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【新婚旅行編】六日目:お試しよりも、普通に
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デジャヴな感覚を頼りに、記憶の中の引き出しを探ってみる。
いつかのあの時。あの時も、俺への愛を紡いでくれている彼の声は、変わらず慈しみにあふれていて。でも、こんなにも穏やかで、楽しげではなくて。
ああ、そうだ……泣きたいのに泣けなくて……息が出来ないくらいに切なくて……囁いているのに叫んでいるような。聞いているだけで、酷く胸を締め付けられるような。
それは、もう、笑い話の一つとして二人で振り返られる程度にはなれた日のこと。俺が、ずっと彼を待たせてしまっていた十日間のこと。
生命力を使ったことで、深い眠りの底に落ちてしまった俺の元には、確かに届いていた。微かだけれども強い願いが込められた愛の叫びが、祈りが、何度も、何度も。
彼以外の声も届いていた。ヨミ様、サタン様、グリムさん、クロウさん、レタリーさん……ずっと俺を呼んでくれていて。
でも、応えたくても声が出せなくて。手を伸ばそうとしても身体に力が入らなくて、指先一つすらも動かせなくて。ずっと俺は一人で漂っていた。暗闇の中、微かに真上から差してきている、たった一筋の光を眺めているだけだった。
『もう、大丈夫ですよ』
たった一言だけ、神様の声が聞こえるまでは。
それからだ。バアルの声が、より近くに聞こえるようになって。血が巡り始めたかのように全身がぽかぽかしてきて、彼の温もりをすぐ側に感じて、落ち着くハーブの匂いがして。
「……アオイ、私の愛しい人……貴方様を」
「愛してる」
「……アオ、イ……?」
「俺も……愛してるよ、バアル」
驚きに満ちた彼の眼差しが、鮮やかに煌めいて見える。不思議なことに彼の姿も、白く、淡く輝いて見えて。
「ふふ……」
堪えきれないって感じだった。小さく吹き出して、くすくすと笑みをこぼしている唇が、ゆっくりと近づいてくる。
「私も、愛しておりますよ」
視界いっぱいに映る咲き誇るような微笑みを、俺は抱き締めていた。白い首に腕を絡めて、額を擦り寄せていた。
こぼれる笑みで震える吐息が、互いの口に触れている。それでも構わずに交わしていると、バアルがわざとらしいリップ音を鳴らしてから尋ねてきた。
「……ところでアオイ、続きはいかがなさいますか?」
「へ?」
「お試しのお戯れは、もうお止めに致しますか?」
そうだった。完全に忘れちゃっていた。
自分から強請ったってのに。目を開けてしまっていたことにも、中断しちゃっていたことにも今更気づくだなんて。
「う、うん……止める、付き合ってくれてありがとう」
「いえ……それで、これからはいかが致しますか?」
俯きかけていた俺の顔を覗き込むように見つめてくる。もう、彼にはお見通しなんだろう。今から俺がして欲しいことなんて。
だって、笑っている。優しい眼差しも、口元も。それは、それは、楽しそうに。ちょっぴり悪戯っぽく。
「あ、ぅ……普通に、いちゃいちゃしたい……バアルにぎゅってして欲しい……いっぱい俺のこと撫でて欲しい……」
「畏まりました……」
温かい腕に抱き締められて、透き通った羽に包み込まれて、少しだけ周りの光が弱く感じる。俺の背を撫でてくれる優しい手つきに、自然と俺は目を閉じていた。広く頼もしい背中に腕を回していた。
いつかのあの時。あの時も、俺への愛を紡いでくれている彼の声は、変わらず慈しみにあふれていて。でも、こんなにも穏やかで、楽しげではなくて。
ああ、そうだ……泣きたいのに泣けなくて……息が出来ないくらいに切なくて……囁いているのに叫んでいるような。聞いているだけで、酷く胸を締め付けられるような。
それは、もう、笑い話の一つとして二人で振り返られる程度にはなれた日のこと。俺が、ずっと彼を待たせてしまっていた十日間のこと。
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彼以外の声も届いていた。ヨミ様、サタン様、グリムさん、クロウさん、レタリーさん……ずっと俺を呼んでくれていて。
でも、応えたくても声が出せなくて。手を伸ばそうとしても身体に力が入らなくて、指先一つすらも動かせなくて。ずっと俺は一人で漂っていた。暗闇の中、微かに真上から差してきている、たった一筋の光を眺めているだけだった。
『もう、大丈夫ですよ』
たった一言だけ、神様の声が聞こえるまでは。
それからだ。バアルの声が、より近くに聞こえるようになって。血が巡り始めたかのように全身がぽかぽかしてきて、彼の温もりをすぐ側に感じて、落ち着くハーブの匂いがして。
「……アオイ、私の愛しい人……貴方様を」
「愛してる」
「……アオ、イ……?」
「俺も……愛してるよ、バアル」
驚きに満ちた彼の眼差しが、鮮やかに煌めいて見える。不思議なことに彼の姿も、白く、淡く輝いて見えて。
「ふふ……」
堪えきれないって感じだった。小さく吹き出して、くすくすと笑みをこぼしている唇が、ゆっくりと近づいてくる。
「私も、愛しておりますよ」
視界いっぱいに映る咲き誇るような微笑みを、俺は抱き締めていた。白い首に腕を絡めて、額を擦り寄せていた。
こぼれる笑みで震える吐息が、互いの口に触れている。それでも構わずに交わしていると、バアルがわざとらしいリップ音を鳴らしてから尋ねてきた。
「……ところでアオイ、続きはいかがなさいますか?」
「へ?」
「お試しのお戯れは、もうお止めに致しますか?」
そうだった。完全に忘れちゃっていた。
自分から強請ったってのに。目を開けてしまっていたことにも、中断しちゃっていたことにも今更気づくだなんて。
「う、うん……止める、付き合ってくれてありがとう」
「いえ……それで、これからはいかが致しますか?」
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「あ、ぅ……普通に、いちゃいちゃしたい……バアルにぎゅってして欲しい……いっぱい俺のこと撫でて欲しい……」
「畏まりました……」
温かい腕に抱き締められて、透き通った羽に包み込まれて、少しだけ周りの光が弱く感じる。俺の背を撫でてくれる優しい手つきに、自然と俺は目を閉じていた。広く頼もしい背中に腕を回していた。
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