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もう一つのサプライズ
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もう一つのサプライズがあるからと、ヨミ様とレタリーさんに連れられ辿り着いたのは、大きな扉。花や蔦をモチーフにしたような模様が彫られた、木製の扉が開いた先は、教会のような場所だった。
床も、天井も、壁も、柱も、全てが真っ白だからだろうか。同じ城内なのに、何だかここだけ空気が違う。神社の境内を歩いているような、少し涼しくて清らかな感じ。こんな場所があったなんて。
「あっ、アオイ様! バアル様!」
鈴を転がしたような可愛らしい声、一目散に向かってくる小柄な身体。丸い薄紫色の目を輝かせ、満開の花のような笑みを浮かべて、グリムさんが俺達に駆け寄ってくる。
今朝に、あんな話をしたからだろうか。目の奥が熱くなってしまう。久しぶりでもないのに。
なんだか、最近涙腺が弱すぎるな。今からこんなんじゃあ先が思いやられてしまう。ボロ泣きしちゃうんじゃないか? 儀式でも、結婚式でも。
気遣いレベルがMAXなバアルさんは相変わらずだ。皆さんが気づかないようにさり気なく俺を抱き寄せ、肩を優しく撫でてくれている。嬉しくて、逆に決壊してしまいそう。
拳を握り、必死に堪えている内に、グリムさんが俺達の直ぐ側まで来ていた。
スキップでも踏んでいたんだろうか。とん、とっ、とん、と軽快に弾みながら着地しようとして。
「こんにち、うわっ!?」
盛大に、すっ転んだ。
「グリムさんっ!」
俺と皆さんの焦った声が広い室内に響き渡る。反射的に踏み出した一歩も、伸ばした手も間に合わない。
スローモーションに見えた。
薄紫色の頭が、灰色のフードマントを纏った身体が、白い石の床へと前のめりに倒れていく。
「全く、いきなり駆け出すなって……」
想像してしまっていた、悪い事態は起きなかった。無事に未然に防がれた。
お揃いのフードマントに身を包んだ長身の彼。グリムさんの師匠であるクロウさんが、長い腕でしっかりと抱き止めてくれたのだ。
「はしゃぎ過ぎだ。危ないだろうが……いつになったら学習するんだ?」
眉間にシワを寄せ、呆れたような声でボヤいているものの心配なんだろう。
片手で軽々と抱き起こしたかと思えば膝を折り、グリムさんのか細い腕や足に触れている。入念だ。空港とかで見る、ボディーチェックみたい。
「えへへ……すみません……ありがとうございます、クロウ」
鋭い金の瞳を細めるクロウさんへ、少し照れくさそうに「大丈夫ですよ」と微笑むグリムさん。お二人のほのぼのとした様子を見ていたら、肩の力が抜けていくのが分かった。随分と力んでしまっていたらしい。隣からも後ろからも安心したような声が聞こえた。
「すみません、お騒がせしてしまって……」
「ごめんなさい……」
「いえ、ケガがなくて良かったです」
改めて挨拶を交わしたところで、グリムさんがはたと声を大にする。
「ヨミ様、レタリーさん、流石です! グッドタイミングですよ! 丁度、準備が整ったところなんです!」
「おお、そうであったか! 予定していた時間ピッタリであるな! 凄いぞ!」
「えへへ」
「準備って?」
愉快そうなヨミ様、どこか得意気なグリムさん、気恥ずかしそうに頬を掻くクロウさん。三人から導かれ、バアルさんと一緒に部屋の中央へ。そこには、見覚えのある花で飾られた式場があった。
青い絨毯が敷かれた道の両端にズラリと並び、彩っているのは緑のバラとオレンジのヒマワリ。俺達が贈り合った魔力の花を、模してくれているんだろう。それぞれの参列者席に寄り添い合うように飾られ、咲き誇っている。
道の先には立派な祭壇があった。どこか荘厳な雰囲気が漂う台の上に置かれていたのは青い杯。神秘的な模様が刻まれたそれを見守るように、祭壇の上にある太陽と星が描かれたステンドグラスから淡い光が差し込んでいる。
もしかしなくても、此処が? 準備って、もう一つのサプライズって、まさか。
床も、天井も、壁も、柱も、全てが真っ白だからだろうか。同じ城内なのに、何だかここだけ空気が違う。神社の境内を歩いているような、少し涼しくて清らかな感じ。こんな場所があったなんて。
「あっ、アオイ様! バアル様!」
鈴を転がしたような可愛らしい声、一目散に向かってくる小柄な身体。丸い薄紫色の目を輝かせ、満開の花のような笑みを浮かべて、グリムさんが俺達に駆け寄ってくる。
今朝に、あんな話をしたからだろうか。目の奥が熱くなってしまう。久しぶりでもないのに。
なんだか、最近涙腺が弱すぎるな。今からこんなんじゃあ先が思いやられてしまう。ボロ泣きしちゃうんじゃないか? 儀式でも、結婚式でも。
気遣いレベルがMAXなバアルさんは相変わらずだ。皆さんが気づかないようにさり気なく俺を抱き寄せ、肩を優しく撫でてくれている。嬉しくて、逆に決壊してしまいそう。
拳を握り、必死に堪えている内に、グリムさんが俺達の直ぐ側まで来ていた。
スキップでも踏んでいたんだろうか。とん、とっ、とん、と軽快に弾みながら着地しようとして。
「こんにち、うわっ!?」
盛大に、すっ転んだ。
「グリムさんっ!」
俺と皆さんの焦った声が広い室内に響き渡る。反射的に踏み出した一歩も、伸ばした手も間に合わない。
スローモーションに見えた。
薄紫色の頭が、灰色のフードマントを纏った身体が、白い石の床へと前のめりに倒れていく。
「全く、いきなり駆け出すなって……」
想像してしまっていた、悪い事態は起きなかった。無事に未然に防がれた。
お揃いのフードマントに身を包んだ長身の彼。グリムさんの師匠であるクロウさんが、長い腕でしっかりと抱き止めてくれたのだ。
「はしゃぎ過ぎだ。危ないだろうが……いつになったら学習するんだ?」
眉間にシワを寄せ、呆れたような声でボヤいているものの心配なんだろう。
片手で軽々と抱き起こしたかと思えば膝を折り、グリムさんのか細い腕や足に触れている。入念だ。空港とかで見る、ボディーチェックみたい。
「えへへ……すみません……ありがとうございます、クロウ」
鋭い金の瞳を細めるクロウさんへ、少し照れくさそうに「大丈夫ですよ」と微笑むグリムさん。お二人のほのぼのとした様子を見ていたら、肩の力が抜けていくのが分かった。随分と力んでしまっていたらしい。隣からも後ろからも安心したような声が聞こえた。
「すみません、お騒がせしてしまって……」
「ごめんなさい……」
「いえ、ケガがなくて良かったです」
改めて挨拶を交わしたところで、グリムさんがはたと声を大にする。
「ヨミ様、レタリーさん、流石です! グッドタイミングですよ! 丁度、準備が整ったところなんです!」
「おお、そうであったか! 予定していた時間ピッタリであるな! 凄いぞ!」
「えへへ」
「準備って?」
愉快そうなヨミ様、どこか得意気なグリムさん、気恥ずかしそうに頬を掻くクロウさん。三人から導かれ、バアルさんと一緒に部屋の中央へ。そこには、見覚えのある花で飾られた式場があった。
青い絨毯が敷かれた道の両端にズラリと並び、彩っているのは緑のバラとオレンジのヒマワリ。俺達が贈り合った魔力の花を、模してくれているんだろう。それぞれの参列者席に寄り添い合うように飾られ、咲き誇っている。
道の先には立派な祭壇があった。どこか荘厳な雰囲気が漂う台の上に置かれていたのは青い杯。神秘的な模様が刻まれたそれを見守るように、祭壇の上にある太陽と星が描かれたステンドグラスから淡い光が差し込んでいる。
もしかしなくても、此処が? 準備って、もう一つのサプライズって、まさか。
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