【完結】間違って地獄に落とされましたが、俺は幸せです。

白井のわ

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【新婚旅行編】十日目:縁起のいい数字

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「んー……キリがいいとしたら十階、かな? それともゾロ目で十一とか?」

 改めて歩みを進めながら、彼の手を握り直しながら、せめて気分だけでも明るくしようと試みる。そんな俺の考えにすぐさまバアルは乗ってくれた。

「でしたら縁起のいい数字やもしれませんよ? 例えば十三とか」

「えっ、バアル的には十三って縁起がいいの? 何か、俺、あんまり良くなさそうなイメージがあったんだけど……」

「抜群でございますよ? なんせ、ヨミ様がお産まれになった時刻が十三時十三分。月日も一の月の十三日。ですから我が国において、一と三、それから十三は特別な数字なのです」

 緑の輝きに照らされた横顔が得意気に微笑む。口調は穏やかなものの、その声色は明るい。隠し切れていないテンションの上がり具合に、ちょっぴりうんざりしていた気持ちを明るくしてもらえた。

「ふふ、そりゃあ抜群に良いね。超ラッキーナンバーじゃん……って、コルテ?」

 導いてくれていた緑の輝きが少し前で止まっている。振り子のように揺ら揺らと左右に揺れて飛びながら、チリンチリンと鳴らしている音は何だか嬉しそうな。

「やはり、超ラッキーナンバーである十三が正解だったのやもしれませんね」

 微笑みながらバアルが俺の手を引く。ストンと着地した石畳は、今までの一段一段とは違う確かな安定感があった。ようやく地に足がついたような心地が。

「つい、た?」

 コルテが照らし出してくれているそこは部屋のように広い場所だった。高い壁には遺跡の外側に施されていたのと同じような模様が帯状に描かれている。燭台、だろうか? 火を灯すことが出来そうなものが壁につけられてはいるが、今は働いてはいない。

「やった、良かった、終わったよー……」

 込み上げてきたのは安堵だった。

 いつまで続くんだろう。どこまで下りていけば? たったの四分が長く重く心へとのしかかってくる。そんな不安から解放されたのだから。

 思わず抱きついてしまっていた俺をビクともせずにバアルはその逞しい長身で抱きとめてくれた。よしよしと頭を撫でてくれた。

「ええ、頑張りましたね、アオイ」

「うん……バアルとコルテもね」

 達成感的にはもうフィナーレ気分。でもまだ冒険は始まったばかりだ。



 安心感と癒し効果抜群な腕の中は名残惜しいが、一度ぎゅっと広い背を抱き締めたのを最後にした。バアルもちょっと残念そうに見つめてきたもんだから、余計に後ろ髪を引かれそうになってしまった。

 そんな時に俺達を引っ張ってくれるのはコルテだ。チリンチリンと今度は急かすような音を鳴らしながら、何かがあるよ! とばかりに俺達に向かって瞬きながらアピールしてくれている。

「どうやら、コルテが何かを見つけたようですね」

「うん、行ってみようか」

 コルテが見つけてくれたのは扉だった。

 階段を下りたばかりだったから部屋が広く感じていたが、改めて見回してみると大した広さはない。目も耳もいいバアルと違って遠くを見通せない俺でも、ざっと見渡せば何処に何があるかは分かる程度だった。

 そんな石の壁に作られている簡素な部屋に唯一あっためぼしい物。それがコルテの見つけた扉だった。他には何も。何か意味ありげな台座もなければ、少し中身を見るのが怖い壺の類もありゃしない。

 周囲の壁も何の変哲も。やっぱり外壁にもあったような模様が描かれてはいる。とはいえ、隠し扉がありそうな感じもないし、スイッチでも仕込まれていそうな穴が空いている訳でもない。

 ただ、入口の扉のような隠し要素というか、細かく調べて見れば何か隠されたメッセージ的なものが、その至る所に彫られている独特の模様の中に隠されているかもしれないが。それは、まぁ、扉を調べてからでも遅くはないだろう。
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