気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

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細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)

ついさきっきまで顔を見れなかったクセに現金な

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 最後のお皿をソレイユから受け取り、拭き終えてから棚へと戻す。
 扉を閉めようとしていたところで電気を消してもないのに周りがふと薄暗くなった。自分の上に誰かの影が落ちたからなのだと、そう気付けたのは頬の横を通り過ぎていった腕から先を越されてから、背中に馴染みのある温もりを感じてからだった。

 大きな手によって、ただ食器棚の扉が閉められただけ。それだけなのに、妙に大きく聞こえた音に心臓が高鳴った。単に驚いたからだけじゃないって、ちゃんと分かっていた。

「あ、りがとう」

「どういたしまして」

 もう離れてもいいだろう。目の前の棚に用はないのだから。けれども彼の手は動かない。彼自身も。そのスタイルのいい長身で、俺を逃さないように追い詰めたまま離れようとはしない。今にも後ろから抱き締められてしまいそう。
 いわゆる壁ドンみたいだ。実際は棚だけれども。それでも彼の身体と挟まれて、身動きすら難しいことには変わらない。

 ますます鼓動が大きく駆け足になっていく。それにつれて息も少しだけしにくいような。

 耳元に微かな吐息を感じた。

「シュン……」

「ひゃいっ!」

 返事をしたつもりが口から飛び出ていたのは悲鳴にも似た情けのない声。そんなムードのムの字もない反応をしてしまったからだろう。

「フフ、ごめん、ごめん、そんなに驚かせるつもりはなかったんだよ?」

 ソレイユの声からは、先程俺を呼んだ時のような甘さはすっかりなくなってしまっていた。悪戯に成功した子供のような、無邪気な調子になってしまっている。
 逃がすまいとばかりに俺を囲っていた手が離れ、視界が元の明るさを取り戻す。
 優しく肩を叩かれ振り向けば、いつもの柔らかい笑顔が俺を迎えてくれた。

「じゃあ、お風呂……入ろっか?」

「……はい」

 おいで、と手を差し出されると、その手を取らない訳には。
 頼もしくもキレイな手のひらへとそろりと乗せた指先は、その大きな手としなやかな指にたちまち捕まり、繋がれた。指を絡めてしっかりと。

 手を引かれながら、程なくしてついた洗面所。まだ顔の熱すら収まってはいないのに、気持ちを切り替えるのは難しい。ソレイユの顔を見れないでいると、大きな手のひらが宥めるように俺の頭を撫でてくれた。
 繋いでくれていた手が、ゆっくりと離れてしまう。

「バスタオル、出してくるから」

「ありがとう……」

「どういたしまして」

 デジャヴなやり取りの後、棚を開く音がした。バスタオルを出してくれているんだろう。

 間を置かずに、近くで聞こえ始めたのは衣擦れの音。流石の俺でも、何の音かはすぐに分かった。
 それから、現金でもあった。ついさっきまで顔を見れなかったクセに、釣られてしまっていたのだから。

 視線の先には、惜しげもなく晒されている引き締まった体躯。幅の広い肩、適度に盛り上がった胸板、括れた腰、割れた腹筋。
 無駄なものは全て努力で削ぎ落としたかのような。細いながらもしっかりとついている筋肉は洗練されていて美しい。ハリのある白い肌に確かな陰影を残している様はまるで彫刻みたいで。

 血管の浮き出た手がベルトにかかる。小さな金属音が鳴り始めたところで、伏せられていた眼差しがこちらを向いた。
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