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プロローグ(共通)
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理央の褒め言葉に、彩響は笑いながら運ばれてきたビールを飲んだ。結婚準備やなんやらで結構忙しかったけど、あの日以来完全に自由になり、むしろ担当していた雑誌の売上は上がった。退勤後、無理やりデートに呼ばれることも当然なくなり、疲れも以前よりは溜まってない。はっきり言って、あいつと別れて損したことは何ひとつない。
「今更だけど、あいつと別れて正解だったと思うよ。あんたより稼ぎも少ないくせして、なんなの、あの傲慢さ!私、あんたがうちの夫のような人には結婚してほしくなかったの」
「…さり気なく旦那さんディスらないで」
「うちの旦那ね、以前亜沙美に自分の靴下脱がせて、『こうすると男に愛されるぞ』とか言ってたんだよ?それで私が『亜沙美が将来結婚して夫にこんな扱いされてもいいわけ?』と言って大喧嘩したの」
理央がビールをガブガブ飲み込む。彼女の旦那は世間でいう「望ましい旦那像」からはだいぶ距離のある人物で、こうして会う度にこのような話を聞かされた。それでも彼女は「子供の父親だから」、「別れる自信がないから」、とか言って、結局自分自身の立場を受け入れてしまう。そんな友人を見て、彩響はいつも複雑な気分になるのだった。
幸せになるため皆結婚しているはずなのに、理央も、母も、幸せには見えない。いつも女としての責任に追われ、家でも外でも微妙な立場にいる。もし元カレとの結婚が無事進んだとしても、きっと自分も将来はこのようになっていたのだろう。そう思うと、ますます自分の選択は正しかったと本気で思える。
「あー、男の話は辞めましょう。私は洗濯も掃除も料理も片付けも全く興味ないし、そういうのを求めるやつだったから別れて正解だったと思うよ。…もちろん、ちょっとくらいは家事しなきゃとは思っているけど」
「あんた、相変わらず汚部屋の住人なの?」
「仕方ないよ、仕事で忙しいの」
「はあ、まあそうだね。…実はあなたにその件でおすすめしたいものがあってね」
理央はカバンからスマホを出すと、何かを画面に表示してこっちへ見せた。若い男たちの写真が並んでいるその画面がなんのサイトなのか、彩響にはピンと来なかった。
「えーと、なにこれ?」
「ほら、きちんと文字を読んでみて」
言われるまま、彩響は画面の文字を読んだ。
「『家事のことならなんでもおまかせ!
働く女性を笑顔に
家事代行専門会社(株)Cinderella(シンデレラ)』…って、家事代行?」
「今更だけど、あいつと別れて正解だったと思うよ。あんたより稼ぎも少ないくせして、なんなの、あの傲慢さ!私、あんたがうちの夫のような人には結婚してほしくなかったの」
「…さり気なく旦那さんディスらないで」
「うちの旦那ね、以前亜沙美に自分の靴下脱がせて、『こうすると男に愛されるぞ』とか言ってたんだよ?それで私が『亜沙美が将来結婚して夫にこんな扱いされてもいいわけ?』と言って大喧嘩したの」
理央がビールをガブガブ飲み込む。彼女の旦那は世間でいう「望ましい旦那像」からはだいぶ距離のある人物で、こうして会う度にこのような話を聞かされた。それでも彼女は「子供の父親だから」、「別れる自信がないから」、とか言って、結局自分自身の立場を受け入れてしまう。そんな友人を見て、彩響はいつも複雑な気分になるのだった。
幸せになるため皆結婚しているはずなのに、理央も、母も、幸せには見えない。いつも女としての責任に追われ、家でも外でも微妙な立場にいる。もし元カレとの結婚が無事進んだとしても、きっと自分も将来はこのようになっていたのだろう。そう思うと、ますます自分の選択は正しかったと本気で思える。
「あー、男の話は辞めましょう。私は洗濯も掃除も料理も片付けも全く興味ないし、そういうのを求めるやつだったから別れて正解だったと思うよ。…もちろん、ちょっとくらいは家事しなきゃとは思っているけど」
「あんた、相変わらず汚部屋の住人なの?」
「仕方ないよ、仕事で忙しいの」
「はあ、まあそうだね。…実はあなたにその件でおすすめしたいものがあってね」
理央はカバンからスマホを出すと、何かを画面に表示してこっちへ見せた。若い男たちの写真が並んでいるその画面がなんのサイトなのか、彩響にはピンと来なかった。
「えーと、なにこれ?」
「ほら、きちんと文字を読んでみて」
言われるまま、彩響は画面の文字を読んだ。
「『家事のことならなんでもおまかせ!
働く女性を笑顔に
家事代行専門会社(株)Cinderella(シンデレラ)』…って、家事代行?」
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