【完結】間違って地獄に落とされましたが、俺は幸せです。

白井のわ

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【新婚旅行編】七日目:当の本人にはそういうつもりはないのが、また

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 擽ったさをどうにかする為に蒸し返したハズが、余計に擽ったい思いをするハメになるとは。もう、こうなったら時間に解決してもらおう。今は熱くて仕方がなくても、少しすればマシになるだろう。

 そう考えて俺も開き直ろうとしたのもつかの間。意識しないように頑張ろうとしていたところで、いつも追い打ちをかけてくるのが彼なのだ。大抵の場合、当の本人にはそういうつもりはないのが、また。

「ご心配なく。先程は、つい貴方様のお可愛らしさに年甲斐もなく衝動を抑えることが敵いませんでしたが、次は努力致します。新婚という幸福に浮かれ過ぎてしまうことなく、抑えてみせますので……」

 弁えるべきだと最初に申し出たのは私でございますから、寂しそうな響きを含んだ声で、そう付け加えてからバアルは微笑んだ。

 途端に胸の奥から込み上げてきてしまう。大好きだとか、嬉しいだとか。元々つのりまくっていて、幾度となくあふれてしまっているのにも関わらず。

「うぐっ……も、いいよ……ちゃんとバレないように、周りの人の迷惑にならないように、してくれるんだったらさ……」

 つい俺は繋いでくれている手に力を込めてしまっていた。何となく、今は彼の顔を見ることが出来なかった。

「……御慈悲に感謝致します」

 でも、見なくても分かったんだ。きっと、俺の大好きな柔らかな笑顔を浮かべてくれているんだって。嬉しそうに目尻のシワを深めているんだって。



 皆さんへのお土産にと選んだのは、やっぱりあの食べた後にも飾れるお城が入れ物になっているチョコレート菓子。お土産の中でも、一番の人気だとオススメ書きされていたものにした。

 俺達はぬいぐるみとノンアルコールのワインの他にも、ヨミーン様とサターン様それぞれをモチーフにしたボールペンやら、バッジやらをちょこちょこと。バアルさんの大きな両手が買い物袋で塞がってしまうほどに買い込んでしまっていた頃には、予定の時間を迎えていた。

「ここが、ヨミ様達が俺達へのサプライズにって用意してくれた……」

 全ての荷物はバアルさんが愛用している謎の空間に、どんな大きさの物でもいくらでも収納出来て、好きな時に取り出せるという便利過ぎる収納スペースへと丁寧にしまってくれた。

 そうして俺達が訪れたのは、広い会場。コンサートやミュージカルを開くにはピッタリの、数百人は一緒に楽しめそうなほどに広い会場だった。

「何かを鑑賞する形のイベント、でしょうか?」

「みたい、ですよね」

 バアルさんの予想と俺の予想はお揃いだった。魔術に関してまだまだな俺の目から見ても、会場内は謁見の間のような。ヨミーン様達とのお喋りを楽しんだ時のように、いくつもの座席が用意されている。

 ただ、今回は謁見の間の時のように座席達の前に玉座のように目立ったものはない。かといって、俺にとって馴染みのある映画館のような巨大なスクリーンもなければ、演劇を披露されるような舞台もありゃしない。ホントに席だけだった。

 とはいえ、謁見の間では、座席に色々な術が施されていたのだ。何にもナシってことはないだろう。

 会場に入る前にスタッフさんから示された番号、投影石に表示されている座席番号を頼りに俺達の席へと。今回は後ろの方、真ん中寄りではあるけれど少し右端に近い位置だった。今回も仕切りのない二人掛けの席だった。
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