異世界でリサイクルショップ!俺の高価買取り!

理太郎

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1231 ラクエルの決断

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小さめの発光石で薄明るく照らされたテントの中では、レイチェルとラクエルが腰を下ろして向かい合っている。

「いやぁ~、そう言われてもさぁ・・・そりゃ今回は自分が住んでる村を取り返すためだから、アタシも頑張ったけどね。でもさ、ここから先はもう本当に戦争でしょ?それに付き合えって言われてもさ、ヤバイだけじゃん?」

ラクエルは唇を結んで難色を示した。
隣に座るリリアは、寝袋の中でスヤスヤと眠る愛娘の頭を撫でながら、黙って二人の会話に耳を傾けていた。

今このテントの中には、レイチェル、ラクエル、リリア、エマの四人がいる。
元々はレイチェルを除いた三人で使う予定だったのだが、今後の話しをするためにレイチェルも入って来たのだ。

「確かにキミの言う通りだ。我々は戦争をしている。ここから先は帝国との国境も近くなり、より危険になっていくだろう。しかしキミも村のために戦ったと言うのなら、クインズベリーが帝国に敗れ支配される事は、黙っていられないのではないか?ラクエル、考えてくれないか?」

「う~ん・・・それはそうなんだけどね。でもさ、ほら、アタシ元々はロンズデールじゃん?で、今はクインズベリーに来たじゃん?そんでセドコン村は奪還したけど、ぶっちゃけ半壊してて住める状態じゃないじゃん?それならまたどっか良いとこ探せば良くない?みたいな感じなんだよね。あんまし国とか場所にはこだわってないんだよね、アタシ」

「ラクエル・・・キミってヤツは・・・・・」

思いもかけないラクエルの考え方に、レイチェルは思わず苦笑いを浮かべた。

感情のままに生きているところがあるとは思っていたが、まさかここまで自由な思想をしているとは思わなかった。たまたまセドコン村の居心地が良かったので住んでいたが、そこがダメになったのならまた次を探せばいい。一つの土地にこだわらない、ラクエルにとってはそれだけの事なのだ。

説得する言葉が浮かばず、レイチェルが言葉に詰まると、それまで黙っていたリリアがラクエルに顔を向けた。


「ラクエルさん・・・戦う力の無い私には、こんな事は言えないかもしれません。でもラクエルさんは、本当は戦いたいのではないですか?」

「え?・・・やだなぁリリア、なに言ってんの?アタシはこんなヤバイとこから、さっさと離れたいって思ってるけど」

「・・・私とエマがいるからですよね?ラクエルさん、ロンズデールを離れた日から、いつも私達親子を気にかけてくださいました。エマはラクエルさんを本当のお姉ちゃんと慕ってますし、私もラクエルさんの事は、かけがえのない大切なお友達だと思ってます。だから分かるんです・・・」

リリアは一度そこで言葉を切ると、ラクエルの瞳を見つめて話しを続けた。

「ラクエルさんはセドコン村で、毎日楽しそうに暮らしてましたよね。村の人達とも仲良くて、ずっとここにいたいって言ってました・・・・・それなのに大切な村が壊されて、村の人達もほとんどが殺されてしまいました。本当は・・・みんなの仇を討ちたいって思ってますよね?」

「・・・リリア、アタシは・・・」

「私とエマの事を考えて、一緒に残ってくれようとしているのも分かってます。でも大丈夫です。今日レイジェスの皆さんと話したのですが、私達はこのまま一緒に中間地点まで行き、そこで治安部隊の方が保護してくださる事になったんです。だから私達の事は心配しないでください。戦いが終わるまで、ラクエルさんの帰りを待ってますから」

そこまで話すと、リリアはラクエルの手をそっと握った。

「ラクエルさんの力は、平和のために必要なんです。戦いが終わったら絶対に帰って来てください。また一緒に暮らしましょう」

「・・・リリアって、意外に鋭いって言うか・・・・・本当によくアタシを見てるよね」

自分の事を大切な友達と口にするリリアに、ラクエルもこれ以上本心を隠す事はできなかった。
小さく息をつくと髪を掻き揚げて、その通りだよ、とリリアの言葉を認めた。

「そう、リリアの言う通りだよ。さっきはああ言ったけど、あの村には愛着もあったし、村の人達はみんな他所から来たアタシらに親切だったしさ。それなのにみんな・・・・・あいつら・・・・・」

押さえ込んでいた怒りを吐き出すように、ラクエルの口調が荒くなった。
キツく歯を食いしばり、握り締めた拳が震えている。


「ラクエル、落ち着け!」

レイチェルはラクエルの肩を掴むと、その目を見て強く言葉をかけた。

「っ!?あ、ああ・・・‥悪いね、なるべく深く考えないようにしてたんだけど、やっぱ口にするとね・・・マジで許せないわ・・・・・」

「・・・ラクエル、やはり一緒に来てほしい。キミも自分の心に決着をつける必要があるはずだ。国のためではなく、自分自身のために戦おう」

「・・・・・」

「ラクエルさん・・・友達としては本当は止めるべきなんでしょうね。私とエマの願いは、ラクエルさんが無事に帰って来てくれる事だけです。どうか、忘れないでくださいね」

リリアからも言葉をかけられると、ラクエルは腕を組んで思案するように目を閉じた。


どれくらい待っただろうか。
五分・・・いや、十分は待ったかもしれない。


ふいにラクエルは目を開けると、妙にスッキリとした顔を二人に向けて笑った。


「うん、決めた。いいよ、一緒に帝国をやっつける事にするよ!」
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