【完結】間違って地獄に落とされましたが、俺は幸せです。

白井のわ

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【新婚旅行編】四日目:神様が残した、もう一つの

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 視線を交わした俺達の答えは決まっていた。話し合う必要もなかった。

「俺達の方こそ、お願いします」

「ええ、是非立ち会わせて下さい」

『……ありがとう』

 ドラゴンさんに連れられて更に奥へ。辿り着いたそこはパッと見は何も無い平地だった。けれどもドラゴンさんがひと鳴きすると小さな渦のようなものが宙に現れた。

 ブラックホールに似たそれの中へと、遥かに巨体な皆さんが次々と入っていく。もしかして、同じような術なんだろうか。フェニックスがあの白い空間へと俺達を連れて行ってくれた時と。

「アオイ、私達も参りましょう」

「は、はい」

「大丈夫ですよ」

「はいっ」

 抱き上げてくれたバアルさんの首に腕を絡めると「いい子ですね」と頭を撫でてもらえた。水晶のように透き通った羽を広げ、しなやかな足で地を蹴って、バアルさんが渦に向かって飛び込んでいく。

 顔でシャボン玉を割ったような、不思議な感覚が頬を撫でたかと思えば風景が一変していた。先程の台地よりも高い水晶の山が、俺たちの前にそびえ立っていた。

 先に入っていたドラゴンさん達は、次々と山の頂上を目指して飛んでいる。黒いドラゴンさん、ヨミさんの声が頭の中に響いた。

『申し訳ない、そのまま上まで飛んで来てくれるだろうか?』

「畏まりました」

 ぐんぐんとバアルさんが俺を抱えて天辺を目指す。さほど時間はかからずに到着出来たそこは、ならされたように平らになっていた。少し凹んだ真ん中には、鳥の巣のように小枝のようなものがたっぷりと敷かれている。俺達の部屋くらいに大きな巣の真ん中で守られていたのは。

『この子は、あの日突然現れた。我らが神が魔力の花を咲かせてくれた後に、貴方方が世界を救ってくれた後に』

 白い卵だった。それも、ただの白ではない。神様を、神様の木を思わせるように淡く輝く、神秘的な白。

「それって、まるで」

『ああ、私達もそう思っている。我らが神が残した愛し子ではないかと。だからこそ……いや、より貴方方に立ち会って頂きたいと願っていた。もうすぐ生まれそうなのだ。どうか、近くで見守ってはくれないか?』

 いいんですか、なんて。聞いてしまうのは野暮だと思った。巣の側で佇むヨミさんに、巣を囲むように腰を下ろしているドラゴンの皆さんに頭を下げてから、バアルさんと一緒に歩み寄っていく。

「キレイ……」

 近くで見るとより。真珠のような光沢を帯びている卵の大きさは、俺でも抱き抱えられるくらい。日差しのように優しくて温かい光を放ち続けている。

「アオイ、ヒビが……っ」

「えっ? ホントだ、生まれ、るっ?」

 バアルさんが見つけた細かな亀裂に気づいた途端に放たれ、俺達を包みこんだ眩しい光に反射的に瞼を閉じてしまっていた。

「ぴっきゅあっ!」

「おわっ!?」

「アオイっ」

 目を開けても眩しさで視界がおぼつかない最中、胸元に衝撃が。何やら、ひんやりしていてスベスベしたものが飛びついてきたみたい。咄嗟に抱き締めた俺の腕の中で、それはご機嫌そうな鳴き声を上げている。

「きゅうっ、きゅあっ」

「大丈夫ですか、アオイ?」

 背中から聞こえてきたのは心配そうな声。どうやら、バアルさんが後ろから抱き止めてくれていたようだ。俺がひっくり返ってしまわないように。

「うん、バアルのお陰で、ありがとう」

「いえ」

 ようやく目が慣れてきた頃、腕の中でじゃれている新たな命と目が合えた。白い鱗に覆われた小さく太い尻尾を振りながら、ドングリのように丸い琥珀色の瞳を輝かせ、小さなドラゴンが俺の頬に鼻を擦り寄せてきた。
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