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【新婚旅行編】十日目:俺って、割と最初っからバアル無しじゃあいられなかったり?
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漠然としか思っていなかった疑問を改めて頭の中で整理していく。しながらも、ちゃんと全てを列挙する前に俺の口は浮かんだものから順に発してしまっていた。
「んーとね……例えばさ、服とかジャケットとか、羽を出す為の穴があいていなさそうなのに貫通しちゃってるとことか」
「ふむ」
「後、見た目は水晶みたいにキレイに透き通ってて硬そうなのに、変幻自在っていうか……思い通りの大きさになったり縮んだり、伸びたりするとことか……かな」
「っ、成る程……」
納得したような相槌の前に、バアルはむせたように言葉を詰まらせていた。不思議には思ったけれども、大丈夫? と尋ねるよりも先にバアルが答えを返してくれたことで、俺の興味と関心はそちらへとあっさり引き寄せられていた。
「先ず、最初の疑問に対するお答えですが……アオイは何度か、コルテが扉をすり抜けていく様を見たことがございまよね?」
「うん……」
見たことがあるというか、ちょくちょくあるな。初めて見たのは、バアルと出会えてすぐだったっけ。食欲が全然なかった俺にせめてスープをって。用意する為にバアルが部屋を出ようとしたんだけれども……俺の我儘で引き留めちゃって、それで代わりにコルテが。
芋づる式に思い出された当時の無意識な自身の行動に、顔が熱くなってしまう。俺って、割と最初っからバアル無しじゃあいられなかったり?
自覚してしまったことで、ますます込み上げてきた気恥ずかしさ。それらから全力で目を逸らすべく、バアルの羽を撫で回した。口を動かした。
「あ、あれだよね? ちゃんと俺にもコルテの姿は見えていたのに、扉に当たっちゃうって瞬間にフッて感じですり抜けていっちゃって……」
そこまで口にしたことで腑に落ちた。彼が言わんとしていたことに。
「あっ……もしかして、バアルの羽も同じ原理っていうか、同じ術を使ってるってこと?」
「はい。ご明察の通り、コルテが使用している術と私が羽に対して使用している術はどちらも同じもの。自身の身体、または身体の一部に対して物理的な干渉を受けなくさせるものでございます」
「物理的な、干渉……?」
今までバアル先生から魔術の授業を受けてきたけれども、聞いたことのない単語だ。
俺がいかにもピンときていないという声でオウム返しをしても、バアルは背を向けたまま黙っている。待っていても、分かりやすい説明をしてくれる気配はない。この感じは授業の時と同じだな。自分なりに考えて出した答えを間違っていてもいいから述べてみなさいっていう時間だ。
それならばと、もう一度彼の言葉を振り返りながら、先の単語の意味を自分なりに噛み砕こうと試みる。
物理的……今回ので言うと、コルテの場合の扉だとか、バアルの場合の服だとか、そういう物に対してってことだよな。それらの干渉を受けないってこと、だから。
「えっと……ニュアンス的に、一時的に透明人間になれちゃう、みたいな感じで合ってる? もしくは幽霊みたいにすり抜けられちゃうみたいな?」
「ええっ、そのような考え方で宜しいかと」
すぐさま返ってきたのは、喜びが滲んだ声。羽は俺が触れているままだからか、いつもみたいにぱたぱたとはためきはしなかった。けれども、触角の方は下ろされた艷やかな髪の上で、ふわふわと弾むように揺れている。
「んーとね……例えばさ、服とかジャケットとか、羽を出す為の穴があいていなさそうなのに貫通しちゃってるとことか」
「ふむ」
「後、見た目は水晶みたいにキレイに透き通ってて硬そうなのに、変幻自在っていうか……思い通りの大きさになったり縮んだり、伸びたりするとことか……かな」
「っ、成る程……」
納得したような相槌の前に、バアルはむせたように言葉を詰まらせていた。不思議には思ったけれども、大丈夫? と尋ねるよりも先にバアルが答えを返してくれたことで、俺の興味と関心はそちらへとあっさり引き寄せられていた。
「先ず、最初の疑問に対するお答えですが……アオイは何度か、コルテが扉をすり抜けていく様を見たことがございまよね?」
「うん……」
見たことがあるというか、ちょくちょくあるな。初めて見たのは、バアルと出会えてすぐだったっけ。食欲が全然なかった俺にせめてスープをって。用意する為にバアルが部屋を出ようとしたんだけれども……俺の我儘で引き留めちゃって、それで代わりにコルテが。
芋づる式に思い出された当時の無意識な自身の行動に、顔が熱くなってしまう。俺って、割と最初っからバアル無しじゃあいられなかったり?
自覚してしまったことで、ますます込み上げてきた気恥ずかしさ。それらから全力で目を逸らすべく、バアルの羽を撫で回した。口を動かした。
「あ、あれだよね? ちゃんと俺にもコルテの姿は見えていたのに、扉に当たっちゃうって瞬間にフッて感じですり抜けていっちゃって……」
そこまで口にしたことで腑に落ちた。彼が言わんとしていたことに。
「あっ……もしかして、バアルの羽も同じ原理っていうか、同じ術を使ってるってこと?」
「はい。ご明察の通り、コルテが使用している術と私が羽に対して使用している術はどちらも同じもの。自身の身体、または身体の一部に対して物理的な干渉を受けなくさせるものでございます」
「物理的な、干渉……?」
今までバアル先生から魔術の授業を受けてきたけれども、聞いたことのない単語だ。
俺がいかにもピンときていないという声でオウム返しをしても、バアルは背を向けたまま黙っている。待っていても、分かりやすい説明をしてくれる気配はない。この感じは授業の時と同じだな。自分なりに考えて出した答えを間違っていてもいいから述べてみなさいっていう時間だ。
それならばと、もう一度彼の言葉を振り返りながら、先の単語の意味を自分なりに噛み砕こうと試みる。
物理的……今回ので言うと、コルテの場合の扉だとか、バアルの場合の服だとか、そういう物に対してってことだよな。それらの干渉を受けないってこと、だから。
「えっと……ニュアンス的に、一時的に透明人間になれちゃう、みたいな感じで合ってる? もしくは幽霊みたいにすり抜けられちゃうみたいな?」
「ええっ、そのような考え方で宜しいかと」
すぐさま返ってきたのは、喜びが滲んだ声。羽は俺が触れているままだからか、いつもみたいにぱたぱたとはためきはしなかった。けれども、触角の方は下ろされた艷やかな髪の上で、ふわふわと弾むように揺れている。
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