気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件～恋人ルート～

細マッチョな先輩と恋人同士になった件（ソレイユルート）

★ 優しく引かれて、導かれて

　そっと顎を掴まれた。ゆっくりと持ち上げられて、顔を上げるように促される。防御体勢を取るように丸めていた背を伸ばされる。顔を見られてしまう。

　多分、俺の顔は酷いことになっているだろう。気持ちよくて、気持ちよくて。なのに、我慢しないとって、流されちゃダメだって、素直に気持ちよさを受け入れられなくて。歪んでしまっているハズだ。

　なのに、俺を見つめる瞳は嬉しそうに微笑んでいた。喜びを隠すことなく、楽しそうな声で囁いてくる。

「ん……何で？　ほら、シュンちゃんのここ、スゴく悦んでくれているよ？」

　長い指先が、滲んでしまっている俺の目元を優しく拭ってくれる。甘やかすようなキスも送ってくれるけれども、俺を包みこんでいる手の動きに容赦はない。

　竿に添えられていた指先が先端に触れた。それだけでも俺は感じてしまっていた。敏感なところに唐突に触れてくれた温もりに、大げさなくらいに腰を震わせてしまっていた。

　それでも先輩はどこ吹く風。楽しげに微笑む唇で頬にキスを送ってくれながら、撫で始めてしまった。

　指の腹が撫で回してくれる度に、尿道口を掠める度に、頭の奥が甘く痺れていく。重たい熱が下腹部に渦巻いてきて、声にならない喘ぎを漏らしてしまう。

　堪えきれない喜びを柔らかな声に滲ませながら、先輩が再び俺に尋ねてきた。

「ホントにダメ？　オレがよしよしって先っぽ撫でるだけで、もうこんなに濡らしちゃって……もっと触って欲しいって、びくびくしてるよ？」

「う、ぁ……」

「ね、気持ちいいんでしょ？」

　もう、限界だった。堪えることも、ウソになっていないウソをつき続けているのも。

「あ、んっ……はぃ……気持ちい、です……」

　認めたら楽になれた。

　ホッとした。微笑む先輩から頭を撫でてもらえて、イイ子だね、って褒めてもらえて。ただ、一つだけ残っている心残りが、俺の口からこぼれ落ちててしまったのだけれども。

「でも……」

「ん……？」

「でも、俺の……番、だったのに……先輩のこと、俺が気持ちよく……っ」

　俺が叶えたかったことすらも、先輩はちゃんと汲み取ってくれたらしかった。

　先輩の手が離れていったかと思えば、別の体温が押し当てられていた。脈打っているその熱には、感触には覚えがある。

　まさかと思い、視線を下げたと同時に握り込まれた。触れ合ってしまっている熱もろとも、先輩の大きな手の中に。先輩の太くて長いものと、俺のものとが密着して。

「うん……だからね、シュンちゃんも触って……？」

　そのまま、二本まとめて扱かれ始めた。先輩の手がゆるゆると上下に動くのに合わせて自然と腰を揺らしてしまう。

「あ、ぅ……ん……っ」

　募っていく淡い感覚に背筋がぞくぞく震えてしまう。気持ちよさに浸りかけていた時、手を取られた。

　優しく引かれて、導かれて、握らされる。少し濡れた感触と一緒に、二人分の熱が伝わってきてしまう。

「ん……っ、先ぱ……」

「一緒に擦りつけ合いながら、一緒に触って気持ちよくなろう？」

「ふ、ぁ……はい……頑張り、ます……」

    艶のある微笑みと柔らかな声の誘いに、俺は頷いていた。今度は促されるよりも先に、自分から手を動かしていた。