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洗濯の変態編3章:早速ですが、服を脱いでください
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時間がとてもゆっくりと流れて行く。カチカチと動く秒針の音を聞いている中、誰かがドアをノックする音が聞こえた。急いで開けると、そこにはカバンを持った寛一さんが立っていた。彩響が彼にドレスを見せる。
「…ご覧の通りです」
「なるほど。早速応急処置します」
中へ入ってきた寛一さんは早速ベッドの上に、持ってきたカバンを広げた。一瞬どこかのお医者さんのカバンかと思ったが、中には医療道具ではなく各種洗剤が入っている。その中で2つのボトルを手に取った寛一さんが彩響の前に立った。
「それでは…早速ですが、服を脱いでください」
「…は?」
その言葉にやっと正気に戻る。ここはホテルの部屋で、中にいるのは二人っきり、そして…状況を把握した彩響の顔が赤く染まった。
「な、なにを言うのですか!脱げません!」
「はい?ですが、脱がないと作業ができませんが…」
「そんな問題じゃない!あなたに下着姿見られるのが嫌なんですよ、もういい大人だからそれくらい察してください!」
「彩響さん、これから大事なインタビューが待っているのではありませんか?」
寛一さんの声にあっ、と彩響の動きが止まる。そう、今はここへ仕事で来ている。この日のためにどれくらい苦労したものか、考えるだけで辛い。なにより、今日をこのまま無駄にし、あとで自分に返ってくる非難が怖い。
「ちょっと、振り向いていてください」
「いや、それより俺が脱がしてあげた方が…」
「いいから振り向いていて!」
彩響の言葉に寛一さんが振り向く。彩響は丁寧にドレスを脱いで、そのまま窓の方へダッシュした。長いカーテンで体を巻いて、手だけ伸ばしてドレスを渡す。寛一さんがそれを受け取った。
「少々お待ち下さい」
早速寛一さんが浴室の中へ入った。中で水が流れる音、じゃぶじゃぶと服を洗う音がして、又絞る音がした。タオルでドレスを包み、それを丁寧な手つきでベッドの上に広げる。次にドライヤーで乾かしていくと、濡れていたドレスが徐々に元の姿へ戻っていった。その作業過程はとても綺麗で、一切の無駄もない。
(プロだ…あれはプロの手つきだ…)
ふと、彼はなぜ入居家政夫になろうとしたのか気になり始めた。なにかきっかけでもあったんだろうか。彩響が声をかけた。
「あの…」
「なんでしょう?」
「寛一さんは、なぜ家政夫になったんですか?」
一瞬部屋の空気が静寂に包まれる。ドライヤーの音だけが気まずい空間を埋めるだけで、寛一さんはそれ以上なにも言わなかった。
(え?なんか私、変なことでも言った?)
ふと家政夫たちが遊びにきた時のことを思い出す。確かその時も、「店」という単語でこんな雰囲気になっていた。もしかして、家政夫になったのもその「店」というのがきっかけで…
「できました」
寛一さんの声に思考が止まった。彼はカーテンの近くまで来て、ドレスを見せる。それを見た彩響が驚きと喜びで叫んだ。
「すごい、元に戻ってる!!」
「さあ、早く着替えてください」
カーテンの裏でドレスを着る…が、このドレスは一人では着られないということをすっかり忘れていた。一回洗ったせいで、背中の紐の形も崩れている。彩響が慌てていることに気づいた寛一さんが再び声をかける。
「やはり俺が手伝った方が良いかと」
「…ご覧の通りです」
「なるほど。早速応急処置します」
中へ入ってきた寛一さんは早速ベッドの上に、持ってきたカバンを広げた。一瞬どこかのお医者さんのカバンかと思ったが、中には医療道具ではなく各種洗剤が入っている。その中で2つのボトルを手に取った寛一さんが彩響の前に立った。
「それでは…早速ですが、服を脱いでください」
「…は?」
その言葉にやっと正気に戻る。ここはホテルの部屋で、中にいるのは二人っきり、そして…状況を把握した彩響の顔が赤く染まった。
「な、なにを言うのですか!脱げません!」
「はい?ですが、脱がないと作業ができませんが…」
「そんな問題じゃない!あなたに下着姿見られるのが嫌なんですよ、もういい大人だからそれくらい察してください!」
「彩響さん、これから大事なインタビューが待っているのではありませんか?」
寛一さんの声にあっ、と彩響の動きが止まる。そう、今はここへ仕事で来ている。この日のためにどれくらい苦労したものか、考えるだけで辛い。なにより、今日をこのまま無駄にし、あとで自分に返ってくる非難が怖い。
「ちょっと、振り向いていてください」
「いや、それより俺が脱がしてあげた方が…」
「いいから振り向いていて!」
彩響の言葉に寛一さんが振り向く。彩響は丁寧にドレスを脱いで、そのまま窓の方へダッシュした。長いカーテンで体を巻いて、手だけ伸ばしてドレスを渡す。寛一さんがそれを受け取った。
「少々お待ち下さい」
早速寛一さんが浴室の中へ入った。中で水が流れる音、じゃぶじゃぶと服を洗う音がして、又絞る音がした。タオルでドレスを包み、それを丁寧な手つきでベッドの上に広げる。次にドライヤーで乾かしていくと、濡れていたドレスが徐々に元の姿へ戻っていった。その作業過程はとても綺麗で、一切の無駄もない。
(プロだ…あれはプロの手つきだ…)
ふと、彼はなぜ入居家政夫になろうとしたのか気になり始めた。なにかきっかけでもあったんだろうか。彩響が声をかけた。
「あの…」
「なんでしょう?」
「寛一さんは、なぜ家政夫になったんですか?」
一瞬部屋の空気が静寂に包まれる。ドライヤーの音だけが気まずい空間を埋めるだけで、寛一さんはそれ以上なにも言わなかった。
(え?なんか私、変なことでも言った?)
ふと家政夫たちが遊びにきた時のことを思い出す。確かその時も、「店」という単語でこんな雰囲気になっていた。もしかして、家政夫になったのもその「店」というのがきっかけで…
「できました」
寛一さんの声に思考が止まった。彼はカーテンの近くまで来て、ドレスを見せる。それを見た彩響が驚きと喜びで叫んだ。
「すごい、元に戻ってる!!」
「さあ、早く着替えてください」
カーテンの裏でドレスを着る…が、このドレスは一人では着られないということをすっかり忘れていた。一回洗ったせいで、背中の紐の形も崩れている。彩響が慌てていることに気づいた寛一さんが再び声をかける。
「やはり俺が手伝った方が良いかと」
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