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【番外編】自覚はあれど1
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気づいてしまったのも、自覚したのも早かった。
私が、年甲斐もなく嫉妬深い男であるということに、愛する彼に対して、並々ならぬ独占欲を抱いているということに。
……知ったところで、どうしようもないのですが。
真っ暗にされている世界で、楽しそうな声が聞こえてくる。手前からは、耳心地のいい高めの声。愛して止まない彼の声。
「……これで、どう……ですかね?」
そして、右側からは落ち着いた低めの声。信頼の置ける方の声。
「……ふむ、素晴らしいですね。流石アオイ様は飲み込みが早くていらっしゃる」
「へっ……い、いやいや、レタリーさんの教え方が上手だからですよ」
けれども、今は少々気に入らない気持ちになってしまう声。協力して頂いているにも関わらず、不満を抱いてしまう声。
始まりは、おずおずと切り出してきたアオイの一言からだった。
「……バアルさんにサプライズをしたいので……少しの間、レタリーさんと内緒話をしてもいいですか?」
穏やかな時間が流れていた室内が、ざわついた気がした。
不意に名前を呼ばれたレタリー殿が、長い尾羽根をビクリと揺らす。私達と共に紅茶を楽しんでいたヨミ様も、驚きに満ちた眼差しを此方へと向けていた。
柔い頬を赤く染めて見上げてくる彼に、私は答えることが出来なかった。
私の腕の中に居るアオイが、輝いて見える程に可愛くて、言葉に詰まったというのもある。
あるのだが、時同じくしてせめぎ合っていたのだ。私にサプライズをしたいと仰られた、身に余る幸福と醜い嫉妬心とが。
よりによって、レタリー殿ですか……
あの件以来、アオイとレタリー殿は目に見えて距離が縮まっている。ヨミ様と共に定期的に私達の部屋に訪れてくれる彼に、アオイは良く話しかけるようになったのだ。
以前はレタリー殿が饒舌に話すヨミ様に関するお話を、アオイが嬉しそうに聞いているだけ。されたとしても、世間話程度だったのだが。
それは、レタリー殿も同様で。口を開けばヨミ様、ヨミ様。話す事柄の九割九分が我らが主のことだった彼の、その内二割がアオイになったのだ。
……アオイは、自らの全てを投げ打ってでも、ヨミ様を救ってくれようとされましたし……目覚められたとはいえ、まだ体調が万全ではないのですから……レタリー殿が心配されるのは普通のことだと分かってはいるのですが……
「あー……や、やっぱり今回は中止で! やり方を考えなお」
「失礼、貴方様からのサプライズという降って湧いたような幸福に、喜びのあまり思考が止まっておりました……問題ございませんよ」
「……ホントですか? じゃあ、俺、頑張りますね!」
「ありがとうございます。大変、楽しみにしておりますね」
慌てて捲し立てたにも関わらず、アオイは私の言葉を素直にそのまま受け取ってくれたよう。こぼれんばかりに丸い瞳を輝かせ、私の手を握ってくれる。
戻ってくれた愛らしい笑顔に胸を撫で下ろしていると、ことの成り行きを見守っていたヨミ様が尋ねてくれた。私が一番知りたかったが、聞く勇気が出なかった事柄を。
「因みにだがアオイ殿……何故、私ではなくレタリーを頼ったのだ?」
私が、年甲斐もなく嫉妬深い男であるということに、愛する彼に対して、並々ならぬ独占欲を抱いているということに。
……知ったところで、どうしようもないのですが。
真っ暗にされている世界で、楽しそうな声が聞こえてくる。手前からは、耳心地のいい高めの声。愛して止まない彼の声。
「……これで、どう……ですかね?」
そして、右側からは落ち着いた低めの声。信頼の置ける方の声。
「……ふむ、素晴らしいですね。流石アオイ様は飲み込みが早くていらっしゃる」
「へっ……い、いやいや、レタリーさんの教え方が上手だからですよ」
けれども、今は少々気に入らない気持ちになってしまう声。協力して頂いているにも関わらず、不満を抱いてしまう声。
始まりは、おずおずと切り出してきたアオイの一言からだった。
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穏やかな時間が流れていた室内が、ざわついた気がした。
不意に名前を呼ばれたレタリー殿が、長い尾羽根をビクリと揺らす。私達と共に紅茶を楽しんでいたヨミ様も、驚きに満ちた眼差しを此方へと向けていた。
柔い頬を赤く染めて見上げてくる彼に、私は答えることが出来なかった。
私の腕の中に居るアオイが、輝いて見える程に可愛くて、言葉に詰まったというのもある。
あるのだが、時同じくしてせめぎ合っていたのだ。私にサプライズをしたいと仰られた、身に余る幸福と醜い嫉妬心とが。
よりによって、レタリー殿ですか……
あの件以来、アオイとレタリー殿は目に見えて距離が縮まっている。ヨミ様と共に定期的に私達の部屋に訪れてくれる彼に、アオイは良く話しかけるようになったのだ。
以前はレタリー殿が饒舌に話すヨミ様に関するお話を、アオイが嬉しそうに聞いているだけ。されたとしても、世間話程度だったのだが。
それは、レタリー殿も同様で。口を開けばヨミ様、ヨミ様。話す事柄の九割九分が我らが主のことだった彼の、その内二割がアオイになったのだ。
……アオイは、自らの全てを投げ打ってでも、ヨミ様を救ってくれようとされましたし……目覚められたとはいえ、まだ体調が万全ではないのですから……レタリー殿が心配されるのは普通のことだと分かってはいるのですが……
「あー……や、やっぱり今回は中止で! やり方を考えなお」
「失礼、貴方様からのサプライズという降って湧いたような幸福に、喜びのあまり思考が止まっておりました……問題ございませんよ」
「……ホントですか? じゃあ、俺、頑張りますね!」
「ありがとうございます。大変、楽しみにしておりますね」
慌てて捲し立てたにも関わらず、アオイは私の言葉を素直にそのまま受け取ってくれたよう。こぼれんばかりに丸い瞳を輝かせ、私の手を握ってくれる。
戻ってくれた愛らしい笑顔に胸を撫で下ろしていると、ことの成り行きを見守っていたヨミ様が尋ねてくれた。私が一番知りたかったが、聞く勇気が出なかった事柄を。
「因みにだがアオイ殿……何故、私ではなくレタリーを頼ったのだ?」
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