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【新婚旅行編】七日目:優雅に宙に立っている彼は、ホントに現実に生きているとしか
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……昔々、あるところに。
そんな、よくある導入が不意に耳元で聞こえた。けれども、その声は俺の大好きな人のものではない。聞き馴染みのある声ではあったけれども。
隣に腰掛けている彼の顔すら、ぼんやりとしか認識出来ないほどの暗闇。ホール全体を包んでいた暗闇の中、ろうそくのように微かな明かりが、ぽつんと一つ灯る。
淡くぼんやりとした光の点を中心に、光の波紋が一つ。さらに一つと生まれていく。小さな輪っかは、心音のように一定のリズムを保ちながら増えていき、増える度にその波紋を大きくした。
そうして徐々にホールへと広がっていく。真っ直ぐにゆっくりと、けれども確実に俺達の元へと近づいてくる。前の座席を飲み込んだ光の波が俺達の鼻先に触れようとしていたところで、引き寄せられるように一気に中心へと戻っていった。
いくつもの光の輪を束ねたからか、中心の明かりはろうそくから炎へと変わっていく。
ホールを覆う暗闇を吹き飛ばすかのように燃え盛り、眩く輝いていた炎。ますます勢いを増しそうだった輝きは、何の予兆もなく突然シャボン玉のように儚くぱちんと弾けた。
瞬間、流れ星のように煌めくいくつもの光の線が、放射状に俺達に向かって駆けてくる。SF映画で見たことがあるような。ああ、あれだ。ワープする瞬間の演出みたい。
頬を掠めていきそうな光の線に眩さを感じて思わず目を閉じる。ほんの一分も瞑ってはいなかったハズだ。けれども、そうして俺が目を離した後には、目に映る世界がガラリと変わっていた。
「ようこそいらっしゃいました、色とりどりの温かな夢であふれる私達の世界へ」
さっきと同じ声だった。物腰柔らかな声が、そう明言した通りの美しい光景が広がっていた。
晴れ渡る空からそのまま色を貰ったように真っ青なお城。高さの違ういくつもの塔を組み合わせたような荘厳な城の上を、青いお城を中心に円を描くように広がっている国を、色鮮やかな色彩に彩られた豊かな営みを、気がつけば俺達は見下ろしていた。
何の感覚もなかった。なのに、いつの間に座席が浮いて。いや違う。俺達の足元に映像が映っているんだ。
それも平面的ではなく、惹き込まれてしまいそうな遠近を感じる立体的な映像が。だから、まるで実際に空の上から見下ろしているような気分になって。
「ご機嫌よう、外の世界よりお越しの皆様方」
また、あの声が、馴染みのある柔らかな声が耳元で聞こえてきた。途端に座席ごと、ゆったりとリクライニングするように傾いていく。
力技で促された視線の先に、執事服を纏った男性が宙に佇んでいた。恭しく頭を下げて、キレイなお辞儀を披露している。少し細身だけれども均整のとれた身体つきをしている彼の後ろで、ふわふわと揺れている黄緑色の尾羽根。色鮮やかなそれと同じ色の髪。
決定的だった。声だけでも、彼なんじゃないかなって予測は出来ていたけれども。
「私はレタリーンと申します。ヨミーン様とサターン様に代わって、本日、皆様の案内役を務めさせて頂きます故、どうぞ宜しくお願い致します」
ああ、やっぱり。タレ目の瞳を細めて、優雅な立ち姿で宙に立っている彼は、午前の謁見の間にて出会えたばかり。ただ今回の彼は、着ぐるみではなくCG映像として俺達の前へと現れているようだった。
それも、本物のようにリアルな質感のある姿で。尾羽根の細やかな羽毛のサラふわ感や、生き生きとした光の宿った眼差しなんて、ホントに現実に生きているとしか。
そんな、よくある導入が不意に耳元で聞こえた。けれども、その声は俺の大好きな人のものではない。聞き馴染みのある声ではあったけれども。
隣に腰掛けている彼の顔すら、ぼんやりとしか認識出来ないほどの暗闇。ホール全体を包んでいた暗闇の中、ろうそくのように微かな明かりが、ぽつんと一つ灯る。
淡くぼんやりとした光の点を中心に、光の波紋が一つ。さらに一つと生まれていく。小さな輪っかは、心音のように一定のリズムを保ちながら増えていき、増える度にその波紋を大きくした。
そうして徐々にホールへと広がっていく。真っ直ぐにゆっくりと、けれども確実に俺達の元へと近づいてくる。前の座席を飲み込んだ光の波が俺達の鼻先に触れようとしていたところで、引き寄せられるように一気に中心へと戻っていった。
いくつもの光の輪を束ねたからか、中心の明かりはろうそくから炎へと変わっていく。
ホールを覆う暗闇を吹き飛ばすかのように燃え盛り、眩く輝いていた炎。ますます勢いを増しそうだった輝きは、何の予兆もなく突然シャボン玉のように儚くぱちんと弾けた。
瞬間、流れ星のように煌めくいくつもの光の線が、放射状に俺達に向かって駆けてくる。SF映画で見たことがあるような。ああ、あれだ。ワープする瞬間の演出みたい。
頬を掠めていきそうな光の線に眩さを感じて思わず目を閉じる。ほんの一分も瞑ってはいなかったハズだ。けれども、そうして俺が目を離した後には、目に映る世界がガラリと変わっていた。
「ようこそいらっしゃいました、色とりどりの温かな夢であふれる私達の世界へ」
さっきと同じ声だった。物腰柔らかな声が、そう明言した通りの美しい光景が広がっていた。
晴れ渡る空からそのまま色を貰ったように真っ青なお城。高さの違ういくつもの塔を組み合わせたような荘厳な城の上を、青いお城を中心に円を描くように広がっている国を、色鮮やかな色彩に彩られた豊かな営みを、気がつけば俺達は見下ろしていた。
何の感覚もなかった。なのに、いつの間に座席が浮いて。いや違う。俺達の足元に映像が映っているんだ。
それも平面的ではなく、惹き込まれてしまいそうな遠近を感じる立体的な映像が。だから、まるで実際に空の上から見下ろしているような気分になって。
「ご機嫌よう、外の世界よりお越しの皆様方」
また、あの声が、馴染みのある柔らかな声が耳元で聞こえてきた。途端に座席ごと、ゆったりとリクライニングするように傾いていく。
力技で促された視線の先に、執事服を纏った男性が宙に佇んでいた。恭しく頭を下げて、キレイなお辞儀を披露している。少し細身だけれども均整のとれた身体つきをしている彼の後ろで、ふわふわと揺れている黄緑色の尾羽根。色鮮やかなそれと同じ色の髪。
決定的だった。声だけでも、彼なんじゃないかなって予測は出来ていたけれども。
「私はレタリーンと申します。ヨミーン様とサターン様に代わって、本日、皆様の案内役を務めさせて頂きます故、どうぞ宜しくお願い致します」
ああ、やっぱり。タレ目の瞳を細めて、優雅な立ち姿で宙に立っている彼は、午前の謁見の間にて出会えたばかり。ただ今回の彼は、着ぐるみではなくCG映像として俺達の前へと現れているようだった。
それも、本物のようにリアルな質感のある姿で。尾羽根の細やかな羽毛のサラふわ感や、生き生きとした光の宿った眼差しなんて、ホントに現実に生きているとしか。
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