくクインズベリーの主力の四人だ。だからこそ叩けるうちに叩くべきだ!ブラックスフィアの射程内にいる今のうちに潰した方がいい。それにここで一人も仕留める事ができずに撤退してみろ、俺達はまた言われるぞ?いいのか?隠れて攻撃するしか能がねぇって言われてよ・・・それでいいのかサンティアゴッツ!」
アダメスの言葉は、サンティアゴの心を大きく揺さぶった。
このままやり過ごす事はできる。だがそれでは何も変わらない。
なぜ二人でチームを組んで行動しているのか?アダメスの言葉は、サンティアゴにそれを思い出させた。
「・・・・・・・分かった。俺も覚悟を決めたぜアダメス。お前の思うようにやってみろ。だがこの四人だけだ。この四人がクインズベリーの主力なのは間違いねぇだろう。主力を四人倒したんなら、誰も文句言えねぇはずだ。この四人を倒して帝国に帰る。それでいいな?」
「ああ、それでいい。お前ならきっと分かってくれると思ったぜ、サンティアゴ」
「お前が覚悟決めたんだ、俺はそれに乗るだけだ、アダメス」
なぜ二人でチームを組んだのか・・・・・全ての人間に自分達を認めさせるためだ。
サンティアゴは、フッと笑うと、アダメスに向けて拳を突き出した。
そして拳と拳を合わせてお互いの決意を確認し合うと、黒魔法使いのサンティアゴは、風魔法で自分とアダメスを包み込む風の盾を作り出した。
「風の盾は作った!いつでもいいぞアダメス!」
準備が整うと、アダメスはベルトのポーチから小さくて黒い球を取り出した。
このブラックスフィアを小さくしたような黒い球こそ、体力型であるアダメスが、ブラックスフィアを操作するために必要な制御装置である。
念じるだけで、狙ったところで止める事も、光線を撃つ事も止める事も、ブラックスフィアを戻す事もできる。この小さな黒い球を持っていれば、魔力の無い体力型でも操作できるのである。
アダメスは帝国軍屈指の遠投能力を生かし、魔道具ブラックスフィアを使った戦い方を確立させたのだ。
そしてアダメスは今、そんな大切な制御装置を右手で強く握りしめて、高々と空に掲げて叫んだ。
「爆ぜろッ!ブラックスフィアァァァァァァーーーーーーーーーーッツ!」
全ては勝利のために。
前方数百メートルの地点で、目も眩む強く大きな光が発せられた次の瞬間、大爆発が起きた。
爆発は大地を大きく揺るがし、天をも焼く真っ赤な火柱が立ち昇った。
サンティアゴは眉間にシワを作りながら、土で作った地図を睨むようにして言葉を口にした。
これまでずっと余裕の態度を見せていたサンティアゴだったが、向かって来る4人が想定以上の力を持っていると感じ取り、緊張感のある空気が漂っていた。
「・・・かなりの手練れだな。ブラックスフィアは太陽光をエネルギーに変えて撃ち続ける事ができる。今日のこの天気なら一分間に百発以上は確実だ。どうやったのか分からんが、それを突破してブラックスフィアまでたどり着いたのなら、こいつらを倒すのは骨が折れそうだ」
アダメスもまたサンティアゴと同じく、自分達に向かって来る四人が相当な実力者だという事を感じていた。陽の光の下でならば無限に光線を撃てる、ブラックスフィアで足止めができない程なのだから。
「アダメス・・・一旦退いた方がいいんじゃねぇか?俺らの任務はクインズベリーの戦力を削ぐ事で、全滅させる事じゃねぇ。確かにまだ一人も始末できてねぇが、ブラックスフィアで軍隊の魔力はけっこう削れたはずだ。一旦退いて仕切り直そうぜ」
当初の計画通りならば、最初のブラックスフィアでクインズベリー軍を、少なくとも数百人は殺せる見通しだった。だが初見でブラックスフィアの光線を防がれてしまい、二発目のブラックスフィアでも、ただの一人として始末する事ができていない。
ここまで読み違えてしまえば、もはや一度退いたほうが懸命なのは明らかだった。
現在こっちに向かっているクインズベリーの四人がここにたどり着き、そして戦闘になった場合、四対二という不利な状況にも追い込まれる。
クインズベリー軍の魔力を削れただけでも良しとして、退くべきだというサンティアゴの主張は当然と言っていいものだった。
だが、アダメスの考えは違っていた。
「・・・ここで撤退だと?サンティアゴ、俺は反対だ」
「・・・アダメス・・・でもよ、もうやりようがねぇじゃねぇか?俺らの戦闘スタイルじゃ接近されたら負けだ。そしてこの状況は完全に想定外だ。まだブラックスフィアが足止めできてるうちに退いた方が・・・」
「ブラックスフィアには最終手段がある」
なにか決意を固めたような目を見せたアダメスに、サンティアゴは思い当たる事があり息を飲んだ。
「・・・アダメス、お前・・・最終手段ってまさか・・・」
「そうだ・・・お前の考えている通りだ。連中がブラックスフィアと向かい合っているなら好都合だ。全員まとめて始末してやる」
「アダメス!よせ!それだけは駄目だ!この距離じゃ俺らまで巻き込まれるぞ!分かってるのか!?」
アダメスの口にした最終手段という言葉に、サンティアゴは大きく動揺した。立ち上がってアダメスの両肩を掴むと、考え直すように強く訴えかける。
「聞け、サンティアゴ!この四人は決断力と行動力を備えた四人だ。最初の攻撃から一分もしねぇうちに走り出して、今もブラックスフィアの光線を潜り抜けてこっちに向かってんだぞ!この四人は只者じゃねぇ・・・おそらくクインズベリーの主力の四人だ。だからこそ叩けるうちに叩くべきだ!ブラックスフィアの射程内にいる今のうちに潰した方がいい。それにここで一人も仕留める事ができずに撤退してみろ、俺達はまた言われるぞ?いいのか?隠れて攻撃するしか能がねぇって言われてよ・・・それでいいのかサンティアゴッツ!」
アダメスの言葉は、サンティアゴの心を大きく揺さぶった。
このままやり過ごす事はできる。だがそれでは何も変わらない。
なぜ二人でチームを組んで行動しているのか?アダメスの言葉は、サンティアゴにそれを思い出させた。
「・・・・・・・分かった。俺も覚悟を決めたぜアダメス。お前の思うようにやってみろ。だがこの四人だけだ。この四人がクインズベリーの主力なのは間違いねぇだろう。主力を四人倒したんなら、誰も文句言えねぇはずだ。この四人を倒して帝国に帰る。それでいいな?」
「ああ、それでいい。お前ならきっと分かってくれると思ったぜ、サンティアゴ」
「お前が覚悟決めたんだ、俺はそれに乗るだけだ、アダメス」
なぜ二人でチームを組んだのか・・・・・全ての人間に自分達を認めさせるためだ。
サンティアゴは、フッと笑うと、アダメスに向けて拳を突き出した。
そして拳と拳を合わせてお互いの決意を確認し合うと、黒魔法使いのサンティアゴは、風魔法で自分とアダメスを包み込む風の盾を作り出した。
「風の盾は作った!いつでもいいぞアダメス!」
準備が整うと、アダメスはベルトのポーチから小さくて黒い球を取り出した。
このブラックスフィアを小さくしたような黒い球こそ、体力型であるアダメスが、ブラックスフィアを操作するために必要な制御装置である。
念じるだけで、狙ったところで止める事も、光線を撃つ事も止める事も、ブラックスフィアを戻す事もできる。この小さな黒い球を持っていれば、魔力の無い体力型でも操作できるのである。
アダメスは帝国軍屈指の遠投能力を生かし、魔道具ブラックスフィアを使った戦い方を確立させたのだ。
そしてアダメスは今、そんな大切な制御装置を右手で強く握りしめて、高々と空に掲げて叫んだ。
「爆ぜろッ!ブラックスフィアァァァァァァーーーーーーーーーーッツ!」
全ては勝利のために。
前方数百メートルの地点で、目も眩む強く大きな光が発せられた次の瞬間、大爆発が起きた。
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