気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件~恋人ルート~

白井のわ

文字の大きさ
594 / 662
細マッチョな先輩と恋人同士になった件(ソレイユルート)

いいね?

しおりを挟む
 だからといって、心臓は一際大きく高鳴ってしまう。触れ合えた際の喜びもまた変わりはない。俺の胸の内を熱く満たしていく。

 今度も俺は頭の中でたっぷりと時間をかけて三秒カウントしてから口を離した。普段の駆け足な数え方だと十秒は経っているかもしれない。

「ん……どう?」

 もう一度、同じ質問を繰り返す。

 でも、やっぱりソレイユは答えてはくれない。開いた瞳で俺をじっと見つめたままだ。その表情は喜怒哀楽のどれにも当てはまりそうにない。

 強いて言うなら真顔だろうか。逸らすことなく見つめてくる眼差しは吊り上がってもいないし、不満気な半目になってもいない。ないのだが、妙な凄みを感じてしまう。抜群に顔が整っているもんだから。

 暑くもないのに背中にイヤな汗が滲んでいく。息もし辛い沈黙はどのくらい続いているのだろうか。

「な、何か……言って欲しいんだけど? 悪いなら、悪いでさ……そしたら、頑張るか、らっ?」

 堪えきれずに言葉を求めたところ、伸びてきたのは腕だった。背中を抱き寄せられ、肩口に顔を埋めるように寄せてきた。柔らかな髪が頬を擽るようにサラリと撫でていく。

 驚いたが悪い気はしない。抱きついてきてくれたということは、俺からのキスに対して少なくとも好感触を抱いてはくれたということなのだろう。

 固まってしまっていた腕を広い背へと回す。抱き返すように力を込めれば、彼もまた俺を抱く腕に力を込めてきてくれた。すっかり口元はだらしなく緩んでしまっているが構うことはない。今は見られてしまう心配もないのだから。

「……ソレイユ」

 温かな心地のまま愛しい彼の名前を呼ぶ。きっと彼もまた、あの柔らかく優しい声で俺を呼んでくれるだろう。いや、それとも少しだけ拗ねたように呼ぶだろうか。照れているみたいだし。

「抱く」

「え」

「帰ったら、抱く」

「あっ、えっ……は、はい……」

 しっかりとした口調で二度も言われたものだから咄嗟に了承してしまっていた。まだ驚きで上手く飲み込めていなかった彼からの宣言が頭の中でこだまのように響き、繰り返されていく。

 抱く。抱くって……要は、そういうこと、だよな?

 可愛らしい意味の方は現在進行系で行っている。ということは、消去法で一つしか残らない。

 顔の熱がじわじわと増していく。背中に滲む汗の意味も変わってしまっていた。それにしても、何で今更宣言を? 嬉しいけれども、しなくともほとんど毎日愛してもらえていて。

「アフターケアはちゃんとする……だから、今夜は容赦しない……全部受け入れてもらうし、オレの好きにさせてもらうから」

「ぜ、全部……ソレイユの、好きに……」

 疑問が晴れてから湧いてきたのは熱い喜びだった。

 ソレイユの顔が見たい。考えたことは同じだったのだろうか。腕を緩めたのと同時に肩をそっと掴まれていた。俺から身を離さずとも優しい力で距離を空けられ、視線が交わる。

 見たかった顔に照れはない。真剣な眼差しで俺を見つめていた。

「いいね?」

「っ、はい……お願い、します……」

「……よしっ」

 ガッツポーズをするかのように軽く拳を握りながら一言。勝ち取ったように呟いてから、ソレイユは顔を上げた。

 その表情に、もう先程のような熱っぽい真剣さはない。いつもと何ら変わらない、人の良さそうな笑みが戻っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

寂しいを分け与えた

こじらせた処女
BL
 いつものように家に帰ったら、母さんが居なかった。最初は何か厄介ごとに巻き込まれたのかと思ったが、部屋が荒れた形跡もないからそうではないらしい。米も、味噌も、指輪も着物も全部が綺麗になくなっていて、代わりに手紙が置いてあった。  昔の恋人が帰ってきた、だからその人の故郷に行く、と。いくらガキの俺でも分かる。俺は捨てられたってことだ。

「好きって言ったら負け!」完璧すぎる生徒会コンビの恋愛頭脳戦は今日も平行線です~恋は勝ち負けじゃないと知るまでの攻防戦

中岡 始
BL
「好きって言ったら負け」 それが、俺たちの間にある、たったひとつのルールだった。 星遥学園の顔、生徒会長・一ノ瀬結翔と副会長・神城凪。 容姿、成績、カリスマ性――すべてが完璧なふたりは、周囲から「最強ペア」と呼ばれている。 けれどその内側では、日々繰り広げられる仁義なき恋愛頭脳戦があった。 ・さりげない言葉の応酬 ・SNSでの匂わせ合戦 ・触れそうで触れない、静かな視線の駆け引き 恋してるなんて認めたくない。 でも、相手からの“告白”を待ち続けてしまう―― そんなふたりの関係が変わったのは、修学旅行での一夜。 「俺、たぶん君に“負けてもいい”って思いかけてる」 その一言が、沈黙を揺るがし、心の距離を塗り替えていく。 勝ち負けなんかじゃない、想いのかたちにたどり着くまで。 これは、美形ふたりの駆け引きまみれなラブコメ戦線、 ついに“終戦”の火蓋が落ちるまでの物語。

男子寮のベットの軋む音

なる
BL
ある大学に男子寮が存在した。 そこでは、思春期の男達が住んでおり先輩と後輩からなる相部屋制度。 ある一室からは夜な夜なベットの軋む音が聞こえる。 女子禁制の禁断の場所。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

腐男子♥異世界転生

よしの こひな
BL
ある日、腐男子で新卒サラリーマン・伊丹トキヤの自室にトラックが突っ込む。 目覚めたトキヤがそこで目にしたのは、彼が長年追い続けていたBL小説の世界――。しかも、なんとトキヤは彼が最推しするスパダリ攻め『黒の騎士』ことアルチュール・ド・シルエットの文武のライバルであり、恋のライバルでもあるサブキャラの「当て馬」セレスタン・ギレヌ・コルベールに転生してしまっていた。 トキヤは、「すぐそばで推しの2人を愛でられる!」と思っていたのに、次々と原作とは異なる展開が……。 ※なろうさん、Caitaさん、PIXIVさんでも掲載しています。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

処理中です...