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1222 ミゼルの切り札
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ノエル・メレイシアが倒れた事によるハビエルの精神的な衝撃は大きく、それはリカルド達を押さえていた、空量眼を維持できない程であった。
地面に圧し潰される程の重圧が消えた事で、リカルド、ラクエル、ミゼルの三人は立ち上がる事ができた。
そして一目で状況を理解した。
今まさに消えかかった闘気で最後の特攻を仕掛けたレイチェル。だが、おそらくソレは成功しない。
このまま潰されて終わりだろう。それが分からないレイチェルではないはずだ。
ならばなぜそんな行動に出たのか?
「・・・俺達が立つって信じてんだ」
そう理解すると同時にリカルドは矢をつがえた。
「ムチャしてんじゃないよ!」
ラクエルはレイチェルの後を追うように駆けだした。
「・・・やるしか、ないのか」
リカルドとラクエルはすぐに行動に移ったが、ミゼルだけは躊躇いを見せた。
灼炎竜が通用しなかった時点で、ミゼルは彼我(ひが)の実力差を十分過ぎる程理解していた。
魔法使いとしての力量は、ハビエルが一枚も二枚も上手である。それに加えて闇の力まで出してきたのだ、もはや光源爆裂弾であろうと、竜氷縛であろうと、ハビエルには通用しないだろう。
ただ一つを除いて・・・・・
「アイツに効くとすれば店長から伝授されたアレしかねぇ。けど、威力がでかすぎる・・・ここで撃ったらみんなを巻き込んじまう」
そう、ミゼルにはウィッカーとの修行で会得した、とっておきの切り札があった。
その魔法は帝国との戦いにおいて、戦局を左右するほどに強力無比である。しかし強過ぎるがゆえに、使いどころは慎重に見極めなければならない。
ウィッカー自身、過去一度しか使用した事のないその魔法とは・・・・・
パンッ!と乾いた音が響いた・・・・・
ミゼルは自分の顔を両手で叩いて気を入れると、覚悟を決めて言葉を吐き出した。
「くそっ!ビビるなミゼル!どう考えてももうアレしかねぇ!みんなは巻き込まねぇ!野郎にだけぶち込む!俺ならできる!やってやる!」
フー・・・と大きく息を着いて、精神を研ぎ澄ませる。
右手には風の魔力を、左手には氷の魔力を込める。
本来共存できるはずのない異なる二つの魔力を、ギリギリの均衡で絡ませ、左右の手で維持する。
そして両手の魔力を寸分違わず、同じ魔力量で調整する。
そのまま両手を合わせ、異なる魔力がぶつかって打ち消されないように、慎重に融合せていく。
それは200年前、ウィッカーが精霊使いのアンソニーと戦った時、最後の決め手になった魔法である。
「風と氷の合成魔法だ」
練習で融合までは成功させた事がある。だが撃った事は無い。
融合させた時の想像をはるかに超える魔力に、危険を感じたからだ。空に向けて撃てば被害はでないかもしれない。だが多くの人の目につくだろうし、強過ぎる魔法は悪戯に不安を与えかねない。
これを撃つ時は本当の覚悟がいる。
そう理解して、ミゼルは合成魔法を本当の危機が訪れるまで封印しようと決めていた。
想定したよりも早くその時は訪れた。だがこのままでは全滅しかねない。
今がその時なのだ。
仲間を巻き添えにはしない。その上で敵は撃つ。
自分ならできる・・・・・
「そう・・・俺ならできる」
そう言葉を口にする男の目には、もう迷いは無かった。
リカルドの大地の矢は、矢尻が当たった場所を爆発させる。
それもただの爆発ではない。火山の噴火を連想させる程の大爆発だ。天まで届く程の土砂を打ち上げるのだからその威力は絶大。食らった者は当然ただではすまない。いや、死は免れないだろう。
「おっしゃぁーーーーーッツ!モロだ!モロだぜ!」
吹き上がる土砂でメッタ打ちにされるハビエルを見て、リカルドは勝利を確信した。
しかし着地して拳を握り締め、喚起の声を上げたその時・・・・・
「調子こきやがっからこうなんだよ!ざまぁ・・・っ!?」
リカルドは絶句した。
ハビエルの闇が大きく膨れ上がり、体を打ち付ける土砂を吹き飛ばしたのだ。
そして何事も無かったかのように、いや事実ハビエルには何事もなかったのだ。なぜならかすり傷一つ負っていないのだから。
そう、全てを闇が防いだのだ。
ハビエルはリカルドに顔を向けると、ゆっくりと前に進み出た。
「・・・お前、まさか本気でこんなもので、俺の闇を破れると思ったのか?」
「なっ!?て、てめぇっ・・・」
ハビエルはリカルドに向かって、真っすぐに一直線に足を進めてくる。
自身の最大の武器である大地の矢が通用しなかった以上、リカルドにはもう何も攻撃手段がない。
ハビエルが詰めてきただけ後ろに下がる。背中を向けて逃げるわけにはいかないが、下がるしかなかった。
「・・・哀れだな」
リカルドとの距離を数メートルまで詰めたところで立ち止まると、ハビエルはリカルドに右手の平を向けた。その動きに合わせて闇がゆらりと動く。
「く、くそ野郎がっ!」
やられる!リカルドがそう覚悟を決めたその時・・・・・
「もう死ね・・・ッ!?」
背後に感じた凄まじい魔力に、ハビエルは勢いよく振り返った。
地面に圧し潰される程の重圧が消えた事で、リカルド、ラクエル、ミゼルの三人は立ち上がる事ができた。
そして一目で状況を理解した。
今まさに消えかかった闘気で最後の特攻を仕掛けたレイチェル。だが、おそらくソレは成功しない。
このまま潰されて終わりだろう。それが分からないレイチェルではないはずだ。
ならばなぜそんな行動に出たのか?
「・・・俺達が立つって信じてんだ」
そう理解すると同時にリカルドは矢をつがえた。
「ムチャしてんじゃないよ!」
ラクエルはレイチェルの後を追うように駆けだした。
「・・・やるしか、ないのか」
リカルドとラクエルはすぐに行動に移ったが、ミゼルだけは躊躇いを見せた。
灼炎竜が通用しなかった時点で、ミゼルは彼我(ひが)の実力差を十分過ぎる程理解していた。
魔法使いとしての力量は、ハビエルが一枚も二枚も上手である。それに加えて闇の力まで出してきたのだ、もはや光源爆裂弾であろうと、竜氷縛であろうと、ハビエルには通用しないだろう。
ただ一つを除いて・・・・・
「アイツに効くとすれば店長から伝授されたアレしかねぇ。けど、威力がでかすぎる・・・ここで撃ったらみんなを巻き込んじまう」
そう、ミゼルにはウィッカーとの修行で会得した、とっておきの切り札があった。
その魔法は帝国との戦いにおいて、戦局を左右するほどに強力無比である。しかし強過ぎるがゆえに、使いどころは慎重に見極めなければならない。
ウィッカー自身、過去一度しか使用した事のないその魔法とは・・・・・
パンッ!と乾いた音が響いた・・・・・
ミゼルは自分の顔を両手で叩いて気を入れると、覚悟を決めて言葉を吐き出した。
「くそっ!ビビるなミゼル!どう考えてももうアレしかねぇ!みんなは巻き込まねぇ!野郎にだけぶち込む!俺ならできる!やってやる!」
フー・・・と大きく息を着いて、精神を研ぎ澄ませる。
右手には風の魔力を、左手には氷の魔力を込める。
本来共存できるはずのない異なる二つの魔力を、ギリギリの均衡で絡ませ、左右の手で維持する。
そして両手の魔力を寸分違わず、同じ魔力量で調整する。
そのまま両手を合わせ、異なる魔力がぶつかって打ち消されないように、慎重に融合せていく。
それは200年前、ウィッカーが精霊使いのアンソニーと戦った時、最後の決め手になった魔法である。
「風と氷の合成魔法だ」
練習で融合までは成功させた事がある。だが撃った事は無い。
融合させた時の想像をはるかに超える魔力に、危険を感じたからだ。空に向けて撃てば被害はでないかもしれない。だが多くの人の目につくだろうし、強過ぎる魔法は悪戯に不安を与えかねない。
これを撃つ時は本当の覚悟がいる。
そう理解して、ミゼルは合成魔法を本当の危機が訪れるまで封印しようと決めていた。
想定したよりも早くその時は訪れた。だがこのままでは全滅しかねない。
今がその時なのだ。
仲間を巻き添えにはしない。その上で敵は撃つ。
自分ならできる・・・・・
「そう・・・俺ならできる」
そう言葉を口にする男の目には、もう迷いは無かった。
リカルドの大地の矢は、矢尻が当たった場所を爆発させる。
それもただの爆発ではない。火山の噴火を連想させる程の大爆発だ。天まで届く程の土砂を打ち上げるのだからその威力は絶大。食らった者は当然ただではすまない。いや、死は免れないだろう。
「おっしゃぁーーーーーッツ!モロだ!モロだぜ!」
吹き上がる土砂でメッタ打ちにされるハビエルを見て、リカルドは勝利を確信した。
しかし着地して拳を握り締め、喚起の声を上げたその時・・・・・
「調子こきやがっからこうなんだよ!ざまぁ・・・っ!?」
リカルドは絶句した。
ハビエルの闇が大きく膨れ上がり、体を打ち付ける土砂を吹き飛ばしたのだ。
そして何事も無かったかのように、いや事実ハビエルには何事もなかったのだ。なぜならかすり傷一つ負っていないのだから。
そう、全てを闇が防いだのだ。
ハビエルはリカルドに顔を向けると、ゆっくりと前に進み出た。
「・・・お前、まさか本気でこんなもので、俺の闇を破れると思ったのか?」
「なっ!?て、てめぇっ・・・」
ハビエルはリカルドに向かって、真っすぐに一直線に足を進めてくる。
自身の最大の武器である大地の矢が通用しなかった以上、リカルドにはもう何も攻撃手段がない。
ハビエルが詰めてきただけ後ろに下がる。背中を向けて逃げるわけにはいかないが、下がるしかなかった。
「・・・哀れだな」
リカルドとの距離を数メートルまで詰めたところで立ち止まると、ハビエルはリカルドに右手の平を向けた。その動きに合わせて闇がゆらりと動く。
「く、くそ野郎がっ!」
やられる!リカルドがそう覚悟を決めたその時・・・・・
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背後に感じた凄まじい魔力に、ハビエルは勢いよく振り返った。
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