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1212 消えない予感
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「うっ、ぐぅぅっ!・・・くっ、ま、まだ・・・」
ニーディア・エスパーザは、セドコン村の入り口に立ち、全身から魔力を放出していた。
伝授の杖を媒介にして地面に魔力を送り、村全体に張り巡らされた蔦の魔力を押さえ込む。
これに全身全霊を懸けて挑んでいた。
蔦の術者との力量の差は感じていた。だが仲間達の仇を討つために、命さえ捨てる覚悟のニーディアの気迫は、蔦の術者ノエルの魔力に一時は拮抗する程に迫った。
撥ね返されそうになりながらも食らいつき、驚異的な粘りで蔦を押さえ込んでいた。
だが地力の差は時間が経つ程に表れて来る。
ニーディアがノエルを封じていられたのは、時間にすれば一時間にも満たない。
だがその一時間足らずのために、ニーディアは最初から全魔力を放出して戦っていた。
賢い戦い方ではなかったかもしれない。しかし力の配分を考えていれば、ここまで粘れる事はできなかっただろう。
「ま、まだ・・・まっ!?」
最後の魔力を振り絞ろうとしたその時、伝授の杖を通して地面に送りこんでいた魔力が押し返された。
そして足元が青い光で輝き出すと、凄まじい強さの魔力が放出されてニーディアを吹き飛ばした!
「ッ!?うあぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!」
強烈な魔力そのものを全身に浴びて、ニーディアの体は宙を舞った。
・・・・・みんな、ごめん・・・命を懸けるなんて言って、私は・・・・・
魔力は枯渇寸前で、体力も限界にまで達していた。
その身を護るための受け身さえとれず、頭から地面に落ちそうになった時、ニーディアの体を受け止める力強い腕があった。
「お、おい!大丈夫か!?」
耳に届いた声に、ニーディアは薄く目を開けた。意識が朦朧として消え入りそうな瞳には、ぼんやりとした輪郭しか分からない。どうやら黒髪で男性のようだが、見覚えがある気がする。
そして自分を心配する言葉に、ニーディアは味方だと判断した。
「・・・うっ、うぅ・・・わ、私は、いいから・・・行って、みんな、戦ってる・・・・・」
「・・・分かった。だから無理に話すな」
「蔦に・・・気を、つけ・・・て・・・・・・・・」
黒髪の男の声が聞こえているのかいないのか、最後にそれだけ言葉にすると、ニーディアの首が力なく下がった
「え!?ちょっ、お、おい!しっかりしろ!」
「待って、大丈夫だよ。魔力の酷使と疲労で意識を失ったみたいだけど、命は大丈夫。でもかなり消耗してるから、あまり動かさない方がいいと思う。ニーディアさんは私がここでヒールをかけて看ておくよ」
隣に腰を下ろしたオレンジ色の髪の女性が、ニーディアの頬にそっと触れて静かに話した。
呼吸は浅く、色濃い疲労が見える。数日の休養は必要だろう。
「・・・そっか、うん、生きてるんなら良かったよ。この人さ、俺達に言ったように本当に頑張ったんだな・・・俺、行くよ。さっきの竜巻もすごかったけど、それ以上に嫌な予感がするんだ」
黒髪の男は立ち上がると、真っすぐな目で村の先を見据えた。
自分の思い過ごしかもしれない。駆け付けたところで、戦いが終わっているならそれでもいい。
心配し過ぎだと、笑い話しにでもなるんならその方がいい。
だが胸に渦巻く嫌な予感は、いつまで経っても消えてくれなかった。
「・・・気を付けてね」
微笑んで送り出してくれる。けれど小さくか細い声だった・・・
最愛の妻に心配をかけているのは分かっている。
けれど今行かなければ後悔する、それだけは確信に近いものを持っていた。
きっと自分の中に宿る光の力が報せているのだろう。
「行ってくる・・・絶対に帰ってくるから」
そう言って笑いかけると、地面を蹴って仲間達の元へと駆け出した。
「・・・やるな、ここまでの灼炎竜を撃てるヤツはそういない。脱出するのに少してこずったぞ」
凍り付かせた炎の竜が粉砕されると、深紅のローブを纏った男が姿を現した。
「なにっ!?ま、まともに入ったはずだ・・・灼炎竜の直撃だぞ!?それで無傷なのか!?」
ミゼルの灼炎竜は、確かにハビエルに食らいつき、その業火を持って焼いたはずだった。だがそれは何かの見間違いだったのか?はたまた自分の眼がおかしいのか?そう考えさせられる程、ハビエルの外見には何の変化も無かった。なぜなら髪の一本も燃えず、服の端すら焦げていないのだから。
驚きに目を見開くミゼルに、ハビエルは淡々と言葉を発した。
「深紅のローブに炎耐性がある事はしっているな?俺は自分の魔力でその耐性を上げただけだ・・・貴様の灼炎竜を無効化できるまでな」
「そ、そんな事が・・・っ!?」
ミゼルの頬を伝い、冷たい汗が流れ落ちた。
深紅のローブの炎耐性を魔力で底上げする。
簡単に言っているが、上級魔法の灼炎竜を無効化する程にまで高めるとなると、いったいどれほどの魔力が必要になるのか?
それを涼しい顔でやってのけた。
ミゼルは目の前の男、ハビエル・フェルトゥザの底の見えない力に戦慄した。
「・・・ノエル、思ったより時間がかかったようだな」
ハビエルはミゼルから興味を無くしたように視線を外すと、地面から高々と生えている無数の蔦に目をやりながら、ノエルに言葉をかけた。
「ええ、ちょっと強い子だったみたい。でもこの通りもう大丈夫よ。ハビエル・・・そろそろお終いにしましょう」
我が身を護るように、何本もの蔦を盾のように全面に出しながら、ノエルは静かな声でハビエルに言葉を返した。
「分かった」
短く返事をすると、ハビエルは再びレイジェスの戦士達に向き直った。
「貴様達はなかなか強かった。敬意を持って、俺も少し本気を出そう」
そう言うなり、ハビエルの両手から炎が立ち昇った。
それはまるでマグマのように赤々と燃え、ボコボコと弾ける炎は、触れれば最後、骨まで燃え尽きて何も残らないと思わせる程であった。
「あれは、まさか中級魔法の・・・っ!」
黒魔法使いのミゼルは一目で分かった。
両手からいっせいに炎を撃ち放つ火の中級魔法、それは・・・・・
「双炎砲だ!みんな横に飛べぇぇぇーーーーーッツ!」
「死ね」
ハビエルの両手から、猛り燃ゆる巨大な炎が撃ち放たれた。
ニーディア・エスパーザは、セドコン村の入り口に立ち、全身から魔力を放出していた。
伝授の杖を媒介にして地面に魔力を送り、村全体に張り巡らされた蔦の魔力を押さえ込む。
これに全身全霊を懸けて挑んでいた。
蔦の術者との力量の差は感じていた。だが仲間達の仇を討つために、命さえ捨てる覚悟のニーディアの気迫は、蔦の術者ノエルの魔力に一時は拮抗する程に迫った。
撥ね返されそうになりながらも食らいつき、驚異的な粘りで蔦を押さえ込んでいた。
だが地力の差は時間が経つ程に表れて来る。
ニーディアがノエルを封じていられたのは、時間にすれば一時間にも満たない。
だがその一時間足らずのために、ニーディアは最初から全魔力を放出して戦っていた。
賢い戦い方ではなかったかもしれない。しかし力の配分を考えていれば、ここまで粘れる事はできなかっただろう。
「ま、まだ・・・まっ!?」
最後の魔力を振り絞ろうとしたその時、伝授の杖を通して地面に送りこんでいた魔力が押し返された。
そして足元が青い光で輝き出すと、凄まじい強さの魔力が放出されてニーディアを吹き飛ばした!
「ッ!?うあぁぁぁぁぁーーーーーーーーっ!」
強烈な魔力そのものを全身に浴びて、ニーディアの体は宙を舞った。
・・・・・みんな、ごめん・・・命を懸けるなんて言って、私は・・・・・
魔力は枯渇寸前で、体力も限界にまで達していた。
その身を護るための受け身さえとれず、頭から地面に落ちそうになった時、ニーディアの体を受け止める力強い腕があった。
「お、おい!大丈夫か!?」
耳に届いた声に、ニーディアは薄く目を開けた。意識が朦朧として消え入りそうな瞳には、ぼんやりとした輪郭しか分からない。どうやら黒髪で男性のようだが、見覚えがある気がする。
そして自分を心配する言葉に、ニーディアは味方だと判断した。
「・・・うっ、うぅ・・・わ、私は、いいから・・・行って、みんな、戦ってる・・・・・」
「・・・分かった。だから無理に話すな」
「蔦に・・・気を、つけ・・・て・・・・・・・・」
黒髪の男の声が聞こえているのかいないのか、最後にそれだけ言葉にすると、ニーディアの首が力なく下がった
「え!?ちょっ、お、おい!しっかりしろ!」
「待って、大丈夫だよ。魔力の酷使と疲労で意識を失ったみたいだけど、命は大丈夫。でもかなり消耗してるから、あまり動かさない方がいいと思う。ニーディアさんは私がここでヒールをかけて看ておくよ」
隣に腰を下ろしたオレンジ色の髪の女性が、ニーディアの頬にそっと触れて静かに話した。
呼吸は浅く、色濃い疲労が見える。数日の休養は必要だろう。
「・・・そっか、うん、生きてるんなら良かったよ。この人さ、俺達に言ったように本当に頑張ったんだな・・・俺、行くよ。さっきの竜巻もすごかったけど、それ以上に嫌な予感がするんだ」
黒髪の男は立ち上がると、真っすぐな目で村の先を見据えた。
自分の思い過ごしかもしれない。駆け付けたところで、戦いが終わっているならそれでもいい。
心配し過ぎだと、笑い話しにでもなるんならその方がいい。
だが胸に渦巻く嫌な予感は、いつまで経っても消えてくれなかった。
「・・・気を付けてね」
微笑んで送り出してくれる。けれど小さくか細い声だった・・・
最愛の妻に心配をかけているのは分かっている。
けれど今行かなければ後悔する、それだけは確信に近いものを持っていた。
きっと自分の中に宿る光の力が報せているのだろう。
「行ってくる・・・絶対に帰ってくるから」
そう言って笑いかけると、地面を蹴って仲間達の元へと駆け出した。
「・・・やるな、ここまでの灼炎竜を撃てるヤツはそういない。脱出するのに少してこずったぞ」
凍り付かせた炎の竜が粉砕されると、深紅のローブを纏った男が姿を現した。
「なにっ!?ま、まともに入ったはずだ・・・灼炎竜の直撃だぞ!?それで無傷なのか!?」
ミゼルの灼炎竜は、確かにハビエルに食らいつき、その業火を持って焼いたはずだった。だがそれは何かの見間違いだったのか?はたまた自分の眼がおかしいのか?そう考えさせられる程、ハビエルの外見には何の変化も無かった。なぜなら髪の一本も燃えず、服の端すら焦げていないのだから。
驚きに目を見開くミゼルに、ハビエルは淡々と言葉を発した。
「深紅のローブに炎耐性がある事はしっているな?俺は自分の魔力でその耐性を上げただけだ・・・貴様の灼炎竜を無効化できるまでな」
「そ、そんな事が・・・っ!?」
ミゼルの頬を伝い、冷たい汗が流れ落ちた。
深紅のローブの炎耐性を魔力で底上げする。
簡単に言っているが、上級魔法の灼炎竜を無効化する程にまで高めるとなると、いったいどれほどの魔力が必要になるのか?
それを涼しい顔でやってのけた。
ミゼルは目の前の男、ハビエル・フェルトゥザの底の見えない力に戦慄した。
「・・・ノエル、思ったより時間がかかったようだな」
ハビエルはミゼルから興味を無くしたように視線を外すと、地面から高々と生えている無数の蔦に目をやりながら、ノエルに言葉をかけた。
「ええ、ちょっと強い子だったみたい。でもこの通りもう大丈夫よ。ハビエル・・・そろそろお終いにしましょう」
我が身を護るように、何本もの蔦を盾のように全面に出しながら、ノエルは静かな声でハビエルに言葉を返した。
「分かった」
短く返事をすると、ハビエルは再びレイジェスの戦士達に向き直った。
「貴様達はなかなか強かった。敬意を持って、俺も少し本気を出そう」
そう言うなり、ハビエルの両手から炎が立ち昇った。
それはまるでマグマのように赤々と燃え、ボコボコと弾ける炎は、触れれば最後、骨まで燃え尽きて何も残らないと思わせる程であった。
「あれは、まさか中級魔法の・・・っ!」
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両手からいっせいに炎を撃ち放つ火の中級魔法、それは・・・・・
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