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真っ直ぐな瞳に励まされ、頼もしい笑顔に先を越されて
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ティーポットから花のような甘い香りが漂い始めた頃、扉が叩かれた。コン、コン、コンと控えめなノックが彼らの来訪を知らせてくれる。
丁度いいタイミングだが……危なかった。コルテのお陰で、今日も何とか時間までに間に合わせることが出来た。
念の為に身だしなみを確認してから扉を開く。目に飛び込んできたのは、緑色の花で作られた花束。リボンで結ばれた満開のそれらを、細い両腕に抱えたグリムさんと、彼に寄り添うように佇むクロウさんがいた。
「おはようございます、グリムさん、クロウさん」
「おはようございますっ、バアル様」
「おはようございます」
会釈をした私に、満面の笑みと柔らかい微笑で応えてくれた彼らを迎え入れる。
お二人はすぐさま部屋の奥へ、アオイが眠っているベッドへ歩み寄っていった。私も続いて歩を進めていると弾んだ声が上がる。
「あっ、アオイ様、今日はとびきり可愛くてカッコいいですね!」
「ありがとうございます」
輝く瞳でアオイと私を交互に見つめるグリムさんのお言葉に、口元が緩んでしまうのが分かる。
いつからだろうか。彼のことを褒めて頂けると我が事以上の喜びがあふれるようになったのは。
グリムさんがベッドサイドに花束を置く。彼の側に膝をついていたクロウさんが、私を見上げ口端を綻ばせた。
「素敵ですね。とても眠っておられるとは思え……いや、失礼しました」
「いえ、構いませんよ。私も同じことを考えておりましたから……今にも目を開けて、微笑みかけて頂けそうだと……」
誠にそうなってくれたなら……どんなに幸せか……
底の見えない深い暗闇へと心が溺れていってしまう。私を気遣って言葉を濁してくれたクロウさんの甲斐もなく。
しかし、囚われることはなかった。落ちていってしまう前に引っ張り上げてくれたのだ。
「すぐに目を覚ましてくれますよ!」
「グリムさん……」
「だって、アオイ様はバアル様のことが大好きなんですから! バアル様を悲しませるようなことなんて……だから、絶対に起きてくれます! 僕が保証します!」
真っ直ぐに私を見つめる薄紫の瞳が力強く訴える。ともすれば折れそうになる私の心を励ましてくれる。
「俺も保証しますよ。きっと今も、懸命に治癒に努めていらっしゃるでしょう。少しでも早く、バアル様におはようを言う為に」
「クロウさん……」
「ですから、今日もお手伝いさせて下さい」
昨日も……いや、アオイが眠りにつかれてから、連日魔力を分けて頂いているのに。いくら自然回復するからといって、こうも立て続けでは……お二人の体力が……
今の私は顔に出やすいのだろう。頼もしい笑顔に先を越されてしまったのだ。
「僕もクロウも元気モリモリですよ! いっぱいご飯食べて、いっぱい寝ましたから! 魔力満タンです!」
やる気満々なグリムさんに続いて、クロウさんが悪戯っぽく笑う。
「まさか遠慮しようなんて、水臭いことを考えていやしませんよね? アオイ様の一大事なんですよ。頼って下さいよ。友達でしょう? 俺達」
斯様に嬉しいことを言われてしまったら、ひたすらに真っ直ぐな瞳で見つめられてしまったら。答えなんて、一つしか。
「グリムさん、クロウさん……どうか……宜しくお願い致します……」
「はいっ! 僕達にどどーんと任せて下さい!」
「ええ、大船に乗ったつもりで悠々としていて下さいよ」
大きな手と小さな手が、アオイの手のひらを包み込む。アオイの身体に流れていくお二人の魔力は、温かくて優しかった。
丁度いいタイミングだが……危なかった。コルテのお陰で、今日も何とか時間までに間に合わせることが出来た。
念の為に身だしなみを確認してから扉を開く。目に飛び込んできたのは、緑色の花で作られた花束。リボンで結ばれた満開のそれらを、細い両腕に抱えたグリムさんと、彼に寄り添うように佇むクロウさんがいた。
「おはようございます、グリムさん、クロウさん」
「おはようございますっ、バアル様」
「おはようございます」
会釈をした私に、満面の笑みと柔らかい微笑で応えてくれた彼らを迎え入れる。
お二人はすぐさま部屋の奥へ、アオイが眠っているベッドへ歩み寄っていった。私も続いて歩を進めていると弾んだ声が上がる。
「あっ、アオイ様、今日はとびきり可愛くてカッコいいですね!」
「ありがとうございます」
輝く瞳でアオイと私を交互に見つめるグリムさんのお言葉に、口元が緩んでしまうのが分かる。
いつからだろうか。彼のことを褒めて頂けると我が事以上の喜びがあふれるようになったのは。
グリムさんがベッドサイドに花束を置く。彼の側に膝をついていたクロウさんが、私を見上げ口端を綻ばせた。
「素敵ですね。とても眠っておられるとは思え……いや、失礼しました」
「いえ、構いませんよ。私も同じことを考えておりましたから……今にも目を開けて、微笑みかけて頂けそうだと……」
誠にそうなってくれたなら……どんなに幸せか……
底の見えない深い暗闇へと心が溺れていってしまう。私を気遣って言葉を濁してくれたクロウさんの甲斐もなく。
しかし、囚われることはなかった。落ちていってしまう前に引っ張り上げてくれたのだ。
「すぐに目を覚ましてくれますよ!」
「グリムさん……」
「だって、アオイ様はバアル様のことが大好きなんですから! バアル様を悲しませるようなことなんて……だから、絶対に起きてくれます! 僕が保証します!」
真っ直ぐに私を見つめる薄紫の瞳が力強く訴える。ともすれば折れそうになる私の心を励ましてくれる。
「俺も保証しますよ。きっと今も、懸命に治癒に努めていらっしゃるでしょう。少しでも早く、バアル様におはようを言う為に」
「クロウさん……」
「ですから、今日もお手伝いさせて下さい」
昨日も……いや、アオイが眠りにつかれてから、連日魔力を分けて頂いているのに。いくら自然回復するからといって、こうも立て続けでは……お二人の体力が……
今の私は顔に出やすいのだろう。頼もしい笑顔に先を越されてしまったのだ。
「僕もクロウも元気モリモリですよ! いっぱいご飯食べて、いっぱい寝ましたから! 魔力満タンです!」
やる気満々なグリムさんに続いて、クロウさんが悪戯っぽく笑う。
「まさか遠慮しようなんて、水臭いことを考えていやしませんよね? アオイ様の一大事なんですよ。頼って下さいよ。友達でしょう? 俺達」
斯様に嬉しいことを言われてしまったら、ひたすらに真っ直ぐな瞳で見つめられてしまったら。答えなんて、一つしか。
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