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では、リハーサルとしてペアリングを探してみましょうか
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誕生日に彼からお願いされてから、その日はお互い呼び捨てで呼んでいた。でも、今朝にはいつも通りの呼び方に戻っていたから、てっきり俺は昨日だけだと思っていたんだけど……
「アオイは、何が欲しいですか?」
さっきや今みたく、時々何の気なしにぶっ込んでくるから心臓に悪い。勿論良い意味で。
しかも、二人っきりの時だけならまだしも、グリムさん達の前だろうがヨミ様の御前だろうが平気な顔して呼んでくるから、これまた心臓に悪い。
後、滅茶苦茶恥ずかしい……嬉しいけどさ。
「……アオイ様?」
心臓がはしゃぎすぎて、また反応が遅れてしまっていた俺を心配してくれたんだろう。そっと顔を寄せた彼の大きな手が、ゆるゆると俺の頬を撫でてくれる。
「す、すみません……えっと…………お、お揃いの物が欲しいですね……」
間近に感じる彼の息遣い、更には白い首筋から漂う優しいハーブの香りに、のぼせてもいないのに頭がくらくらする。
情けなく声をひっくり返しながらも、どうにか質問に答えることが出来た俺に、ふわりと微笑みかけてくれた彼が再び尋ねた。
「でしたら、使い勝手が良い日用品か、身につけられるアクセサリーが宜しいでしょうか」
「……そう、ですね」
俺達が日頃使いそうな物……といったら、やっぱりティーカップだろうか。グラスは、すでにお高そうなお揃いの物を、ヨミ様からいただいたしな。他には、腕時計なんかもいいかもしれない。
じゃあ、アクセサリーだったら何がいいだろう……
思考を回そうとして、ふと白い手袋に覆われた手が、俺よりもひと回り大きな左手が目に入った。
「……指輪」
しょっちゅうバアルさんのことでいっぱいになってしまう、お花畑な俺の頭は、ついに口と直結してしまったのだろうか。
このまま言葉にしていいのか? と一切確認することなく。思い浮かんだことを、そのままポロリと漏らしてしまっていたんだから。
「……指輪、ですか?」
大きなソファーの真ん中に、ぴたりと身を寄せ合っていれば、どれだけ小さな声で呟こうが聞こえていない訳がない。
彼の穏やかな低音が、きゅっと胸が締めつけられるような甘さを帯びていく。オールバックの生え際から生えている触覚が、どこか上機嫌に揺れ始める。
「あっ……いや、その……けっ、結婚指輪じゃなくて……普通の、お揃いのっ、指輪といいますか……いや勿論、結婚……指輪も、いずれは一緒に……つけたいんですけど……」
言葉を重ねれば重ねるだけ、貴方と結ばれるハレの日を意識しちゃいました! としか取れない発言を繰り返す俺を、煌めく緑の瞳が静かに見つめている。
あふれんばかりの喜びを湛えた唇が、俺の額に優しく触れてくれてからゆっくり開いた。
「では、リハーサルとしてペアリングを探してみましょうか……本番は、私から贈らさせて頂きますので」
彼とのペアリングという言葉だけで、俺は胸がいっぱいになってしまっていた。
「楽しみですね」
そう、ほんのり頬を染めながら、両手で包み込むように俺の手を握ってくれた彼に、ただ何度も頷くことでしか応えることが出来なかったんだ。
その後、少しだけ落ち着きを取り戻した俺は、彼の欲しい物を聞き出そうとしたんだけど……
「私も……アオイとお揃いの品が欲しいですね」
こぼれるような笑顔を浮かべた彼から、喜びに満ちた柔らかい声でトドメを刺されてしまい、引き締まった彼の腕の中で無事ノックダウンしていた。
因みに、バアルさんへの誕生日プレゼントは、二人でティーカップを選んで揃えることになったんだ。
「アオイは、何が欲しいですか?」
さっきや今みたく、時々何の気なしにぶっ込んでくるから心臓に悪い。勿論良い意味で。
しかも、二人っきりの時だけならまだしも、グリムさん達の前だろうがヨミ様の御前だろうが平気な顔して呼んでくるから、これまた心臓に悪い。
後、滅茶苦茶恥ずかしい……嬉しいけどさ。
「……アオイ様?」
心臓がはしゃぎすぎて、また反応が遅れてしまっていた俺を心配してくれたんだろう。そっと顔を寄せた彼の大きな手が、ゆるゆると俺の頬を撫でてくれる。
「す、すみません……えっと…………お、お揃いの物が欲しいですね……」
間近に感じる彼の息遣い、更には白い首筋から漂う優しいハーブの香りに、のぼせてもいないのに頭がくらくらする。
情けなく声をひっくり返しながらも、どうにか質問に答えることが出来た俺に、ふわりと微笑みかけてくれた彼が再び尋ねた。
「でしたら、使い勝手が良い日用品か、身につけられるアクセサリーが宜しいでしょうか」
「……そう、ですね」
俺達が日頃使いそうな物……といったら、やっぱりティーカップだろうか。グラスは、すでにお高そうなお揃いの物を、ヨミ様からいただいたしな。他には、腕時計なんかもいいかもしれない。
じゃあ、アクセサリーだったら何がいいだろう……
思考を回そうとして、ふと白い手袋に覆われた手が、俺よりもひと回り大きな左手が目に入った。
「……指輪」
しょっちゅうバアルさんのことでいっぱいになってしまう、お花畑な俺の頭は、ついに口と直結してしまったのだろうか。
このまま言葉にしていいのか? と一切確認することなく。思い浮かんだことを、そのままポロリと漏らしてしまっていたんだから。
「……指輪、ですか?」
大きなソファーの真ん中に、ぴたりと身を寄せ合っていれば、どれだけ小さな声で呟こうが聞こえていない訳がない。
彼の穏やかな低音が、きゅっと胸が締めつけられるような甘さを帯びていく。オールバックの生え際から生えている触覚が、どこか上機嫌に揺れ始める。
「あっ……いや、その……けっ、結婚指輪じゃなくて……普通の、お揃いのっ、指輪といいますか……いや勿論、結婚……指輪も、いずれは一緒に……つけたいんですけど……」
言葉を重ねれば重ねるだけ、貴方と結ばれるハレの日を意識しちゃいました! としか取れない発言を繰り返す俺を、煌めく緑の瞳が静かに見つめている。
あふれんばかりの喜びを湛えた唇が、俺の額に優しく触れてくれてからゆっくり開いた。
「では、リハーサルとしてペアリングを探してみましょうか……本番は、私から贈らさせて頂きますので」
彼とのペアリングという言葉だけで、俺は胸がいっぱいになってしまっていた。
「楽しみですね」
そう、ほんのり頬を染めながら、両手で包み込むように俺の手を握ってくれた彼に、ただ何度も頷くことでしか応えることが出来なかったんだ。
その後、少しだけ落ち着きを取り戻した俺は、彼の欲しい物を聞き出そうとしたんだけど……
「私も……アオイとお揃いの品が欲しいですね」
こぼれるような笑顔を浮かべた彼から、喜びに満ちた柔らかい声でトドメを刺されてしまい、引き締まった彼の腕の中で無事ノックダウンしていた。
因みに、バアルさんへの誕生日プレゼントは、二人でティーカップを選んで揃えることになったんだ。
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