気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

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マッチョな幼なじみと恋人同士になった件(ダンルート)

そんなに俺って分かりやすいんだろうか……

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 寮に帰った俺は、一つ上の階にある部屋へと訪れていた。呼び鈴を鳴らした途端、元気のいい足音がドア越しに近づいてくる。

「はーい、いらっしゃい! シュン」

 ドアが開かれ、弾んだ声と一緒に明るい笑顔で、ライが俺を迎え入れてくれた。

「今ジュース取ってくるから、座ってて!」

「うん」

 柔らかい茶色の髪を揺らし、パタパタと冷蔵庫へと向かう小柄な背中を見送りながら、テーブルの側にあるクッションの上に座る。待ち人はすぐに帰ってきた。

「はい! どーぞ」

 透明なグラスに入った茶色い炭酸ジュースを俺の前に差し出すと、向かいのクッションへ腰を下ろす。

「ありがとう、ライ。いただきます」

 ひんやりとしたグラスを傾ければ、細かい泡が弾けて広がり、乾いた口の中にさっぱりした甘さが広がっていく。

「それで? 僕に、何か言いたいことがあるんじゃない?」

 小さな手でグラスを包み込むようにして持つ、ライの口角がにんまりと上がる。茶色の丸い瞳がワクワクした様子で俺を見つめていた。

「……何で分かるんだ? すごいな、ライ」

「だって、シュンの顔に書いてあるんだもん。さあさあ、どーぞ!」

 ますます瞳を輝かせ、俺に向かって両手を広げて促してくる。

 ……元々、相談するつもりだったんだ。あらかたバレているみたいだし……一から全部言ってしまおう。

「実は、昨日、ダンに告白されて……俺達、付き合うことになったんだ」

「やっぱり! おめでとう! シュン!」

 歓喜の声を上げながら身を乗り出し、俺の手を握るライ。その表情は眩しい笑顔に満ちている。スゴく嬉しそうだ。まるで、自分のことみたいに喜んでくれている。

「ありがとう、ライ……ところで、やっぱりって?」

「今朝、二人の空気がいつもと違ってたから……何か有ったのかな? って。先輩達も、気付いてたみたいだけど……」

 ……え? 気付かれてた? ライだけじゃなくて他の皆にも?

「……そんなに、俺、分かりやすかったか?」

「うん。シュンはいつも以上に恥ずかしがってたし、ダンはずっとご機嫌だったから」

 戸惑いながらもライに尋ねると、得意気な顔で断言されてしまう。だがすぐに、可愛らしい眉が心配そうに下がっていく。

「でも……何だか少し、元気がないね? 僕でよかったら話、聞くよ?」

 そんなことまで分かるのか? と俺が目を白黒させていると目の下の隈を指差して……ほら、顔に書いてあるでしょ? と微笑まれてしまった。
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