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【新婚旅行編】十日目:寝室イコール
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胸の内をそっと摘まれたような心地がする。口元がだらしなく緩んでしまう。きっと、今俺はでれっとした顔をしてしまっているに違いない。
良かった、バアルが抱きついてくれている時で。こんな顔すらも、きっとバアルなら、アオイは可愛いですね、って褒めてくれるんだろうけど。
彫りの深い顔に喜びを滲ませて、柔らかく微笑むバアルを思い浮かべたら、また笑みがこぼれてしまっていた。
浸ってしまっていると抱きついてくれている腕の力が強くなった。タンポポの綿毛のような感触が頬にちょこんっと触れてきた。
バアルの触角の先だった。ずっと俺を避けてくれていた二本の内の一本が、何かを訴えっているように触れてくる。遠慮がちなその動きは、構って欲しくてちょっかいを出しているようにしか。
もしかして……こんな時まで、分かっちゃったんだろうか。俺が何か考えごとをしているって。
試しに頭を撫でてみた。頭頂部から首筋の方へと、手のひら全体を使って優しく。ゆったりとひと撫でしただけでも、感情豊かな彼の触角と羽は分かりやすく喜びを示してくれる。
触角は頭の上でご機嫌そうにゆらゆらと、水晶のように透き通った羽はぱたぱたと。求めていたのは、これなんだとばかりにご機嫌そう。
じゃあ、今度はと柔らかな髪へと指を通してみる。場所を変えながら梳くように撫でていく。
光りに照らされると銀の糸のように煌めいて見える白い髪。艷やかな髪が指と指との間をスルリと通っていく度にも、ゆらゆら、ぱたぱた。こちらも気に入ってくれているのだと、触角と羽が教えてくれた。
「ふふ……可愛いね、バアル……でも……どうしたの? いっぱい甘えてくれるのは、嬉しいんだけどさ」
思わず尋ねてしまった後で気がついた。もしかしたら、言い辛いんじゃないかなって。
慌ててしまうと、いやそうでなくとも、思っていたことをそのまま口にしてしまうという悪癖が今日も遺憾無く発揮されてしまっていた。
「あ……えーっと……言い辛いんだったら……じゃなくてっ……ソファーっ、ソファーに行こうか? 座った方が、バアルものんびり甘えやすいだろうし、俺も撫でやす」
「……では、寝室へとお連れしても?」
「ふぇ」
自然と上目遣いになってしまっている眼差しに、ぽつりと発した単語に心臓がはしゃぐように飛び跳ねる。しゃべっている途中だった口から間の抜けた声が出てしまっていた。
……寝室。いっそのんびりするなら、その選択肢はアリだろう。眠くなったら眠れるし。もしバアルがソファーで微睡んでしまったら、俺ではまだ彼を運ぶことは出来ないし。
コルテに手伝ってもらえば大丈夫そうだけど。そんな理性的な考えが浮かんでいる間にも、厄介な期待がひょこりと顔を出してきてしまう。火照るように全身が熱くなって、ますます心音が煩く高鳴ってしまう。
それもこれも、この旅行中にとびきり甘やかな時間を何度も寝室で過ごさせてもらっているからだ。
おまけに旅行前は、結婚式を改めてやり直す前は、俺の体調が良くなるまでお互いに我慢をしていたってのもあるんだろう。余計に盛り上がってしまっているというか。一日中……なんてこともあった訳で。
だから頭の中で勝手に繋ぎ合わせてしまう。寝室イコールそういうことをするのでは、と。
いやいや、でも別に今までだって、そういうことばっかりしていた訳じゃないし? 今みたくバアルを撫でたり、撫でさせてもらったり……
「アオイ」
「ひゃいっ」
「ベッドで、愛しい妻に甘えさせて頂いても宜しいでしょうか?」
「あ……ぅ、うん……宜しい、です……」
意味深に一つの単語だけを強調しながら、低い声に尋ねられただけで背筋に淡い感覚が走ってしまった。顔の中心が熱くなった。
良かった、バアルが抱きついてくれている時で。こんな顔すらも、きっとバアルなら、アオイは可愛いですね、って褒めてくれるんだろうけど。
彫りの深い顔に喜びを滲ませて、柔らかく微笑むバアルを思い浮かべたら、また笑みがこぼれてしまっていた。
浸ってしまっていると抱きついてくれている腕の力が強くなった。タンポポの綿毛のような感触が頬にちょこんっと触れてきた。
バアルの触角の先だった。ずっと俺を避けてくれていた二本の内の一本が、何かを訴えっているように触れてくる。遠慮がちなその動きは、構って欲しくてちょっかいを出しているようにしか。
もしかして……こんな時まで、分かっちゃったんだろうか。俺が何か考えごとをしているって。
試しに頭を撫でてみた。頭頂部から首筋の方へと、手のひら全体を使って優しく。ゆったりとひと撫でしただけでも、感情豊かな彼の触角と羽は分かりやすく喜びを示してくれる。
触角は頭の上でご機嫌そうにゆらゆらと、水晶のように透き通った羽はぱたぱたと。求めていたのは、これなんだとばかりにご機嫌そう。
じゃあ、今度はと柔らかな髪へと指を通してみる。場所を変えながら梳くように撫でていく。
光りに照らされると銀の糸のように煌めいて見える白い髪。艷やかな髪が指と指との間をスルリと通っていく度にも、ゆらゆら、ぱたぱた。こちらも気に入ってくれているのだと、触角と羽が教えてくれた。
「ふふ……可愛いね、バアル……でも……どうしたの? いっぱい甘えてくれるのは、嬉しいんだけどさ」
思わず尋ねてしまった後で気がついた。もしかしたら、言い辛いんじゃないかなって。
慌ててしまうと、いやそうでなくとも、思っていたことをそのまま口にしてしまうという悪癖が今日も遺憾無く発揮されてしまっていた。
「あ……えーっと……言い辛いんだったら……じゃなくてっ……ソファーっ、ソファーに行こうか? 座った方が、バアルものんびり甘えやすいだろうし、俺も撫でやす」
「……では、寝室へとお連れしても?」
「ふぇ」
自然と上目遣いになってしまっている眼差しに、ぽつりと発した単語に心臓がはしゃぐように飛び跳ねる。しゃべっている途中だった口から間の抜けた声が出てしまっていた。
……寝室。いっそのんびりするなら、その選択肢はアリだろう。眠くなったら眠れるし。もしバアルがソファーで微睡んでしまったら、俺ではまだ彼を運ぶことは出来ないし。
コルテに手伝ってもらえば大丈夫そうだけど。そんな理性的な考えが浮かんでいる間にも、厄介な期待がひょこりと顔を出してきてしまう。火照るように全身が熱くなって、ますます心音が煩く高鳴ってしまう。
それもこれも、この旅行中にとびきり甘やかな時間を何度も寝室で過ごさせてもらっているからだ。
おまけに旅行前は、結婚式を改めてやり直す前は、俺の体調が良くなるまでお互いに我慢をしていたってのもあるんだろう。余計に盛り上がってしまっているというか。一日中……なんてこともあった訳で。
だから頭の中で勝手に繋ぎ合わせてしまう。寝室イコールそういうことをするのでは、と。
いやいや、でも別に今までだって、そういうことばっかりしていた訳じゃないし? 今みたくバアルを撫でたり、撫でさせてもらったり……
「アオイ」
「ひゃいっ」
「ベッドで、愛しい妻に甘えさせて頂いても宜しいでしょうか?」
「あ……ぅ、うん……宜しい、です……」
意味深に一つの単語だけを強調しながら、低い声に尋ねられただけで背筋に淡い感覚が走ってしまった。顔の中心が熱くなった。
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