気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

文字の大きさ
600 / 661
細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)

いつも以上に眩しい

しおりを挟む
 注文からお代を払うまで、当たり前のようにソレイユはさっさとこなしてしまった。

 俺は口を開く間もなく、ショルダーバッグから財布を取り出す間も与えられなかった。バッグに手をかけた時には、ピロンッと端末での支払いを受け付けた音が鳴っていたのだ。

 あまり待たずに差し出されたソフトクリームも、二つともソレイユが笑顔で受け取っていた。

 つい俺は訴えるような眼差しを向けてしまっていたハズだが、ソレイユは素知らぬ顔。それどころか柔らかく微笑みかけてくれながら、視線で促してきた。

「あっちで食べようか」

「……はい」

 微笑む眼差しの先。建物から少し離れたところにあったのは、いくつかのテーブルとベンチが置かれた広いスペース。一般的な公園くらいの広さはありそうな。そこからは青い水平線を臨むことが出来るようだ。

 海を見ながら休憩する為のスペースなのだろう。すでにちらほらと先客達の姿が見える。

 俺達と同じようにソフトクリームを手にベンチに腰掛けていたり。はたまた唐揚げやフライドポテトらしきホットスナックの入った紙の容器、自販機で購入しただろうペットボトルや缶ジュースを並べて小腹を満たしつつ会話を弾ませていたり。

 ただただのんびりと海から来る風に髪を遊ばせながら景色を眺めていたり。海に近い柵に寄りかかって肩を寄せ合い、端末を片手に記念撮影をしていたり。

 ……いいな。俺もソレイユと。

「オレ達も、後で写真撮ろうか」

「へ」

「いい景色だし、今日の記念にさ。ね?」

 俺の目線に合わせるように高い背を屈めて微笑む。日差しに透けて煌めくオレンジを、爽やかな風がふわりと揺らした。何だろう。いつも以上にソレイユが眩しい。

 胸の奥がきゅうきゅう締め付けられてしまっているのに、不思議とイヤじゃない。

「う、うん……俺も、ソレイユと写真、撮りたいなって……思ってたから」

「良かった。じゃあ、あそこ、座ろうか」

 ソフトクリームが溶けちゃう。ぼうっと突っ立ってしまっていた俺を、明るい調子で急かす。彼が見つめていた先にあるベンチへと俺達は腰掛けた。

 ワッフルコーンの上にくるくると巻かれた白と水色。二色に分かれたソフトクリームが差し出される。コーンには可愛らしい赤と白のチェックの紙が巻かれていた。

「はい、どうぞ」

「ありがとう」

 あらかじめ、ソフトクリームに刺さっていたプラスチックのスプーンを指先で摘む。

 先にお裾分けをした方が良いよな。

 白と水色のクリームをいっぺんに楽しめるよう掬っていると、目の前にオレンジが現れた。丁度先端部分を掬ったんだろう。プラスチックのスプーンの上には小さなソフトクリームがこんもりと乗っかっている。

「しゅーん。はい、あーん」

「……あー」

 大好きな恋人から可愛らしい声と笑顔で促されてしまえば、放っておくなんて、とても、とても。

 ソフトクリームを掬おうとしていた手をいったん止めて、差し出された彼からのお裾分けを口に含む。

 甘酸っぱい。ソフトクリームというよりはジェラートよりというか、オレンジシャーベットというか。とにかくオレンジの良さが全面的に出ている味だった。

 喉の渇きを覚えていた口には嬉しい。生き返った気分だ。さっぱりする。

「どう?」

「美味しい……」

「フフ、だろうね。そういう顔してる」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

目が覚めたら宿敵の伴侶になっていた

木村木下
BL
日本の大学に通う俺はある日突然異世界で目覚め、思い出した。 自分が本来、この世界で生きていた妖精、フォランだということを。 しかし目覚めたフォランはなぜか自分の肉体ではなく、シルヴァ・サリオンという青年の体に入っていた。その上、シルヴァはフォランの宿敵である大英雄ユエ・オーレルの『望まれない伴侶』だった。 ユエ×フォラン (ムーンライトノベルズ/全年齢版をカクヨムでも投稿しています)

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。 男前受け

薔薇摘む人

Kokonuca.
BL
おじさんに引き取られた男の子のお話。全部で短編三部作になります

追放されたおまけの聖女♂は冷徹王太子の腕の中から離してもらえない〜今さら戻れと言われても、もうこの人の魔力しか受け付けません!〜

たら昆布
BL
聖女のおまけで召喚されたと思われて追放された不憫受けが拾われて愛される話

そんなお前が好きだった

chatetlune
BL
後生大事にしまい込んでいた10年物の腐った初恋の蓋がまさか開くなんて―。高校時代一学年下の大らかな井原渉に懐かれていた和田響。井原は卒業式の後、音大に進んだ響に、卒業したら、この大銀杏の樹の下で逢おうと勝手に約束させたが、響は結局行かなかった。言葉にしたことはないが思いは互いに同じだったのだと思う。だが未来のない道に井原を巻き込みたくはなかった。時を経て10年後の秋、郷里に戻った響は、高校の恩師に頼み込まれてピアノを教える傍ら急遽母校で非常勤講師となるが、明くる4月、アメリカに留学していたはずの井原が物理教師として現れ、響は動揺する。

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

お荷物な俺、独り立ちしようとしたら押し倒されていた

やまくる実
BL
異世界ファンタジー、ゲーム内の様な世界観。 俺は幼なじみのロイの事が好きだった。だけど俺は能力が低く、アイツのお荷物にしかなっていない。 独り立ちしようとして執着激しい攻めにガッツリ押し倒されてしまう話。 好きな相手に冷たくしてしまう拗らせ執着攻め✖️自己肯定感の低い鈍感受け ムーンライトノベルズにも掲載しています。 挿絵をchat gptに作成してもらいました(*'▽'*)

処理中です...