375 / 682
細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)
じゃあ、コレでちゃらってことで
鼻を擽るシャボンの香り。馴染みしかない、日頃俺が使っているものと同じ香り。
不思議だな……一緒のボディーソープを使ったハズなのに。先輩の方が、いい匂いがする。甘くて、柔らかくて、スゴく落ち着く。
もっとくっついていたくて広い背中へと腕を回した。
驚かせてしまったんだろうか。密着してしまっている鍛え抜かれた逞しい長身から、僅かな震えが伝わってきた。今、先輩、どんな顔をしているんだろう。
一度気になってしまえば、前向きなそわそわ感と、少し後ろ向きな不安感とに同時に襲われてしまう。消化不良に似たモヤモヤ感を解決すべく顔を上げようとしていたところで、擽ったそうな笑い声が頭の上から降ってきた。
「……可愛いなぁ……もー……そんな風に甘えてもらえちゃったら、何にも言えなくなっちゃうじゃん」
蕩けるような笑顔だった。どこもかしこも、ふにゃりと綻んでいた。細長い眉も、タレ目の瞳も、スッと通った眼尻も、形の良い唇も。
まるで、愛しさが、慈しみがあふれているような。その笑顔を向けてもらえるだけで、俺は温かさに包まれていくような感覚を覚えていた。
「……ん? どうしちゃったの、ぽかんとしちゃって……あー……もしかして、また、オレに見惚れてくれちゃってたり?」
最初は不思議そうに。何かを察した途中からは楽しそうに。明るい調子で尋ねながら、先輩が俺の背中を宥めるみたいに、ぽん、ぽんっと軽く叩き始める。
はたと気付いた俺は、図星を突かれたことよりも、申し訳無さが勝っていた。呑気に抱きついてしまっていた腕を慌てて離す。
「あっ、ごめんなさい、俺……」
寂しい思いをさせておいて、自分だけ甘えるなんて。そう思うものの、ただ謝罪の言葉を述べることしか俺には出来ない。いや、それしか浮かばなかった。
「先輩が呼んでくれていたのに気付けなくて……寂しい思いさせちゃってホントにごめんな、さ……い?」
先輩は、途中までは柔らかく微笑んで、俺の言葉を受け止めてくれるように静かに聞いてくれていた。
聞いてくれていたんだが、急に指先でちょんちょんと俺の頬をつついてきた。不思議に思っている間に今度は唇を、続いて自分の口を指し示してきた。えっと、これって、もしかしなくても?
「あ、えっと……あの……」
お詫びに俺からキスして欲しいってこと、だよね?
意図は分かったものの、急に実行出来る勇気が出ない。何の目的もなく、胸の前で両手をわたわたさせてしまっていると、どちらも大きな手のひらに掴まってしまった。
「う、ぁ……」
ゆるりと片方の口端だけを持ち上げて、先輩が微笑む。掴まれた俺の手が、先輩の頬に添えるように導かれていく。しっとりと柔い温もりが、手のひらに触れた。
「シュン……」
俺を呼んでくれた声は、僅かに掠れていて。小さな囁きだったのに、頭の中に響くくらいに大きく聞こえた。
くらくらする。こだまみたいに響いている、甘さを含んだ先輩の声と、騒ぎ始めた心音とが混ざって聞こえて。熱くもないのに、熱に浮かされているみたい。
身体はすでに白旗を上げかけていた。でも、魅力的な先輩の引力は凄まじいもので、その艷やかな微笑みに吸い寄せられるに俺は顔を寄せていた。自分から、先輩へと口付けることが出来ていた。
「ん……イイ子……よく出来ました」
甘く食んだり、擦り寄せたり、先輩みたいに上手くは出来ていなかった。単に押し付けただけだったのに、先輩は嬉しそうに微笑んでくれている。頭をよしよしと撫でてくれている。
「……あ、ありがとう、ございます」
「フフ、じゃあ、コレでちゃらってことで。もう気にしなくてイイからね」
不思議だな……一緒のボディーソープを使ったハズなのに。先輩の方が、いい匂いがする。甘くて、柔らかくて、スゴく落ち着く。
もっとくっついていたくて広い背中へと腕を回した。
驚かせてしまったんだろうか。密着してしまっている鍛え抜かれた逞しい長身から、僅かな震えが伝わってきた。今、先輩、どんな顔をしているんだろう。
一度気になってしまえば、前向きなそわそわ感と、少し後ろ向きな不安感とに同時に襲われてしまう。消化不良に似たモヤモヤ感を解決すべく顔を上げようとしていたところで、擽ったそうな笑い声が頭の上から降ってきた。
「……可愛いなぁ……もー……そんな風に甘えてもらえちゃったら、何にも言えなくなっちゃうじゃん」
蕩けるような笑顔だった。どこもかしこも、ふにゃりと綻んでいた。細長い眉も、タレ目の瞳も、スッと通った眼尻も、形の良い唇も。
まるで、愛しさが、慈しみがあふれているような。その笑顔を向けてもらえるだけで、俺は温かさに包まれていくような感覚を覚えていた。
「……ん? どうしちゃったの、ぽかんとしちゃって……あー……もしかして、また、オレに見惚れてくれちゃってたり?」
最初は不思議そうに。何かを察した途中からは楽しそうに。明るい調子で尋ねながら、先輩が俺の背中を宥めるみたいに、ぽん、ぽんっと軽く叩き始める。
はたと気付いた俺は、図星を突かれたことよりも、申し訳無さが勝っていた。呑気に抱きついてしまっていた腕を慌てて離す。
「あっ、ごめんなさい、俺……」
寂しい思いをさせておいて、自分だけ甘えるなんて。そう思うものの、ただ謝罪の言葉を述べることしか俺には出来ない。いや、それしか浮かばなかった。
「先輩が呼んでくれていたのに気付けなくて……寂しい思いさせちゃってホントにごめんな、さ……い?」
先輩は、途中までは柔らかく微笑んで、俺の言葉を受け止めてくれるように静かに聞いてくれていた。
聞いてくれていたんだが、急に指先でちょんちょんと俺の頬をつついてきた。不思議に思っている間に今度は唇を、続いて自分の口を指し示してきた。えっと、これって、もしかしなくても?
「あ、えっと……あの……」
お詫びに俺からキスして欲しいってこと、だよね?
意図は分かったものの、急に実行出来る勇気が出ない。何の目的もなく、胸の前で両手をわたわたさせてしまっていると、どちらも大きな手のひらに掴まってしまった。
「う、ぁ……」
ゆるりと片方の口端だけを持ち上げて、先輩が微笑む。掴まれた俺の手が、先輩の頬に添えるように導かれていく。しっとりと柔い温もりが、手のひらに触れた。
「シュン……」
俺を呼んでくれた声は、僅かに掠れていて。小さな囁きだったのに、頭の中に響くくらいに大きく聞こえた。
くらくらする。こだまみたいに響いている、甘さを含んだ先輩の声と、騒ぎ始めた心音とが混ざって聞こえて。熱くもないのに、熱に浮かされているみたい。
身体はすでに白旗を上げかけていた。でも、魅力的な先輩の引力は凄まじいもので、その艷やかな微笑みに吸い寄せられるに俺は顔を寄せていた。自分から、先輩へと口付けることが出来ていた。
「ん……イイ子……よく出来ました」
甘く食んだり、擦り寄せたり、先輩みたいに上手くは出来ていなかった。単に押し付けただけだったのに、先輩は嬉しそうに微笑んでくれている。頭をよしよしと撫でてくれている。
「……あ、ありがとう、ございます」
「フフ、じゃあ、コレでちゃらってことで。もう気にしなくてイイからね」
あなたにおすすめの小説
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード
中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。
目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。
しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。
転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。
だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。
そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。
弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。
そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。
颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。
「お前といると、楽だ」
次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。
「お前、俺から逃げるな」
颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。
転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。
これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。
続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』
かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、
転生した高校時代を経て、無事に大学生になった――
恋人である藤崎颯斗と共に。
だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。
「付き合ってるけど、誰にも言っていない」
その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。
モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、
そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。
甘えたくても甘えられない――
そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。
過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの
じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。
今度こそ、言葉にする。
「好きだよ」って、ちゃんと。
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
腐男子♥異世界転生
よしの こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。
目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。
トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、Caitaさん、PIXIVさんでも掲載しています。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き
toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった!
※美形×平凡、3×1総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。
pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。
もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿
感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_
Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109
表紙イラスト:toki
背景/ロゴデザイン:こな様(@konya0924)
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。