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知らなかったんだ、また明日がこんなに楽しみだなんて
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広いテーブルの上に、見たことのない料理が次々と並んでいく。赤と青の小さな蜥蜴達が頭の上にお皿を乗せて、行進するみたいに列を作って運んでくる。
二人の召し使いって言ってたから、村で言うとこの俺達みたいなもんかな。セイとソウがご主人様だから大切にされているんだろうな、きっと。みんな鱗が艶々してるし、何か楽しそうってゆーか、生き生きしてる。
それにしてもこんなご馳走見ちゃったら、豪勢に見えた最期の晩餐だったものが霞んじゃうなぁ。
「これ全部サトルちゃんのだから、遠慮しないで食べていいからね」
「好きな物を好きなだけ食べていいからな。残りは俺達の眷属が片付けるから、気にしなくていいぞ」
「二人は食べないの?」
これだけの量だから、てっきり三人で食べるもんだと思っていたのに。
「俺達、ここの気を取り込んで生きてるからさ。栄養は必要ないんだよね」
「人間に例えると、空気を吸うこと自体が食事になるようなものなんだ」
ふわりと微笑んで、赤い手が俺の頭を撫でる。俺をソウと挟むようにして左側に座っているセイの青い手が、俺の背中を優しく撫でた。
二人とも俺が遠慮しないようにって、言ってくれているのは分かる。
でも、違うのに……そうじゃないのに。
「一緒にご飯、食べたかったな……」
物心ついた時から、食事は一人で取っていた。
帰りがけにたまたま目にした光景が、家族みんなで囲んでいる食卓が、俺が口にするものと何ら変わらない粗末な物だったのに。とても楽しそうで、幸せそうで、羨ましくて。
だから、俺もあの家族みたいに……セイとソウと三人で食べる食事を楽しみにしていたんだけどな。
「食べられないわけじゃないからねっ!」
「栄養的には取る必要が無いと言うだけで、ちゃんと味わえるし消化も出来るから問題ないぞっ!」
俺の心を覆いかけた黒いもやを吹き飛ばすように、左右から大きな声が響いて俺の鼓膜を揺らす。
「……本当に? 無理、してない?」
村での境遇に怒ってくれて、滅ぼそうとしてしまうような二人だから、俺に内緒で優しい嘘の一つでもついてしまいそうで。神様だからって、丈夫だからって、身体を平気で張ってしまいそうで怖い。
二人は俺の旦那様で……家族、だから。俺に嫌なことをさせたくないように、俺も二人に嫌なことはさせたくないのに。
「俺は……サトルちゃんがそんな風に、悲しそうな顔をしてるのが嫌だな」
「俺もだ。俺達、食事を取るのは別に初めてじゃないんだぞ? たまに、味を楽しむ為に取っていたからな」
まるで俺の心の声に返事をするみたいに、ソウが俺の輪郭を指でなぞってから眉を下げる。セイが腕を組んで頷いて、安心させるみたいに俺に微笑みかけてくれた。
「じゃあ、三人でご飯食べられるの? 家族みたいに」
「勿論だ! というか、俺達はもう家族だろう? なあ、ソウ」
「うんうん! これから毎日、一緒にご飯食べようね。サトルちゃんは何が好き?」
そう尋ねて腕を広げて料理の数々を俺に指し示す。
色とりどりの野菜が盛られたサラダや、綺麗なピンク色の断面の肉が、何枚も満開の花みたいに並べられている皿。丸々一匹の大きな魚が煮込まれているものや、一口サイズに丸く切られた果実がいっぱい、透明な蜜の中に浮かんだものもある。
ただでさえ目移りしているのに、二人から貰った家族という言葉に胸がいっぱいで。満腹でもないのに、お腹もいっぱいな気がするから困ってしまう。
「食べたことのないものばっかりだから、少しずつ色々食べてみたいかな」
「よし、じゃあ取り皿に盛っていこうか」
「俺のお勧めはねぇ、やっぱりお肉かな!」
真っ白だった皿が、次々と盛られる料理によって彩られていく。温かい笑顔と賑やかな笑い声に包まれて、幸せの味を思う存分噛み締めた。
◇
思いっきり飛び込むと、ふかふかした布が俺の全身をぽふんっと受け止める。何回転がっても端に辿り着くことも、床へと落ちることもない。このベッドだけでも、俺の住んでた家が全部埋まっちゃいそうだ。
「どう? 気に入ってくれた?」
「今までは、俺達二人で使っていたんだが……サトルの為にも、もう一回り大きな物にしてもいいかも知れないな」
俺の両側が二人の重みを受けて少し沈む。
腹這いになっているソウの瞳が宝玉みたいにキラキラ輝いている。青い鱗に覆われた指が俺の頭から滑るように頬に触れて、撫でた。
「俺、狭い所慣れてるから大丈夫だよ? そもそも十分広いし。それに前は固い地面の上に、藁を敷いて寝てたからこんなにふかふかのベッドの上ってだけでも……あっ」
気を使って欲しくなかったから、言ったのに。あれだけ言葉には注意しないとって、思っていたのに。
まるで吹雪の中にいるみたいに、部屋の空気が凍りついて。弾かれるように起き上がった二人の背後が、雷が鳴っている時の空みたいにおどろおどろしく見えた。
「もう、いっそのことさ……あの辺り一帯まとめて綺麗にしちゃった方がいいんじゃない?」
「賛成だ……動物だけ避難させて、津波でも引き起こすか。木々や草花は、後からいくらでも増やせばいい」
規模が前より大きくなってる!
昔、隣の村が津波で、家とか船とか全部流されてしまった、って村のじいさんから聞いたことがあるけど。俺の村にまで届く波って……そんなものが来たらひとたまりもないじゃないか!
「あー、なんだか少し寒いな。二人に温めて欲しいなぁ……」
なんて言ったらいいのか、もう分かんないんだけど。
温めて欲しいってなんなんだよ、一体。完全に棒読みだしさ。
逆に熱くなってきた顔を覆って息をつく。ほんの少しの浮遊感と共に、ベッドが盛大に軋む音がして、ムチムチとした温かいものに左右から挟まれた。
「俺達が、いっぱいぎゅってしてあげるからねっ!」
「摩擦すると良いともいうからな! 一緒に全力で撫でるぞ、ソウ!」
二色の腕が忙しなく俺の全身を撫で擦る。
何だろう二人とも純粋過ぎるというか、俺の言いなり過ぎるというか。それは、とても嬉しい反面、少し胸がもやもやして、心の中で何度も彼等に向かって頭を下げた。
◇
とにもかくにも、三度の危機を乗り越えた安堵からか、はたまた全身全霊を込めて温められたお陰か。目がとろとろしてしまって、二人の顔がぼやけて見えてきた。
「あれ、眠くなっちゃった?」
「環境の変化にまだ慣れていないんだろう。ゆっくり休むといい」
頭とお腹をゆるゆる撫でられて、ますます瞼が重くなる。このまま目を閉じてしまうのが、何だかとても怖くて……二人の手を握り締めた。
「このまま……繋いでいても、いい?」
きょとんとした二人の顔が寝ぼけた俺の目に映る。切れ長の瞳がゆるんと下がって、俺の左右の頬に柔らかいものが触れた。
「今の…何?」
ふにふにしてて、少し擽ったくて、でも胸がほわほわした。
「お休みなさいのキスだよ」
「君がいい夢を見られるように……と願いをこめたんだ」
キス……好きな人同士がするものだって、聞いたことがあるけど。こんなに気持ちが温かくなって、思い出すだけで嬉しくて、だらしのない顔になってしまうものだなんて。
「二人だけ、ズルい……俺もセイとソウにしたい」
今度は湯気が出そうなくらい、二人の顔が赤くなる。ソウなんて、ただでさえ赤い鱗に所々覆われているのに、健康的な肌色の部分まで真っ赤っかだ。
「気持ちは滅茶苦茶嬉しいけどさぁ……サトルちゃん、もうお目目ほとんど閉じかけちゃってるよ?」
「疲れてるんだろう? 側にいるから今日はもう寝ような。代わりに起きたときに、おはようのキスをしてくれないか?」
あー! それ、いいね! セイ、ナイス!! と元気な少し高めの声と、だろう? もっと褒めてもいいんだぞ、と得意気な少し低めの声を聞きながら、生まれて初めて、早く明日になるように。
早く目が覚めて、大好きな二人におはようの挨拶が出来るように。そう、願いながら抗っていた眠気を受け入れて大人しく身を委ねた。
二人の召し使いって言ってたから、村で言うとこの俺達みたいなもんかな。セイとソウがご主人様だから大切にされているんだろうな、きっと。みんな鱗が艶々してるし、何か楽しそうってゆーか、生き生きしてる。
それにしてもこんなご馳走見ちゃったら、豪勢に見えた最期の晩餐だったものが霞んじゃうなぁ。
「これ全部サトルちゃんのだから、遠慮しないで食べていいからね」
「好きな物を好きなだけ食べていいからな。残りは俺達の眷属が片付けるから、気にしなくていいぞ」
「二人は食べないの?」
これだけの量だから、てっきり三人で食べるもんだと思っていたのに。
「俺達、ここの気を取り込んで生きてるからさ。栄養は必要ないんだよね」
「人間に例えると、空気を吸うこと自体が食事になるようなものなんだ」
ふわりと微笑んで、赤い手が俺の頭を撫でる。俺をソウと挟むようにして左側に座っているセイの青い手が、俺の背中を優しく撫でた。
二人とも俺が遠慮しないようにって、言ってくれているのは分かる。
でも、違うのに……そうじゃないのに。
「一緒にご飯、食べたかったな……」
物心ついた時から、食事は一人で取っていた。
帰りがけにたまたま目にした光景が、家族みんなで囲んでいる食卓が、俺が口にするものと何ら変わらない粗末な物だったのに。とても楽しそうで、幸せそうで、羨ましくて。
だから、俺もあの家族みたいに……セイとソウと三人で食べる食事を楽しみにしていたんだけどな。
「食べられないわけじゃないからねっ!」
「栄養的には取る必要が無いと言うだけで、ちゃんと味わえるし消化も出来るから問題ないぞっ!」
俺の心を覆いかけた黒いもやを吹き飛ばすように、左右から大きな声が響いて俺の鼓膜を揺らす。
「……本当に? 無理、してない?」
村での境遇に怒ってくれて、滅ぼそうとしてしまうような二人だから、俺に内緒で優しい嘘の一つでもついてしまいそうで。神様だからって、丈夫だからって、身体を平気で張ってしまいそうで怖い。
二人は俺の旦那様で……家族、だから。俺に嫌なことをさせたくないように、俺も二人に嫌なことはさせたくないのに。
「俺は……サトルちゃんがそんな風に、悲しそうな顔をしてるのが嫌だな」
「俺もだ。俺達、食事を取るのは別に初めてじゃないんだぞ? たまに、味を楽しむ為に取っていたからな」
まるで俺の心の声に返事をするみたいに、ソウが俺の輪郭を指でなぞってから眉を下げる。セイが腕を組んで頷いて、安心させるみたいに俺に微笑みかけてくれた。
「じゃあ、三人でご飯食べられるの? 家族みたいに」
「勿論だ! というか、俺達はもう家族だろう? なあ、ソウ」
「うんうん! これから毎日、一緒にご飯食べようね。サトルちゃんは何が好き?」
そう尋ねて腕を広げて料理の数々を俺に指し示す。
色とりどりの野菜が盛られたサラダや、綺麗なピンク色の断面の肉が、何枚も満開の花みたいに並べられている皿。丸々一匹の大きな魚が煮込まれているものや、一口サイズに丸く切られた果実がいっぱい、透明な蜜の中に浮かんだものもある。
ただでさえ目移りしているのに、二人から貰った家族という言葉に胸がいっぱいで。満腹でもないのに、お腹もいっぱいな気がするから困ってしまう。
「食べたことのないものばっかりだから、少しずつ色々食べてみたいかな」
「よし、じゃあ取り皿に盛っていこうか」
「俺のお勧めはねぇ、やっぱりお肉かな!」
真っ白だった皿が、次々と盛られる料理によって彩られていく。温かい笑顔と賑やかな笑い声に包まれて、幸せの味を思う存分噛み締めた。
◇
思いっきり飛び込むと、ふかふかした布が俺の全身をぽふんっと受け止める。何回転がっても端に辿り着くことも、床へと落ちることもない。このベッドだけでも、俺の住んでた家が全部埋まっちゃいそうだ。
「どう? 気に入ってくれた?」
「今までは、俺達二人で使っていたんだが……サトルの為にも、もう一回り大きな物にしてもいいかも知れないな」
俺の両側が二人の重みを受けて少し沈む。
腹這いになっているソウの瞳が宝玉みたいにキラキラ輝いている。青い鱗に覆われた指が俺の頭から滑るように頬に触れて、撫でた。
「俺、狭い所慣れてるから大丈夫だよ? そもそも十分広いし。それに前は固い地面の上に、藁を敷いて寝てたからこんなにふかふかのベッドの上ってだけでも……あっ」
気を使って欲しくなかったから、言ったのに。あれだけ言葉には注意しないとって、思っていたのに。
まるで吹雪の中にいるみたいに、部屋の空気が凍りついて。弾かれるように起き上がった二人の背後が、雷が鳴っている時の空みたいにおどろおどろしく見えた。
「もう、いっそのことさ……あの辺り一帯まとめて綺麗にしちゃった方がいいんじゃない?」
「賛成だ……動物だけ避難させて、津波でも引き起こすか。木々や草花は、後からいくらでも増やせばいい」
規模が前より大きくなってる!
昔、隣の村が津波で、家とか船とか全部流されてしまった、って村のじいさんから聞いたことがあるけど。俺の村にまで届く波って……そんなものが来たらひとたまりもないじゃないか!
「あー、なんだか少し寒いな。二人に温めて欲しいなぁ……」
なんて言ったらいいのか、もう分かんないんだけど。
温めて欲しいってなんなんだよ、一体。完全に棒読みだしさ。
逆に熱くなってきた顔を覆って息をつく。ほんの少しの浮遊感と共に、ベッドが盛大に軋む音がして、ムチムチとした温かいものに左右から挟まれた。
「俺達が、いっぱいぎゅってしてあげるからねっ!」
「摩擦すると良いともいうからな! 一緒に全力で撫でるぞ、ソウ!」
二色の腕が忙しなく俺の全身を撫で擦る。
何だろう二人とも純粋過ぎるというか、俺の言いなり過ぎるというか。それは、とても嬉しい反面、少し胸がもやもやして、心の中で何度も彼等に向かって頭を下げた。
◇
とにもかくにも、三度の危機を乗り越えた安堵からか、はたまた全身全霊を込めて温められたお陰か。目がとろとろしてしまって、二人の顔がぼやけて見えてきた。
「あれ、眠くなっちゃった?」
「環境の変化にまだ慣れていないんだろう。ゆっくり休むといい」
頭とお腹をゆるゆる撫でられて、ますます瞼が重くなる。このまま目を閉じてしまうのが、何だかとても怖くて……二人の手を握り締めた。
「このまま……繋いでいても、いい?」
きょとんとした二人の顔が寝ぼけた俺の目に映る。切れ長の瞳がゆるんと下がって、俺の左右の頬に柔らかいものが触れた。
「今の…何?」
ふにふにしてて、少し擽ったくて、でも胸がほわほわした。
「お休みなさいのキスだよ」
「君がいい夢を見られるように……と願いをこめたんだ」
キス……好きな人同士がするものだって、聞いたことがあるけど。こんなに気持ちが温かくなって、思い出すだけで嬉しくて、だらしのない顔になってしまうものだなんて。
「二人だけ、ズルい……俺もセイとソウにしたい」
今度は湯気が出そうなくらい、二人の顔が赤くなる。ソウなんて、ただでさえ赤い鱗に所々覆われているのに、健康的な肌色の部分まで真っ赤っかだ。
「気持ちは滅茶苦茶嬉しいけどさぁ……サトルちゃん、もうお目目ほとんど閉じかけちゃってるよ?」
「疲れてるんだろう? 側にいるから今日はもう寝ような。代わりに起きたときに、おはようのキスをしてくれないか?」
あー! それ、いいね! セイ、ナイス!! と元気な少し高めの声と、だろう? もっと褒めてもいいんだぞ、と得意気な少し低めの声を聞きながら、生まれて初めて、早く明日になるように。
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