1,519 / 1,566
【新婚旅行編】最終日:はい……いい子に、しております
しおりを挟む
「ぐぅっ……嬉しいけどさ……触りたいなって思ってくれたのは……」
悔しげに唸るアオイは、やはりどこまでも私に甘かった。両手で揉んでしまっていても、止めさせようとはしない。言葉でも、行動でも。
あまりの寛容さに、どこまで許して頂けるのでしょうかと、悪戯心が湧き上がりかけていた頃、ようやく手を触れられた。止めるにしては本当に触れるだけという優し過ぎるものではあったが。
「あ、イヤじゃないからね? 触ってもらってるままだったら、そっち、向けないから……」
「……ありがとうございます」
その上、優しいフォローまで。何を返したものかと悩みはしたが、何時までも黙っている訳にはいかず、咄嗟に口にしていたのは感謝だった。
俺の方こそありがとう、とアオイが返す。あまりにも自然だったが故に、何に対してのものなのか、などという疑問は浮かばなかった。
よっ、と。
私を跨ぎ直す際の掛け声はやはり無邪気で明るい。互いに素肌を晒しているベッドの上では不似合いな程に。
再びアオイは私と向き合っていた。
彼から優しく咎められたまま、下ろすことなく空気に触れていた手をふた回りも小さな手のひらが握ってくれる。
「じゃあ、また……後でね」
私の手に対して仰っているのか、よしよしと撫でてくれる手の甲へと向けている彼の眼差しは甘く温かい。
私にはその目は向けてはくれないのか。
何ともみっともない我儘な考えが過った時、分かっていたかのように澄んだ琥珀色が私を映し、甘く微笑んだ。その微笑みが先程よりも深く優しく見えたのは、私の願望故だろうか。
頬に柔らかな手が触れてきた。
アオイが近付いてきてくれていた。細腰を上げ、私に覆い被さるようにして、目線を合わせてくれた。小さな手がゆるりと頬を撫で、可憐な指先が目元のシワをなぞるように触れてくれる。
「バアル」
「はい……」
「俺の番が終わるまで……いい子にしていてね」
美しい琥珀色。柔らかく、温かい。陽だまりのような眼差しが私だけを見つめてくれている。
額に柔らかな温もりが触れてきた。離れてしまった際に聞こえてきた軽やかなリップ音に、ああ、もっと触れて欲しかった、と欲が滲んでしまう。
顔に出ていたんだろうか。優しい琥珀色は嬉しそうに微笑んで、今度は私の口へと小さな唇を寄せてきてくれた。
「……していてくれたら、今度はバアルの番。バアルの好きに俺に甘えてくれていいんだからね」
「……はい……いい子に、しております」
「へへ、ありがと、バアル」
お礼のおつもりなのか、もう一度。おまけもしてくれるのかもう一度と。ついばむように交わしてくれた唇が、照れたような笑みをこぼす。
いい子にしていなければ。
その気持ちがあったからこそ、堪えることが出来た。微笑む唇に噛み付いて、その華奢な身体を押し倒してしまうのを。
悔しげに唸るアオイは、やはりどこまでも私に甘かった。両手で揉んでしまっていても、止めさせようとはしない。言葉でも、行動でも。
あまりの寛容さに、どこまで許して頂けるのでしょうかと、悪戯心が湧き上がりかけていた頃、ようやく手を触れられた。止めるにしては本当に触れるだけという優し過ぎるものではあったが。
「あ、イヤじゃないからね? 触ってもらってるままだったら、そっち、向けないから……」
「……ありがとうございます」
その上、優しいフォローまで。何を返したものかと悩みはしたが、何時までも黙っている訳にはいかず、咄嗟に口にしていたのは感謝だった。
俺の方こそありがとう、とアオイが返す。あまりにも自然だったが故に、何に対してのものなのか、などという疑問は浮かばなかった。
よっ、と。
私を跨ぎ直す際の掛け声はやはり無邪気で明るい。互いに素肌を晒しているベッドの上では不似合いな程に。
再びアオイは私と向き合っていた。
彼から優しく咎められたまま、下ろすことなく空気に触れていた手をふた回りも小さな手のひらが握ってくれる。
「じゃあ、また……後でね」
私の手に対して仰っているのか、よしよしと撫でてくれる手の甲へと向けている彼の眼差しは甘く温かい。
私にはその目は向けてはくれないのか。
何ともみっともない我儘な考えが過った時、分かっていたかのように澄んだ琥珀色が私を映し、甘く微笑んだ。その微笑みが先程よりも深く優しく見えたのは、私の願望故だろうか。
頬に柔らかな手が触れてきた。
アオイが近付いてきてくれていた。細腰を上げ、私に覆い被さるようにして、目線を合わせてくれた。小さな手がゆるりと頬を撫で、可憐な指先が目元のシワをなぞるように触れてくれる。
「バアル」
「はい……」
「俺の番が終わるまで……いい子にしていてね」
美しい琥珀色。柔らかく、温かい。陽だまりのような眼差しが私だけを見つめてくれている。
額に柔らかな温もりが触れてきた。離れてしまった際に聞こえてきた軽やかなリップ音に、ああ、もっと触れて欲しかった、と欲が滲んでしまう。
顔に出ていたんだろうか。優しい琥珀色は嬉しそうに微笑んで、今度は私の口へと小さな唇を寄せてきてくれた。
「……していてくれたら、今度はバアルの番。バアルの好きに俺に甘えてくれていいんだからね」
「……はい……いい子に、しております」
「へへ、ありがと、バアル」
お礼のおつもりなのか、もう一度。おまけもしてくれるのかもう一度と。ついばむように交わしてくれた唇が、照れたような笑みをこぼす。
いい子にしていなければ。
その気持ちがあったからこそ、堪えることが出来た。微笑む唇に噛み付いて、その華奢な身体を押し倒してしまうのを。
8
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました
よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、
前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。
獣人が支配する貴族社会。
魔力こそが価値とされ、
「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、
レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。
そんな彼を拾ったのは、
辺境を治める獣人公爵アルト。
寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。
溺愛され、守られ、育てられる日々。
だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。
学院での出会い。
貴族社会に潜む差別と陰謀。
そして「番」という、深く重い絆。
レオンは学び、考え、
自分にしかできない魔法理論を武器に、
少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。
獣人と人族。
価値観も、立場も、すべてが違う二人が、
それでも選び合い、家族になるまでの物語。
溺愛×成長×異世界BL。
読後に残るのは、
「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。
【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
* ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので!
ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)
インスタ @yuruyu0
Youtube @BL小説動画 です!
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!
ヴィル×ノィユのお話です。
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました!
時々おまけのお話を更新するかもです。
名前が * ゆるゆ になりました。
これからもどうぞよろしくお願い致します!
表紙や動画はAIを使用していますが、文章にはAIを一切使用しておりません。
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます
水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。
家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。
絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。
「大丈夫だ。俺がいる」
彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。
これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。
無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います
黄金
BL
目が覚めたら、ここは読んでたBL漫画の世界。冷静冷淡な氷の騎士団長様の妻になっていた。しかもその役は名前も出ない悪妻!
だったら離婚したい!
ユンネの野望は離婚、漫画の主人公を見たい、という二つの事。
お供に老侍従ソマルデを伴って、主人公がいる王宮に向かうのだった。
本編61話まで
番外編 なんか長くなってます。お付き合い下されば幸いです。
※細目キャラが好きなので書いてます。
多くの方に読んでいただき嬉しいです。
コメント、お気に入り、しおり、イイねを沢山有難うございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる