【完結】間違って地獄に落とされましたが、俺は幸せです。

白井のわ

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★【新婚旅行編】十一日目:我儘を重ねてしまっても

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 考えるまでもなく、結論が心に浮かぶ。

 彼がどう愛でてくれるつもりなのか。それ自体への興味は尽きない。が、その興味と今すぐにバアルを供給したい欲求とを天秤にかけてしまえば、一気に後者へと傾いていた。それはもう、その反動で興味の方が空の彼方へと吹っ飛んでいって星になるくらいには。

「……ごめんっ、バアル、やっぱり止めよう?」

 そうと決まれば、即行動。耳に触れようとしてくれていた彼の手を、俺は握り締めていた。

 心苦しさはある。だってバアルはどこまでもちゃんと俺のお願いを叶えようとしてくれていただけなのだから。そんな彼に俺は我儘を重ねようとしているのだから。

 叶えてもらえたら、ちゃんと埋め合わせをしよう。今度は俺がバアルのお願いを何でも叶えよう。そうすれば、バアルはきっと。

「俺から言い出したのに、ごめんね。お詫びに後で埋め合わせをするからさ……だから、いつもみたいに可愛がって欲し、ひぅ……っ」

 唐突に感じたのは、ずっと俺が期待していた淡い感覚。明らかに今までとは違う、あっち方面の心地よさが胸元からジンと広がっていく。咄嗟に俺は爪先でシーツを乱すように足をもじもじと動かしてしまっていた。

「あ……ぅ……」

 視線を下げれば整えられた指が、服越しに胸元で一番弱いところに触れていた。場所を間違えることなくピンポイントで。

 ……やっと、触れてもらえるんだ。

 モヤモヤしてしまっていた胸の内に温かな満足感が広がっていく。ホントに現金で単純だ。でも、今はそんなことはどうでもいい。

「バアル……」

 微笑む彼の高い鼻先へと鼻を寄せようとすれば、彼の方から擦り寄ってきてくれた。もう大好きな微笑みしか見えない。

 熱い吐息が口に触れて、柔らかな温もりが重ねてもらえる。触れ合えた唇が途端に熱をもったかのように熱くなっていってしまう。

 胸の内も熱い。嬉しくて、嬉しくて、くらくらしてしまいそう。こんなにも眩い感覚は、ほんの少しの間とはいえ我慢していたからこそだろう。

 ……新鮮だ。こんな感覚を味わえるなら、こういうのも偶にはいいかもしれない。ホントに偶にだったら。

「ん……ん、ふ……」

 柔い唇から下唇を食まれたかと思えば、硬い牙が甘く食んできた。噛まれたところがもっと熱くなっていく。何だかジンジンと疼いているような気もする。

 でも、彼から与えてもらえる感覚にイヤなものはない。今、与えてもらえているものだって……気持ちいいなって、そう感じている。素直には中々言えないけれども。

 角度を変えながら唇同士を擦り寄せられたり、また甘く噛まれたり。そうしてバアルから求められる度に、腰の辺りにもどかしい熱が募っていく。さらなる刺激を強請るように揺らしてしまう。

 バレバレなんだろう。くすりと笑う気配が触れ合っている部分から伝わってきた。

 浅ましい行動を見られてしまった。顔から湯気が出ていそうな気恥ずかしさが込み上げてきたが、すぐさま長く引き締まった腕が俺を抱き寄せてくれた。胸の内のもどかしさが、驚きと嬉しさに塗り替えられていく。

 バアルは、俺を腕の中へと閉じ込めたまま、器用に身軽に身体を起こした。

「ん、ぁ……バ、アル……」

 座らされたのは、いつもの定位置。彼の逞しい膝の上だ。

 分厚い胸板を背もたれ代わりにさせてもらい、身を預けるこの体勢は、最近の彼のお気に入り。後ろから抱き締める方が、俺を可愛がりやすいらしい。
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