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俺に、大きな自信を与えてくれるもの
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自分で言うのもなんだが、今日の俺はひと味もふた味も違う。
なんせ前日、入念に施してもらったヘアパックのお陰で、髪は一本一本毛の先までさらっさらのツヤツヤ。お肌も勿論、顔からつま先までツルっツルのすべすべだ。
ホントにさまさまだ。隅々まで丹念に塗ってくれた彼に対しては勿論のこと、多種多様な化粧水やら保湿液やらの。
さらに身に着けている勝負服は、彼自身に選んでもらった彼好みの衣装。完璧だ。隙なんて一切ありゃしない。そして何より、俺に大きな自信を与えてくれているものがある。それは……
「……アオイ様、今日は一段とお可愛らしいですよ」
「あ、ありがとうございます」
そう、好きな人からの心ときめくお褒めの言葉だ。
おはようのキスをしてもらってから、一緒に朝ご飯を頂いていた時も。身支度を整えている間も、今も「……可愛いですね」と度々頭を撫でてくれるもんだから、完全に舞い上がってしまっている。
バアルさんとのデートに臨むにあたって、今日の俺は正にベストコンディションだ! ってな。
「バアルさんも……スゴくカッコいいですよ。も、勿論いつも滅茶苦茶カッコいいですけど……」
「ふふ、お褒めに預かり光栄です」
鮮やかな緑の瞳がゆるりと細められ、整えられた白い髭が渋くて色っぽい口元に、柔らかい笑みが浮かぶ。
上機嫌に額の触覚を揺らし、背にある半透明の羽をはためかせながら胸に手を当て、引き締まった長身の体躯を傾けた。流れるような動作で披露されたお辞儀は、相変わらず美しい。こういうのを、洗練されてるって言うんだろうな。
室内へと光を取り込んでいる大きな窓から、明るい日差しが差し込み俺達を照らす。淡い光を帯びたことにより、いくつもの六角形のレンズで構成された彼の瞳は、宝石のように煌めいている。俺の心を鷲掴んで離さない。
おまけに今日の彼は、よそ行き仕様だ。普段カッチリと撫でつけられたオールバックは、さらりと後ろに流すだけのゆるめなスタイルで。これはこれでカッコいいなとドキドキしてしまう。
服装もキッチリ着こなしている黒の執事服から、少し明るめの紺色のスーツと茶色の巻きスカーフに。俺が選んだ服を身に纏ってくれているもんだから、余計に胸の鼓動がはしゃいでしまっている。
「……誠に、大変愛らしく存じます」
頭の中にすっかりお花が咲き乱れてしまっていた俺の鼓膜を、噛み締めるように呟いた低音が揺らす。彼の瞳よりも深い緑色のケープマント。その胸元を飾る大きなリボンをいじっていた俺の手に、ひと回り大きな手が重なった。
壊れ物でも扱っているかのように恭しく取られ、手の甲に形のいい唇が触れる。身体中の熱が一気に顔へと集中していくのが分かった。綺麗なリップ音を鳴らした彼に、うっとりとした目で見つめられて。
「上質な絹よりも素晴らしい手触りのお御髪も、美しく透き通った琥珀色の瞳も……瑞々しくしっとりとしたお肌に、花のように咲きこぼれる笑顔も……貴方様の全てが、私めの心を魅了してやみません……」
淀みなくつらつらと紡がれていく嬉しすぎるお言葉の数々に、頭がくらくらしてしまう。
白くしなやかな彼の指がそっと触れていく。髪を梳くように撫で、目元をなぞり、最後は添えるように頬へと。
……全く、お構いなしだ。ただでさえ、唐突なキスのサービスにハートを撃ち抜かれてしまっているってのにさ。
こんなに優しく触れてもらえたら……調子に、乗っちゃうじゃないか。俺のこと、ホントに大事に想ってくれてるんだなって……浮かれちゃうじゃないか。
「……バアルさんのお陰ですよ。いつも、俺以上に俺の身体のこと……気遣ってくれるから……昨日なんか特に……」
「お役に立てて何よりでございます」
目尻が緩み、彫りの深い顔が綻ぶ。
さっきからドキドキしっぱなしなのに。そんな、心の底から嬉しそうに微笑まれてしまったら……高鳴りすぎて壊れてしまいそうだ。
「どうか、お気になさらないで下さい。愛する御方に尽くさせて頂くことは、私の生きがいであり無上の喜びですので……」
「……ひぇ……」
恥じらう素振りなど一切ない。穏やかな微笑みを浮かべたまま堂々と声に乗せた言葉が、再び俺の胸を一直線に貫いた。
前言撤回だ。壊れてしまいそう……じゃなくて、もう、壊れてしまったんじゃないだろうか?
そう思ってしまうほど俺の心臓は、狂ったようにバクバクと激しいリズムで踊っている。熱くなり過ぎた身体から、みるみる力が抜けていくのが分かった。好きな人からの供給過多のせいだ。
室内の床を覆い尽くす、繊細な模様が施されたふかふかの絨毯へと、うっかり膝からダイブしてしまいそうになったが、事なきを得た。筋肉質な長い腕にしっかりと腰を支えてもらったお陰で。
「あ、ありがとうございます……」
「いえ、それに些か邪な思いを抱いておりますので……」
不意に、柔らかい表情に影が落ちる。宥めるようにゆったりと、俺の腰を撫でてくれていた手がぴたりと止まってしまった。
なんせ前日、入念に施してもらったヘアパックのお陰で、髪は一本一本毛の先までさらっさらのツヤツヤ。お肌も勿論、顔からつま先までツルっツルのすべすべだ。
ホントにさまさまだ。隅々まで丹念に塗ってくれた彼に対しては勿論のこと、多種多様な化粧水やら保湿液やらの。
さらに身に着けている勝負服は、彼自身に選んでもらった彼好みの衣装。完璧だ。隙なんて一切ありゃしない。そして何より、俺に大きな自信を与えてくれているものがある。それは……
「……アオイ様、今日は一段とお可愛らしいですよ」
「あ、ありがとうございます」
そう、好きな人からの心ときめくお褒めの言葉だ。
おはようのキスをしてもらってから、一緒に朝ご飯を頂いていた時も。身支度を整えている間も、今も「……可愛いですね」と度々頭を撫でてくれるもんだから、完全に舞い上がってしまっている。
バアルさんとのデートに臨むにあたって、今日の俺は正にベストコンディションだ! ってな。
「バアルさんも……スゴくカッコいいですよ。も、勿論いつも滅茶苦茶カッコいいですけど……」
「ふふ、お褒めに預かり光栄です」
鮮やかな緑の瞳がゆるりと細められ、整えられた白い髭が渋くて色っぽい口元に、柔らかい笑みが浮かぶ。
上機嫌に額の触覚を揺らし、背にある半透明の羽をはためかせながら胸に手を当て、引き締まった長身の体躯を傾けた。流れるような動作で披露されたお辞儀は、相変わらず美しい。こういうのを、洗練されてるって言うんだろうな。
室内へと光を取り込んでいる大きな窓から、明るい日差しが差し込み俺達を照らす。淡い光を帯びたことにより、いくつもの六角形のレンズで構成された彼の瞳は、宝石のように煌めいている。俺の心を鷲掴んで離さない。
おまけに今日の彼は、よそ行き仕様だ。普段カッチリと撫でつけられたオールバックは、さらりと後ろに流すだけのゆるめなスタイルで。これはこれでカッコいいなとドキドキしてしまう。
服装もキッチリ着こなしている黒の執事服から、少し明るめの紺色のスーツと茶色の巻きスカーフに。俺が選んだ服を身に纏ってくれているもんだから、余計に胸の鼓動がはしゃいでしまっている。
「……誠に、大変愛らしく存じます」
頭の中にすっかりお花が咲き乱れてしまっていた俺の鼓膜を、噛み締めるように呟いた低音が揺らす。彼の瞳よりも深い緑色のケープマント。その胸元を飾る大きなリボンをいじっていた俺の手に、ひと回り大きな手が重なった。
壊れ物でも扱っているかのように恭しく取られ、手の甲に形のいい唇が触れる。身体中の熱が一気に顔へと集中していくのが分かった。綺麗なリップ音を鳴らした彼に、うっとりとした目で見つめられて。
「上質な絹よりも素晴らしい手触りのお御髪も、美しく透き通った琥珀色の瞳も……瑞々しくしっとりとしたお肌に、花のように咲きこぼれる笑顔も……貴方様の全てが、私めの心を魅了してやみません……」
淀みなくつらつらと紡がれていく嬉しすぎるお言葉の数々に、頭がくらくらしてしまう。
白くしなやかな彼の指がそっと触れていく。髪を梳くように撫で、目元をなぞり、最後は添えるように頬へと。
……全く、お構いなしだ。ただでさえ、唐突なキスのサービスにハートを撃ち抜かれてしまっているってのにさ。
こんなに優しく触れてもらえたら……調子に、乗っちゃうじゃないか。俺のこと、ホントに大事に想ってくれてるんだなって……浮かれちゃうじゃないか。
「……バアルさんのお陰ですよ。いつも、俺以上に俺の身体のこと……気遣ってくれるから……昨日なんか特に……」
「お役に立てて何よりでございます」
目尻が緩み、彫りの深い顔が綻ぶ。
さっきからドキドキしっぱなしなのに。そんな、心の底から嬉しそうに微笑まれてしまったら……高鳴りすぎて壊れてしまいそうだ。
「どうか、お気になさらないで下さい。愛する御方に尽くさせて頂くことは、私の生きがいであり無上の喜びですので……」
「……ひぇ……」
恥じらう素振りなど一切ない。穏やかな微笑みを浮かべたまま堂々と声に乗せた言葉が、再び俺の胸を一直線に貫いた。
前言撤回だ。壊れてしまいそう……じゃなくて、もう、壊れてしまったんじゃないだろうか?
そう思ってしまうほど俺の心臓は、狂ったようにバクバクと激しいリズムで踊っている。熱くなり過ぎた身体から、みるみる力が抜けていくのが分かった。好きな人からの供給過多のせいだ。
室内の床を覆い尽くす、繊細な模様が施されたふかふかの絨毯へと、うっかり膝からダイブしてしまいそうになったが、事なきを得た。筋肉質な長い腕にしっかりと腰を支えてもらったお陰で。
「あ、ありがとうございます……」
「いえ、それに些か邪な思いを抱いておりますので……」
不意に、柔らかい表情に影が落ちる。宥めるようにゆったりと、俺の腰を撫でてくれていた手がぴたりと止まってしまった。
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