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★【新婚旅行編】三日目:大変申し上げにくいのですが……
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ちゃんと言えば良かっただろう? 今朝約束した、お詫びの件はどうしますかって。そこまで言えたら、絶対に伝わるのに。誘ってるって、バアルさんだったら絶対に察してくれるのに。ちょっぴり意地悪はされちゃうかもだけどさ。
例にも漏れず気を使ってくれたようで、バアルさんは踏み込んではこなかった。紅茶を傾けつつ、ちらちらと心配そうな視線を送ってはいるけれど。ああ、早く説明しないと。
「あ、あのっ」
「はい」
お待ちしておりました、と言わんばかりの速さだった。ぱっとこっちを向いてくれただけじゃない。再びカップを預け、落ち着いて俺が話せるようにと手を握ってくれた。
重ねた手のひらから伝わってくる温もり。ひたすらに優しく包み込むような温かさに、俺は確かな勇気をもらえたハズなのに。
「……その、良かったら……します?」
「……はい?」
絞り出せたのは、自分でもびっくりするくらいにすっ飛ばしたことしか。ほらほら、流石のバアルさんも困っちゃってるじゃん。顔には出していないけれど、長い睫毛がぱちくり瞬いちゃってるじゃん。
丸くなった瞳に見つめられていると、だんだん胸の辺りが重たくなっていく。まだ遅くはない。今からでも、ちゃんと一から話して。
「……あのっ、その」
「もしや、頂けるということでしょうか?」
「へ?」
それは、瞬きの間に起きた。俺達の側で浮かんでいたグラスやカップ。それらもろもろが、手品のように跡形もなく消えていた。
そんでもって、俺は彼のお膝の上にいた。浮遊感も何も感じなかったのに。気がついた時には、しなやかな指に顎を掴まれ、逃さぬようにと腰を抱き寄せられていた。
「先程は、この老骨めを誘って頂けたので? 今朝のお約束通りに、貴方様からの御慈悲を賜われると……御身を愛する栄誉を授けて下さるということでしょうか……?」
どうやって辿り着いてくれたかは分からない。が、伝わっていたらしい。下手にもほどがあるお誘いだったのに。
高鳴っている鼓動のせいだろうか。返事をしないといけないのに、喉が締まって声が出ない。そこで俺は行動で示すことにした。何度も頷いて、ひと回り大きな手を握って、ほんのりと染まった頬に口を押しつけてみたり。
精一杯の歓迎は、無事に実を結んでくれたよう。白いお髭を蓄えた口元が、花咲くように綻んでいく。俺の心を鷲掴んだのは、嬉しそうな微笑みだけじゃなかった。低いトーンで囁く彼の雰囲気がたちまちガラリと変わっていく。
「……宜しいのでしょうか?」
いつもの最終確認をしてきた彼の表情には、紳士的で穏やかな笑みはない。ただの男の顔になっていた。俺だけを求めてくれる目をしていた。
「は、はいっ……宜しいで、んっ……」
言い終わる前に口を塞がれていた。
今日は彼もアグレッシブなご様子。いつもなら、俺の緊張を解してくれるような優しい口づけから、徐々に深いものへと移行していくところ。
けれども、すぐに侵入してきた。しっとりと濡れた柔らかな体温が、その長さを活かして俺の口内を余すことなく愛で始めた。
舌先で顎の裏を撫でられると擽ったい。でも、それ以上に気持ちよくなってしまう。まだ絡めてもらえてもいないのに。
飲み込みきれなかった分が口の端からこぼれて顎を、喉を伝っていく。すぐに拭いたい衝動に駆られるその感覚にすら感じてしまっていた。どれだけ俺、期待して。
「んっ、ふ……ぅん……ん、んむ……」
涙で滲んでいく視界のように、頭の中もぼんやりと霞がかっていく。なのに音だけはクリアだ。聞いているだけで、背筋に淡い感覚を覚えてしまう濡れた音だけは。
早くも疼いてしまっている下腹部がもどかしい。堪え性もなく腰を揺らしてしまう。ふと硬い何かが当たった。丁度太ももの内側に正体不明の熱を感じた。
すでに熱に浮かされていた俺は、ますます鈍感になっているらしい。それの正体に気づかずに、感触を確かめるように太ももを押しつけてしまっていた。
「ん……」
蠢いていた舌が止まり、触れ合っている唇から切なそうな吐息が漏れたところでようやくだった。
黒のズボン越しでもくっきりと浮き出ている逞しいもの。彼の大切なところを無遠慮に刺激してしまっていたことに気がついたのは。
「っ……ご、ごめんなさい……大丈夫ですか? 痛くなかったですか?」
思わず離していた俺の口元を、長い指先が拭ってくれる。
「大丈夫ですよ、ご心配なさらないで……ただ……」
いくら彼が丈夫とはいえ、やっぱり痛かったんじゃ。心配をかけないようにと我慢しているんじゃ。
過った不安は、あっという間に吹き飛ばされた。羽を揺らしながら、おずおずと切り出してきた彼のお願いによって。
「……大変申し上げにくいのですが……今宵はいつにも増して、年甲斐もなく昂っておりまして……」
気恥ずかしそうに伏せられた白い睫毛が美しい。室内に淡い光をもたらすシャンデリアの明かりに透けて、銀の糸のように煌めいている。息を飲むような色っぽさだ。桜色に染まっている、透明感のある肌も相まって。
「……性急なのは存じております……ですが」
すっかり見惚れてしまっていると手を取られた。ゆっくりと導かれたのは、逞しいけれどもしなやかな太ももの間。ついさっき、俺が押し当ててしまっていたところ。指先に感じる熱に、その大きさに、硬さに、今度は喉を鳴らしそうになってしまう。
「……どうか、私を受け入れて頂けますか?」
例にも漏れず気を使ってくれたようで、バアルさんは踏み込んではこなかった。紅茶を傾けつつ、ちらちらと心配そうな視線を送ってはいるけれど。ああ、早く説明しないと。
「あ、あのっ」
「はい」
お待ちしておりました、と言わんばかりの速さだった。ぱっとこっちを向いてくれただけじゃない。再びカップを預け、落ち着いて俺が話せるようにと手を握ってくれた。
重ねた手のひらから伝わってくる温もり。ひたすらに優しく包み込むような温かさに、俺は確かな勇気をもらえたハズなのに。
「……その、良かったら……します?」
「……はい?」
絞り出せたのは、自分でもびっくりするくらいにすっ飛ばしたことしか。ほらほら、流石のバアルさんも困っちゃってるじゃん。顔には出していないけれど、長い睫毛がぱちくり瞬いちゃってるじゃん。
丸くなった瞳に見つめられていると、だんだん胸の辺りが重たくなっていく。まだ遅くはない。今からでも、ちゃんと一から話して。
「……あのっ、その」
「もしや、頂けるということでしょうか?」
「へ?」
それは、瞬きの間に起きた。俺達の側で浮かんでいたグラスやカップ。それらもろもろが、手品のように跡形もなく消えていた。
そんでもって、俺は彼のお膝の上にいた。浮遊感も何も感じなかったのに。気がついた時には、しなやかな指に顎を掴まれ、逃さぬようにと腰を抱き寄せられていた。
「先程は、この老骨めを誘って頂けたので? 今朝のお約束通りに、貴方様からの御慈悲を賜われると……御身を愛する栄誉を授けて下さるということでしょうか……?」
どうやって辿り着いてくれたかは分からない。が、伝わっていたらしい。下手にもほどがあるお誘いだったのに。
高鳴っている鼓動のせいだろうか。返事をしないといけないのに、喉が締まって声が出ない。そこで俺は行動で示すことにした。何度も頷いて、ひと回り大きな手を握って、ほんのりと染まった頬に口を押しつけてみたり。
精一杯の歓迎は、無事に実を結んでくれたよう。白いお髭を蓄えた口元が、花咲くように綻んでいく。俺の心を鷲掴んだのは、嬉しそうな微笑みだけじゃなかった。低いトーンで囁く彼の雰囲気がたちまちガラリと変わっていく。
「……宜しいのでしょうか?」
いつもの最終確認をしてきた彼の表情には、紳士的で穏やかな笑みはない。ただの男の顔になっていた。俺だけを求めてくれる目をしていた。
「は、はいっ……宜しいで、んっ……」
言い終わる前に口を塞がれていた。
今日は彼もアグレッシブなご様子。いつもなら、俺の緊張を解してくれるような優しい口づけから、徐々に深いものへと移行していくところ。
けれども、すぐに侵入してきた。しっとりと濡れた柔らかな体温が、その長さを活かして俺の口内を余すことなく愛で始めた。
舌先で顎の裏を撫でられると擽ったい。でも、それ以上に気持ちよくなってしまう。まだ絡めてもらえてもいないのに。
飲み込みきれなかった分が口の端からこぼれて顎を、喉を伝っていく。すぐに拭いたい衝動に駆られるその感覚にすら感じてしまっていた。どれだけ俺、期待して。
「んっ、ふ……ぅん……ん、んむ……」
涙で滲んでいく視界のように、頭の中もぼんやりと霞がかっていく。なのに音だけはクリアだ。聞いているだけで、背筋に淡い感覚を覚えてしまう濡れた音だけは。
早くも疼いてしまっている下腹部がもどかしい。堪え性もなく腰を揺らしてしまう。ふと硬い何かが当たった。丁度太ももの内側に正体不明の熱を感じた。
すでに熱に浮かされていた俺は、ますます鈍感になっているらしい。それの正体に気づかずに、感触を確かめるように太ももを押しつけてしまっていた。
「ん……」
蠢いていた舌が止まり、触れ合っている唇から切なそうな吐息が漏れたところでようやくだった。
黒のズボン越しでもくっきりと浮き出ている逞しいもの。彼の大切なところを無遠慮に刺激してしまっていたことに気がついたのは。
「っ……ご、ごめんなさい……大丈夫ですか? 痛くなかったですか?」
思わず離していた俺の口元を、長い指先が拭ってくれる。
「大丈夫ですよ、ご心配なさらないで……ただ……」
いくら彼が丈夫とはいえ、やっぱり痛かったんじゃ。心配をかけないようにと我慢しているんじゃ。
過った不安は、あっという間に吹き飛ばされた。羽を揺らしながら、おずおずと切り出してきた彼のお願いによって。
「……大変申し上げにくいのですが……今宵はいつにも増して、年甲斐もなく昂っておりまして……」
気恥ずかしそうに伏せられた白い睫毛が美しい。室内に淡い光をもたらすシャンデリアの明かりに透けて、銀の糸のように煌めいている。息を飲むような色っぽさだ。桜色に染まっている、透明感のある肌も相まって。
「……性急なのは存じております……ですが」
すっかり見惚れてしまっていると手を取られた。ゆっくりと導かれたのは、逞しいけれどもしなやかな太ももの間。ついさっき、俺が押し当ててしまっていたところ。指先に感じる熱に、その大きさに、硬さに、今度は喉を鳴らしそうになってしまう。
「……どうか、私を受け入れて頂けますか?」
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