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二人が見ている景色
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うららかな日差しの中で見る赤と青の鱗は、いつもより輝いていて、ただでさえ騒がしい俺の心臓がますますドキドキと音を立ててしまう。
さっきからずっと気持ちがふわふわしていて落ち着かない。そんな不思議な感覚に、自分でも気づかない内に身体をそわそわと揺らしていたみたいで、
「緊張してるのか? 大丈夫だぞ。俺達が君を落としてしまうなんて、天地がひっくり返ってもあり得ないからな!」
「そーそー。だから、リラックスして俺達に身を委ねていいんだよ? あ、でも怖くなったらすぐに言ってね? 下ろすからさ」
お揃いの金色の瞳を細めた二人から頭や背中をよしよしと、小さな子をあやすように優しく撫でられてしまった。
穏やかな光を帯びた四つの瞳が見つめる中。まるで、俺を応援するみたいに力強い声がきゅうきゅうと一斉に響き渡る。縁側で、いつものように綺麗に並んでいる赤と青の蜥蜴達からの声援に、なんだか顔が熱くなってしまう。
「あ、う……その、お願い、します……」
なんで敬語になってんだろ……俺。この前の約束通り、二人に肩車してもらうってだけなのにな。
自分でも分かるくらいに滅茶苦茶わくわくしてるや。さっき見た、二人のお手本のせいだろうな、多分。
◇
「はいはーい! 未経験のサトルちゃんにいきなり本番は危ないかもだからさ、俺達のお手本を見てもらった方がいいと思うんだよね!」
サトルちゃんもそう思うでしょ? と俺に尋ねる声は、俺まで嬉しくなっちゃうくらいに明るく弾んでいて。頷くと宝玉みたいな瞳がキラキラ輝き、赤い鱗に覆われた尻尾が左右に大きく揺れる。
普段のカッコいいソウも大好きだけど、こんな風にわくわくしてる時のソウは無邪気で可愛いな。なんだか胸がぽかぽかするや。
「全く、お前は……そんなこと言って、自分が先に肩車してもらいたいだけなんじゃないか?」
「それもあるけど! どんな感じか事前に確認しといてもらわないとさ! だからさ、ほらセイ、早く!」
「やれやれ……分かったから、そんなに引っ張るな」
待ちきれない様子のソウにぐいぐい腕を引かれているセイは、しょうがないなぁって顔してるけど、なんとなく俺と同じで嬉しそうで。ちょっと待っててくれ、と俺の頭を優しく撫でた彼の青い尻尾も、やっぱりゆらゆらと揺れていた。
大きな身体を折り曲げるようにしゃがんだセイの、幅の広いがっしりとした肩の上に、意気揚々とソウが跨がる。彼の長い筋肉質の足をしっかり掴んだセイが、ゆっくりと慎重に立ち上がった。
肩車をしている二人は庭の木とそんなに変わらないくらい大きくて、ずっと見上げていると首の後ろが痛くなっちゃいそうだ。
てゆーか俺、あの上に、あれだけ高くなっちゃってるソウの上に乗るんだよね? そんでもって、お庭を一周するんだよね? ……ちょっとだけ怖いけど、やっぱり楽しそうだな。
「どう? サトルちゃん! スゴいでしょ? セイの肩車! 俺がどれだけ動いても、びくともしないんだから!」
確かに、得意気に鋭い牙を見せるソウが左右に激しく身体を動かそうが。めいいっぱい両腕を伸ばして尻尾をぶんぶん振りながら、俺に向かって全力で手を降ろうが。セイは涼しい顔をしたまま、体勢を崩すことなく、身体が少しもぶれることなく立っている。
やっぱり、あの丸太みたいに太い足のお陰なのかな? どっしりと佇んでいるセイはいつも以上に頼もしく見えて、なんだか胸の奥がきゅってなってしまう。
二人のお嫁さんにしてもらってから、時々今みたいに胸の辺りがおかしくなっちゃう時があるんだけど……一体なんなんだろう? 今度、カミナに聞いてみようかな。
「俺としては、大人しくしてくれていた方が心臓に悪くなくていいんだがな……絶対に落とさない自信はあるが」
困ったように笑うセイはやっぱりなんだか嬉しそうで、だったらいーじゃん! と。彼の頭をぽんぽん叩くソウにため息を漏らしながらも、その表情はふにゃりと綻んだままだった。
そんな、仲良しな二人を見てるとなんでかな? ほっこりした気持ちと同じくらいに、もやもやした気持ちになっちゃうんだ。
でも、そんな俺の不思議な気持ちなんて、二人にはすっかりお見通しみたい。
だって不意に、目配せして肩車を止めた二人に、左右からぎゅうぎゅうと抱き締められたかと思えば、
「ぼーっとしてたらダメだよ? サトルちゃん。次が本番なんだからね?」
「肩車をしたまま三人で、庭を一周しないといけないからな! 準備はいいか?」
と、満面の笑みを向けてもらえて、胸の中があっという間に温かいものでいっぱいになったんだ。
◇
ぐるりと巻き付いた赤い尻尾に腰を支えられ、青い鱗に覆われた手を握りながら、慎重にソウの肩に跨がる。
ゆっくりと上がっていく視界は、いつも二人に抱っこしてもらっているのに、少し高いせいか新鮮で。これからもっと高くなるんだと思うと、心臓が暴れているみたいにうるさくなってしまう。
「頭に手、置いてるだけだと不安でしょ? 俺の角、握ってていいからね?」
「痛くないの? 大丈夫?」
「全っ然! 丈夫だからさ、俺達の角。頑張ればダイヤモンドも砕けちゃうからね!」
ダイヤって……前にセイに教えてもらったけど、スゴく硬い石じゃなかったっけ? それを砕けるって……一体どうなってるんだろ? 二人の身体。
ふふんと自慢気に鼻を鳴らす彼の黒い角に、そっと手を伸ばす。すべすべしたそれを握ると、不安定だった上半身が安定して、少し気持ちに余裕が出来た。
「よし、そのまましっかりソウに掴まってるんだぞ?」
俺の頬をひと撫でしてから、さっきみたいにセイがしゃがんだ。俺の足を掴んだまま、器用にソウが彼に跨がって再びゆっくりと俺の視界が上昇していく。
いつもより、二人の身長分だけ高くなった世界は、まるで宙に浮かんでいるみたいで。つい、調子に乗って、空に浮かぶ雲に向かって手を伸ばしたくなっちゃうや。二人を心配させたくないからしないけどね。
「良かった! 喜んでくれてるみたいで」
「大丈夫か? 怖くはないか?」
「大丈夫だよ。ありがとうセイ、ソウ、すっごく楽しいよ!」
普段は上か正面なのに、下から聞こえてくる元気な高めの声と穏やかな低めの声が面白くて、さっきからずっとにやにやしっぱなしだ。
なんだか、だんだん俺まで二人みたいに強くてカッコよくなれたような、そんな気がしてくるんだから不思議だな。
「よーし、じゃあそろそろ行っちゃう?」
「二人ともしっかり掴まってるんだぞ?」
「うん!」
いってらっしゃいと、きゅうきゅう鳴きながら細い尻尾を振る蜥蜴達に小さく手を振って、ソウの角をしっかり握る。
「「出発進行!!」」
元気よく重なった二人の声を合図に、俺達は三人で風を切っていく。
どんどん変わっていく景色が、鳥になったみたいに空に近い視界が、とても不思議で楽しくて。笑い声が止まらなくなっちゃって、いつの間にか二人にまでうつっちゃってて。一周して戻ってくるころには三人ともお腹の筋肉が痛くなってしまっていた。
つい、はしゃぎすぎて少し咳き込んでいた俺達に、蜥蜴達が慌てて温かいお茶を運んできてくれた。
さっきからずっと気持ちがふわふわしていて落ち着かない。そんな不思議な感覚に、自分でも気づかない内に身体をそわそわと揺らしていたみたいで、
「緊張してるのか? 大丈夫だぞ。俺達が君を落としてしまうなんて、天地がひっくり返ってもあり得ないからな!」
「そーそー。だから、リラックスして俺達に身を委ねていいんだよ? あ、でも怖くなったらすぐに言ってね? 下ろすからさ」
お揃いの金色の瞳を細めた二人から頭や背中をよしよしと、小さな子をあやすように優しく撫でられてしまった。
穏やかな光を帯びた四つの瞳が見つめる中。まるで、俺を応援するみたいに力強い声がきゅうきゅうと一斉に響き渡る。縁側で、いつものように綺麗に並んでいる赤と青の蜥蜴達からの声援に、なんだか顔が熱くなってしまう。
「あ、う……その、お願い、します……」
なんで敬語になってんだろ……俺。この前の約束通り、二人に肩車してもらうってだけなのにな。
自分でも分かるくらいに滅茶苦茶わくわくしてるや。さっき見た、二人のお手本のせいだろうな、多分。
◇
「はいはーい! 未経験のサトルちゃんにいきなり本番は危ないかもだからさ、俺達のお手本を見てもらった方がいいと思うんだよね!」
サトルちゃんもそう思うでしょ? と俺に尋ねる声は、俺まで嬉しくなっちゃうくらいに明るく弾んでいて。頷くと宝玉みたいな瞳がキラキラ輝き、赤い鱗に覆われた尻尾が左右に大きく揺れる。
普段のカッコいいソウも大好きだけど、こんな風にわくわくしてる時のソウは無邪気で可愛いな。なんだか胸がぽかぽかするや。
「全く、お前は……そんなこと言って、自分が先に肩車してもらいたいだけなんじゃないか?」
「それもあるけど! どんな感じか事前に確認しといてもらわないとさ! だからさ、ほらセイ、早く!」
「やれやれ……分かったから、そんなに引っ張るな」
待ちきれない様子のソウにぐいぐい腕を引かれているセイは、しょうがないなぁって顔してるけど、なんとなく俺と同じで嬉しそうで。ちょっと待っててくれ、と俺の頭を優しく撫でた彼の青い尻尾も、やっぱりゆらゆらと揺れていた。
大きな身体を折り曲げるようにしゃがんだセイの、幅の広いがっしりとした肩の上に、意気揚々とソウが跨がる。彼の長い筋肉質の足をしっかり掴んだセイが、ゆっくりと慎重に立ち上がった。
肩車をしている二人は庭の木とそんなに変わらないくらい大きくて、ずっと見上げていると首の後ろが痛くなっちゃいそうだ。
てゆーか俺、あの上に、あれだけ高くなっちゃってるソウの上に乗るんだよね? そんでもって、お庭を一周するんだよね? ……ちょっとだけ怖いけど、やっぱり楽しそうだな。
「どう? サトルちゃん! スゴいでしょ? セイの肩車! 俺がどれだけ動いても、びくともしないんだから!」
確かに、得意気に鋭い牙を見せるソウが左右に激しく身体を動かそうが。めいいっぱい両腕を伸ばして尻尾をぶんぶん振りながら、俺に向かって全力で手を降ろうが。セイは涼しい顔をしたまま、体勢を崩すことなく、身体が少しもぶれることなく立っている。
やっぱり、あの丸太みたいに太い足のお陰なのかな? どっしりと佇んでいるセイはいつも以上に頼もしく見えて、なんだか胸の奥がきゅってなってしまう。
二人のお嫁さんにしてもらってから、時々今みたいに胸の辺りがおかしくなっちゃう時があるんだけど……一体なんなんだろう? 今度、カミナに聞いてみようかな。
「俺としては、大人しくしてくれていた方が心臓に悪くなくていいんだがな……絶対に落とさない自信はあるが」
困ったように笑うセイはやっぱりなんだか嬉しそうで、だったらいーじゃん! と。彼の頭をぽんぽん叩くソウにため息を漏らしながらも、その表情はふにゃりと綻んだままだった。
そんな、仲良しな二人を見てるとなんでかな? ほっこりした気持ちと同じくらいに、もやもやした気持ちになっちゃうんだ。
でも、そんな俺の不思議な気持ちなんて、二人にはすっかりお見通しみたい。
だって不意に、目配せして肩車を止めた二人に、左右からぎゅうぎゅうと抱き締められたかと思えば、
「ぼーっとしてたらダメだよ? サトルちゃん。次が本番なんだからね?」
「肩車をしたまま三人で、庭を一周しないといけないからな! 準備はいいか?」
と、満面の笑みを向けてもらえて、胸の中があっという間に温かいものでいっぱいになったんだ。
◇
ぐるりと巻き付いた赤い尻尾に腰を支えられ、青い鱗に覆われた手を握りながら、慎重にソウの肩に跨がる。
ゆっくりと上がっていく視界は、いつも二人に抱っこしてもらっているのに、少し高いせいか新鮮で。これからもっと高くなるんだと思うと、心臓が暴れているみたいにうるさくなってしまう。
「頭に手、置いてるだけだと不安でしょ? 俺の角、握ってていいからね?」
「痛くないの? 大丈夫?」
「全っ然! 丈夫だからさ、俺達の角。頑張ればダイヤモンドも砕けちゃうからね!」
ダイヤって……前にセイに教えてもらったけど、スゴく硬い石じゃなかったっけ? それを砕けるって……一体どうなってるんだろ? 二人の身体。
ふふんと自慢気に鼻を鳴らす彼の黒い角に、そっと手を伸ばす。すべすべしたそれを握ると、不安定だった上半身が安定して、少し気持ちに余裕が出来た。
「よし、そのまましっかりソウに掴まってるんだぞ?」
俺の頬をひと撫でしてから、さっきみたいにセイがしゃがんだ。俺の足を掴んだまま、器用にソウが彼に跨がって再びゆっくりと俺の視界が上昇していく。
いつもより、二人の身長分だけ高くなった世界は、まるで宙に浮かんでいるみたいで。つい、調子に乗って、空に浮かぶ雲に向かって手を伸ばしたくなっちゃうや。二人を心配させたくないからしないけどね。
「良かった! 喜んでくれてるみたいで」
「大丈夫か? 怖くはないか?」
「大丈夫だよ。ありがとうセイ、ソウ、すっごく楽しいよ!」
普段は上か正面なのに、下から聞こえてくる元気な高めの声と穏やかな低めの声が面白くて、さっきからずっとにやにやしっぱなしだ。
なんだか、だんだん俺まで二人みたいに強くてカッコよくなれたような、そんな気がしてくるんだから不思議だな。
「よーし、じゃあそろそろ行っちゃう?」
「二人ともしっかり掴まってるんだぞ?」
「うん!」
いってらっしゃいと、きゅうきゅう鳴きながら細い尻尾を振る蜥蜴達に小さく手を振って、ソウの角をしっかり握る。
「「出発進行!!」」
元気よく重なった二人の声を合図に、俺達は三人で風を切っていく。
どんどん変わっていく景色が、鳥になったみたいに空に近い視界が、とても不思議で楽しくて。笑い声が止まらなくなっちゃって、いつの間にか二人にまでうつっちゃってて。一周して戻ってくるころには三人ともお腹の筋肉が痛くなってしまっていた。
つい、はしゃぎすぎて少し咳き込んでいた俺達に、蜥蜴達が慌てて温かいお茶を運んできてくれた。
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