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【新婚旅行編】四日目:とある秘書は、ご機嫌な主を前に微笑む
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晴れ渡る空、散歩日和に違いない温かい日差し。そして、それらよりも晴れやかで眩しい笑顔。我らが主は、いつにも増してご機嫌麗しい。
宵闇のように美しく艷やかな長髪を靡かせ、羽を優雅にはためかせている。細められた真っ赤な瞳は、ふとした時にこぼれ落ちてしまうのではと心配になってしまうほど。ニコニコ、うっとりと、周囲に明るいオーラを振り撒いていらっしゃる。
無理もないでしょうね。二日ぶりに大切なお二人を、バアル様とアオイ様を充電出来たどころか、豪華な手料理まで振る舞って頂いたのですから。
思い出した途端、錯覚を覚えた。ジューシーな果物、ふんだんに盛られた生クリーム、フカフカのパンケーキに、サクサクのタルト生地。それらが奏でる幸せな甘さが、口いっぱいに広がっていくような。
サンドイッチも美味しかったですが。やはり、お二方がお作りになられるスイーツは素晴らしい。是非とも、またご相伴に預かりたいところで。
「おや……」
丁度お二方のことを考えていたからだろうか。投影石のメッセージ欄に新たな写真が追加されたようだ。
少し前までは、専属カメラマンのコルテによって頻繁に送られてきていた微笑ましい写真の数々。それらが途絶えた理由は分かってはいた。お二方の身の安全を心配するようなことではないことも。
……寧ろあちらは、現状この世界で一番安全な場所でしょうしね。
とはいえ、やはり、長い間こないとなると尾羽根が自然とそわそわしてしまっていた。では、早速、確認を。
「レタリー」
「はい、ヨミ様。いかがなさい」
「即報告っ、即共有っ」
書類のタワーが何本も積み上がった執務机から身を乗り出し、手短に伝えたいことだけ伝えなさった主の頬が不満気に膨らんでいる。相変わらず勘の良いことだ。バアル様とアオイ様に関しては。
「……畏まりました」
お先に失礼して癒されようと企んでいたのだが、バレてしまっては致し方ない。投影石に魔力を込めて、先程送られてきたばかりの画像を宙へと映し出す。
「おお、やはり会えたのだなっ! フェニックスと」
光の中に浮かんだのは、炎の化身である彼と共に微笑み合うバアル様とアオイ様だった。
「はい、親衛隊の皆様からの連絡にもございましたが、フェニックスの方からお二方を招いたようです。白の間へと」
「ふむ……まぁ、今の世においては使う予定は万が一にもないが、アオイ殿には知っておいてもらわなければな。バアルの妻としても、私達王族の家族としても」
「……左様でございますね」
考えたくはないことではあるが、また、かの穢れのような災厄によって世界が危ぶまれた際、民を守るのは王族の役目。そして、アオイ様は我らが主の右腕であるバアル様の奥方様になられたのだ。少しずつでも知っておいてもらうべきだろう。
「はっはっは、そんな辛気臭い顔をするな! 私はもうあの時の私とは違う! バアルとアオイ殿の幸せを守るのは無論だが、ちゃんと私自身の幸せも守り抜くつもりであるからな!」
「……そうでなければ、困ります」
私としたことが、いらぬ心配をかけてしまうとは。知らぬ内に歪んでいたという表情を戻そうと口角を上げてみる。それすらも、ぎこちなかったのだろう。慌てた様子でヨミ様が話題を変えてきた。
「ああ、ほら、他には何かないのか? 今まではどういったことがあったのか、コルテが端的に教えてくれていたであろう?」
「そう、ですね……お二方がお互いの写真を見ながら、どこが可愛くてカッコいいのかと惚気られていたとのことと」
「えっ、何それ、バアルはともかくアオイ殿まで? めっちゃ参加したかったんであるけど」
「その模様は動画にて録画しているそうです」
「っし! ナイスであるぞ! コルテ!!」
「それから、幼い頃のバアル様の写真を一枚、アオイ様に送ったところバアル様が拗ねてしまわれたとのことです」
ハイだったヨミ様のテンションが落ち着いていく。シャンデリアに向かって上げていた、しなやかな腕を下ろして腕を組み、どこか呆れたように瞳を細めた。
「過去の自分自身にも嫉妬しおったのか……あー……いや、すでにしておったか……若返ってしまった時に」
「バアル様は独占欲の強い御方でございますからね。アオイ様が、どこまで分かっておられるのかは測りかねますが」
「まぁ、自覚がなくても大丈夫であろう。アオイ殿もバアルへの独占欲マシマシであるし」
「それもそうでしたね」
アオイ様が良い方であることは、お話しさせて頂いている内に分かってはいた。
とはいえ、初めのうちは恐れながらも私から見て相性的にはあまりというか……バアル様が選ばれた御方とはいえ、あの方を支えることが出来るのかと不安ではあったが。
「……そういう意味でも、バアル様とアオイ様の相性は抜群でございますね」
「当たり前であろう? あのバアルが選んだのだからなっ!」
我が事のように得意気に、自信満々にヨミ様が美しい羽をはためかせる。新しい紅茶を淹れながら、またしばし私達はお二方の話しに花を咲かせた。
宵闇のように美しく艷やかな長髪を靡かせ、羽を優雅にはためかせている。細められた真っ赤な瞳は、ふとした時にこぼれ落ちてしまうのではと心配になってしまうほど。ニコニコ、うっとりと、周囲に明るいオーラを振り撒いていらっしゃる。
無理もないでしょうね。二日ぶりに大切なお二人を、バアル様とアオイ様を充電出来たどころか、豪華な手料理まで振る舞って頂いたのですから。
思い出した途端、錯覚を覚えた。ジューシーな果物、ふんだんに盛られた生クリーム、フカフカのパンケーキに、サクサクのタルト生地。それらが奏でる幸せな甘さが、口いっぱいに広がっていくような。
サンドイッチも美味しかったですが。やはり、お二方がお作りになられるスイーツは素晴らしい。是非とも、またご相伴に預かりたいところで。
「おや……」
丁度お二方のことを考えていたからだろうか。投影石のメッセージ欄に新たな写真が追加されたようだ。
少し前までは、専属カメラマンのコルテによって頻繁に送られてきていた微笑ましい写真の数々。それらが途絶えた理由は分かってはいた。お二方の身の安全を心配するようなことではないことも。
……寧ろあちらは、現状この世界で一番安全な場所でしょうしね。
とはいえ、やはり、長い間こないとなると尾羽根が自然とそわそわしてしまっていた。では、早速、確認を。
「レタリー」
「はい、ヨミ様。いかがなさい」
「即報告っ、即共有っ」
書類のタワーが何本も積み上がった執務机から身を乗り出し、手短に伝えたいことだけ伝えなさった主の頬が不満気に膨らんでいる。相変わらず勘の良いことだ。バアル様とアオイ様に関しては。
「……畏まりました」
お先に失礼して癒されようと企んでいたのだが、バレてしまっては致し方ない。投影石に魔力を込めて、先程送られてきたばかりの画像を宙へと映し出す。
「おお、やはり会えたのだなっ! フェニックスと」
光の中に浮かんだのは、炎の化身である彼と共に微笑み合うバアル様とアオイ様だった。
「はい、親衛隊の皆様からの連絡にもございましたが、フェニックスの方からお二方を招いたようです。白の間へと」
「ふむ……まぁ、今の世においては使う予定は万が一にもないが、アオイ殿には知っておいてもらわなければな。バアルの妻としても、私達王族の家族としても」
「……左様でございますね」
考えたくはないことではあるが、また、かの穢れのような災厄によって世界が危ぶまれた際、民を守るのは王族の役目。そして、アオイ様は我らが主の右腕であるバアル様の奥方様になられたのだ。少しずつでも知っておいてもらうべきだろう。
「はっはっは、そんな辛気臭い顔をするな! 私はもうあの時の私とは違う! バアルとアオイ殿の幸せを守るのは無論だが、ちゃんと私自身の幸せも守り抜くつもりであるからな!」
「……そうでなければ、困ります」
私としたことが、いらぬ心配をかけてしまうとは。知らぬ内に歪んでいたという表情を戻そうと口角を上げてみる。それすらも、ぎこちなかったのだろう。慌てた様子でヨミ様が話題を変えてきた。
「ああ、ほら、他には何かないのか? 今まではどういったことがあったのか、コルテが端的に教えてくれていたであろう?」
「そう、ですね……お二方がお互いの写真を見ながら、どこが可愛くてカッコいいのかと惚気られていたとのことと」
「えっ、何それ、バアルはともかくアオイ殿まで? めっちゃ参加したかったんであるけど」
「その模様は動画にて録画しているそうです」
「っし! ナイスであるぞ! コルテ!!」
「それから、幼い頃のバアル様の写真を一枚、アオイ様に送ったところバアル様が拗ねてしまわれたとのことです」
ハイだったヨミ様のテンションが落ち着いていく。シャンデリアに向かって上げていた、しなやかな腕を下ろして腕を組み、どこか呆れたように瞳を細めた。
「過去の自分自身にも嫉妬しおったのか……あー……いや、すでにしておったか……若返ってしまった時に」
「バアル様は独占欲の強い御方でございますからね。アオイ様が、どこまで分かっておられるのかは測りかねますが」
「まぁ、自覚がなくても大丈夫であろう。アオイ殿もバアルへの独占欲マシマシであるし」
「それもそうでしたね」
アオイ様が良い方であることは、お話しさせて頂いている内に分かってはいた。
とはいえ、初めのうちは恐れながらも私から見て相性的にはあまりというか……バアル様が選ばれた御方とはいえ、あの方を支えることが出来るのかと不安ではあったが。
「……そういう意味でも、バアル様とアオイ様の相性は抜群でございますね」
「当たり前であろう? あのバアルが選んだのだからなっ!」
我が事のように得意気に、自信満々にヨミ様が美しい羽をはためかせる。新しい紅茶を淹れながら、またしばし私達はお二方の話しに花を咲かせた。
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