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目の前にいるのは俺の見知った彼ではない、でも
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珍しく、すんなりと目が開いた。大きな窓から注がれる、白く眩しい朝の日差しに促された訳でもなく。
かといって、穏やかな声から「おはようございます」と今日の始まりを優しく告げられた訳でもなく。自然にだ。
いつもより、眠りが浅かったのかもしれない。なんせ昨日は色々有りすぎた。たった一日の出来事だったなんて、思えないくらいには。
スイッチを入れたみたいに、駆け巡った映像。不安気に揺れる緑の眼差し、色を失くした彫りの深い顔、青空へと溶けていった煌めく羽、茜色に染まった柔らかい微笑み。
「……っ、バアルさん」
確認せずにはいられなかった。頭の少し上で、規則正しい寝息が聞こえているけれど。
俺を抱き締めてくれている温もりも、優しいハーブの香りも感じているけれど。ちゃんと彼の顔を見て、安心したかったんだ。だけど。
「バアル……さん?」
見上げた先に映ったのは、俺の見知った彼じゃなかった。
……服装は昨晩のままだ。少し緩めでシンプルな白いシャツに黒のズボン。いつもの、寝る前のリラックススタイルだ。
白い髪がさらりとかかっている額、そこから生えている触覚も俺から見たら変わらない。小さな寝息に合わせて揺れている。
背中の羽もだ。折りたたまれて、時々動く透き通った羽の美しさもいつもと同じ。同じなのに。
髭がない。カッコよくて渋い、朝になったらちょっとだけ伸びている白い髭が一本も。ツルっツルだ。
シワもない。眉間の少し上に、優しい目元に、頬骨のラインに薄っすらと刻まれた、大人の男って感じのカッコいいシワが一本も。プルップルだ。
ついつい両手でぺたぺた触ってしまっていたからだろう。銀の糸のように美しく、長い睫毛がぴくりと震える。
「? 貴方様は……」
眠たげに細められていた緑の瞳が丸くなる。見慣れているハズなのに、俺の知らない違う煌めきを宿した眼差し。
驚きに見開いていた双眸が、見る見るうちに淡い光を帯びていく。普段よりもハリのある白い頬が、徐々にピンク色に染まっていく。
「ご、ごめんなさい」
思わず飛び退くように離れようとしていた。けれども叶わなかった。起き上がりざまに伸びてきた彼の腕。いつもよりしなやかな腕に捕われ、瞬く間にお膝の上へと横抱きにされてしまっていたんだ。
普段よりもハリのある白い頬をほんのり染めた彼の手が、俺の手を取り柔らかく微笑んだ。
「ああ、なんてお可愛らしい……」
形のいい唇からうっとりとした声が、甘い溜め息と共に漏れる。
「ふぇ?」
「透き通った琥珀色の瞳が素敵な美しい貴方、どうかお名前をお聞かせ願えませんか?」
「ひょわっ!?」
蕩けるような声で囁く唇が、俺の手の甲にそっと触れる。見せつけるみたいに、わざとらしくリップ音を鳴らしてから離れていく。
……色っぽい。そんでもって、かわいい。スゴく。柔らかく微笑んだまま、じっと俺の返事を待ってくれている。
……間違いない。目の前に居る彼は、カッコよくてキレイなお兄さんは、バアルさんだ。こんな心ときめくセリフと振る舞いを、スマートにやってのけるような人はバアルさんしかいない。でも。
こ、これはどういうことなんだ? な、なんでバアルさんが若返っているんだよ!?
かといって、穏やかな声から「おはようございます」と今日の始まりを優しく告げられた訳でもなく。自然にだ。
いつもより、眠りが浅かったのかもしれない。なんせ昨日は色々有りすぎた。たった一日の出来事だったなんて、思えないくらいには。
スイッチを入れたみたいに、駆け巡った映像。不安気に揺れる緑の眼差し、色を失くした彫りの深い顔、青空へと溶けていった煌めく羽、茜色に染まった柔らかい微笑み。
「……っ、バアルさん」
確認せずにはいられなかった。頭の少し上で、規則正しい寝息が聞こえているけれど。
俺を抱き締めてくれている温もりも、優しいハーブの香りも感じているけれど。ちゃんと彼の顔を見て、安心したかったんだ。だけど。
「バアル……さん?」
見上げた先に映ったのは、俺の見知った彼じゃなかった。
……服装は昨晩のままだ。少し緩めでシンプルな白いシャツに黒のズボン。いつもの、寝る前のリラックススタイルだ。
白い髪がさらりとかかっている額、そこから生えている触覚も俺から見たら変わらない。小さな寝息に合わせて揺れている。
背中の羽もだ。折りたたまれて、時々動く透き通った羽の美しさもいつもと同じ。同じなのに。
髭がない。カッコよくて渋い、朝になったらちょっとだけ伸びている白い髭が一本も。ツルっツルだ。
シワもない。眉間の少し上に、優しい目元に、頬骨のラインに薄っすらと刻まれた、大人の男って感じのカッコいいシワが一本も。プルップルだ。
ついつい両手でぺたぺた触ってしまっていたからだろう。銀の糸のように美しく、長い睫毛がぴくりと震える。
「? 貴方様は……」
眠たげに細められていた緑の瞳が丸くなる。見慣れているハズなのに、俺の知らない違う煌めきを宿した眼差し。
驚きに見開いていた双眸が、見る見るうちに淡い光を帯びていく。普段よりもハリのある白い頬が、徐々にピンク色に染まっていく。
「ご、ごめんなさい」
思わず飛び退くように離れようとしていた。けれども叶わなかった。起き上がりざまに伸びてきた彼の腕。いつもよりしなやかな腕に捕われ、瞬く間にお膝の上へと横抱きにされてしまっていたんだ。
普段よりもハリのある白い頬をほんのり染めた彼の手が、俺の手を取り柔らかく微笑んだ。
「ああ、なんてお可愛らしい……」
形のいい唇からうっとりとした声が、甘い溜め息と共に漏れる。
「ふぇ?」
「透き通った琥珀色の瞳が素敵な美しい貴方、どうかお名前をお聞かせ願えませんか?」
「ひょわっ!?」
蕩けるような声で囁く唇が、俺の手の甲にそっと触れる。見せつけるみたいに、わざとらしくリップ音を鳴らしてから離れていく。
……色っぽい。そんでもって、かわいい。スゴく。柔らかく微笑んだまま、じっと俺の返事を待ってくれている。
……間違いない。目の前に居る彼は、カッコよくてキレイなお兄さんは、バアルさんだ。こんな心ときめくセリフと振る舞いを、スマートにやってのけるような人はバアルさんしかいない。でも。
こ、これはどういうことなんだ? な、なんでバアルさんが若返っているんだよ!?
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