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★ 緊張のピークは遠く
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ずっと高鳴りっぱなしで、おかしくなってしまいそうだ。
ふわふわのバスタオルで身体を拭いてもらっている間も、さっきと同じように術で新しい服と下着に着替えさせてもらっても。ドキドキ、バクバク煩くって仕方がない。
でも、それでもまだ、ピークではなかったらしい。
「っ……」
シャンデリアの明かりが仄かに照らす室内。毎晩彼と共にしているベッドが視界に入った瞬間、ますますドンドコ騒がしくなってしまったんだから。
長く筋肉質な腕に抱き抱えてもらってるだけじゃない。男らしい胸板にぴたりと抱きついてしまってるんだ。伝わらない訳がない。
案の定、少し見上げた先にある彫りの深い顔には、心配の色が浮かんでいた。白くたおやかな手が宥めるように俺の頬を撫でてくれる。
「華奢な御身体を、こんなにも震わせて……緊張していらっしゃるのですね?」
どうやら心臓だけじゃなく、身体もびくびく跳ねていたらしい。また彼の鮮やかな緑の瞳を曇らせてしまった。
やっぱり俺は、どうしようもなくヘタれな男だ。
あんなに抱いて欲しいと強請ったくせに。好きにしていいですから、なんて言い切ったくせに。いざとなったら彼を安心させる言葉すら、喉が震えてしまって出せないんだから。
「……大丈夫ですよ、とびきり優しく致します……貴方様が心地よいと思えることしか致しませんので」
「ひゃ、ひゃい……」
それどころか安心させてもらう始末だ。どうにか返事出来ただけでも、ギリギリ及第点だと思いたい。
大丈夫だと、貴方に抱いて欲しいんだと、何度も頷くことで肯定を示す。伝わったんだと思う。緩やかな笑みを描いた唇が、頬にそっと触れてくれたんだ。
俺を抱き抱えたまま、ゆっくりと歩みを進めていた長い足が止まる。そっと下ろしてもらえた真っ白なシーツ。手触りのいい布地が、ひんやりしていて気持ちがいい。
無意識に込めていた肩の力が抜け、自然と口から漏れていた安堵の息。でも、すぐにまた、ぐっと身体を縮めてしまった。
反射ってのは厄介だ。自分にその気は更々ないのに、勝手に動いてしまう。現に今も、覆い被さるようにバアルさんが俺の身体を跨いだだけで、彼の重みでベッドが軋んだ音を上げただけで、全身をびくりと震わせてしまったんだから。
「アオイ様……」
「だ、大丈夫ですっ……大丈夫……ホントに、大丈夫ですから」
言えば言うだけ嘘っぽく聞こえていそうだ。不安が的中してしまったんだろうか。大きな手を顔の横につき、俺を見下ろしていた長身が離れていってしまう。
「あ……」
咄嗟に伸ばした手が、指を絡めて繋がれた。どうやら杞憂だったらしい。腰に回された腕が俺を優しく抱き上げてくれる。膝の上へと抱き直してもらい、鼻先まで近くなれた色気あふれる眼差しが微笑んだ。
俺自身よりもバアルさんの方が、よっぽど俺の扱いに長けているようだ。
「ん……」
触れるだけのキス一つで、あんなに力んでしまっていた全身が見る見る内に緩んでいく。指の先まで及んでいた震えが、たちまち収まっていく。
名残惜しそうに唇を食んでから、穏やかな微笑みが離れていく頃には、心も、身体も、ゆったりほぐれていたんだ。
「……落ち着きましたか?」
「……はい」
笑みを深くした唇が「それは何よりです……」と耳心地のいい低音で語りかけてくる。続けて彼が紡いだ言葉は、とびきり優しい声色に反して、内容が少し生々しかった。
「ご確認ですが……先ず、貴方様のお尻の穴に、私の指を三本挿入させて頂きます」
「は、はい……」
のんびりとしたリズムに戻りかけていた鼓動が、再び大きく跳ねる。
大事なことだ。大事なことなんだけど。真っ直ぐに見つめてくる緑の瞳を、奥に宿した確かな熱を、受け止めることが出来ずに俯いてしまう。それが、いけなかったんだと思う。
「私の見立てでは、問題なく受け入れて頂け、気持ちよく達して頂けると存じております。ですが……」
淡々と紡いでいた言葉が不意に止まる。途切れがちに口にした声は少しだけ、寂しさを含んでいた気がした。
「ですが、もし……その時点で貴方様が御身体に違和感を覚えた場合は、即座に中断致し」
「だ、大丈夫ですっ」
危ない。また我慢させちゃうところだった。せっかくバアルさんが、俺を抱きたいって言ってくれたのに。
瞬く瞳から、今度は逃げることなく真っ直ぐ願う。
「俺、頑張りますから……だから……バアルさんの……下さい……俺を、抱いて下さい……」
ふわふわのバスタオルで身体を拭いてもらっている間も、さっきと同じように術で新しい服と下着に着替えさせてもらっても。ドキドキ、バクバク煩くって仕方がない。
でも、それでもまだ、ピークではなかったらしい。
「っ……」
シャンデリアの明かりが仄かに照らす室内。毎晩彼と共にしているベッドが視界に入った瞬間、ますますドンドコ騒がしくなってしまったんだから。
長く筋肉質な腕に抱き抱えてもらってるだけじゃない。男らしい胸板にぴたりと抱きついてしまってるんだ。伝わらない訳がない。
案の定、少し見上げた先にある彫りの深い顔には、心配の色が浮かんでいた。白くたおやかな手が宥めるように俺の頬を撫でてくれる。
「華奢な御身体を、こんなにも震わせて……緊張していらっしゃるのですね?」
どうやら心臓だけじゃなく、身体もびくびく跳ねていたらしい。また彼の鮮やかな緑の瞳を曇らせてしまった。
やっぱり俺は、どうしようもなくヘタれな男だ。
あんなに抱いて欲しいと強請ったくせに。好きにしていいですから、なんて言い切ったくせに。いざとなったら彼を安心させる言葉すら、喉が震えてしまって出せないんだから。
「……大丈夫ですよ、とびきり優しく致します……貴方様が心地よいと思えることしか致しませんので」
「ひゃ、ひゃい……」
それどころか安心させてもらう始末だ。どうにか返事出来ただけでも、ギリギリ及第点だと思いたい。
大丈夫だと、貴方に抱いて欲しいんだと、何度も頷くことで肯定を示す。伝わったんだと思う。緩やかな笑みを描いた唇が、頬にそっと触れてくれたんだ。
俺を抱き抱えたまま、ゆっくりと歩みを進めていた長い足が止まる。そっと下ろしてもらえた真っ白なシーツ。手触りのいい布地が、ひんやりしていて気持ちがいい。
無意識に込めていた肩の力が抜け、自然と口から漏れていた安堵の息。でも、すぐにまた、ぐっと身体を縮めてしまった。
反射ってのは厄介だ。自分にその気は更々ないのに、勝手に動いてしまう。現に今も、覆い被さるようにバアルさんが俺の身体を跨いだだけで、彼の重みでベッドが軋んだ音を上げただけで、全身をびくりと震わせてしまったんだから。
「アオイ様……」
「だ、大丈夫ですっ……大丈夫……ホントに、大丈夫ですから」
言えば言うだけ嘘っぽく聞こえていそうだ。不安が的中してしまったんだろうか。大きな手を顔の横につき、俺を見下ろしていた長身が離れていってしまう。
「あ……」
咄嗟に伸ばした手が、指を絡めて繋がれた。どうやら杞憂だったらしい。腰に回された腕が俺を優しく抱き上げてくれる。膝の上へと抱き直してもらい、鼻先まで近くなれた色気あふれる眼差しが微笑んだ。
俺自身よりもバアルさんの方が、よっぽど俺の扱いに長けているようだ。
「ん……」
触れるだけのキス一つで、あんなに力んでしまっていた全身が見る見る内に緩んでいく。指の先まで及んでいた震えが、たちまち収まっていく。
名残惜しそうに唇を食んでから、穏やかな微笑みが離れていく頃には、心も、身体も、ゆったりほぐれていたんだ。
「……落ち着きましたか?」
「……はい」
笑みを深くした唇が「それは何よりです……」と耳心地のいい低音で語りかけてくる。続けて彼が紡いだ言葉は、とびきり優しい声色に反して、内容が少し生々しかった。
「ご確認ですが……先ず、貴方様のお尻の穴に、私の指を三本挿入させて頂きます」
「は、はい……」
のんびりとしたリズムに戻りかけていた鼓動が、再び大きく跳ねる。
大事なことだ。大事なことなんだけど。真っ直ぐに見つめてくる緑の瞳を、奥に宿した確かな熱を、受け止めることが出来ずに俯いてしまう。それが、いけなかったんだと思う。
「私の見立てでは、問題なく受け入れて頂け、気持ちよく達して頂けると存じております。ですが……」
淡々と紡いでいた言葉が不意に止まる。途切れがちに口にした声は少しだけ、寂しさを含んでいた気がした。
「ですが、もし……その時点で貴方様が御身体に違和感を覚えた場合は、即座に中断致し」
「だ、大丈夫ですっ」
危ない。また我慢させちゃうところだった。せっかくバアルさんが、俺を抱きたいって言ってくれたのに。
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「俺、頑張りますから……だから……バアルさんの……下さい……俺を、抱いて下さい……」
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