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【新婚旅行編】十一日目:彼にとってはなんてことないスキンシップでも
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まだ半分以上も残っている、塩気のあるサンドイッチの山々を見つめてから、ちらっと甘い方を。次にご指名する予定だった、白いクリームと真っ赤なイチゴのコントラストがキレイなサンドイッチを見つめる。
けれども、食欲は。バアルにあーんしてもらっても、もう入りそうにない。
限界だったのは、俺だけじゃなかったらしい。
背を預けていたソファーが軽く軋む。幅の広い肩をちょこんと寄せてきたバアルもまた、苦しげに眉間にシワを寄せていた。
「私も、少々……食べ過ぎたやもしれません……」
大きな手が擦っている腹は、食前と変わらずに引き締まっているように見える。ちょっぴり膨らんでしまっている俺とは違ってぺったんこ。いつも通りなカッコよさだ。
そういえば、腹筋が滅茶苦茶鍛えられていたせいでお腹が大きくならなくて、妊娠に気が付かなかったっていう格闘家の方がいたって話を聞いたことがあるような。
バアルの腹筋も割れ方がシックスパックどころじゃあないからな。少し食べ過ぎちゃったくらいじゃあ、カッコよさに変わりは出ないのかも。
薄いけれども確かな筋肉の厚みがあるお腹ばかりを見つめてしまっていると、髪を整えるように頭をそっと撫でられた。
慌てて視線を合わせると緑の瞳に微笑みかけられる。良かった。気を悪くさせてしまった訳でも、変に思われちゃった訳でもないみたい。
頭を撫でてくれていた手が頬を撫で、更に下りてきて肩に添えられる。優しく抱き寄せられてもらえて、もっと近くなれた温もりにのんびりしていた心音が少し駆け足になってしまう。
まだまだ俺はサプライズな嬉しいスキンシップにドキドキしてしまう。でも、バアルにとってはこれくらいなんてことはないみたい。満足気に笑みを深めて、触角を左右に揺らしている。
まだ自由な手を、手のひらを上にして差し出したかと思えば、瞬きの間に蓋付きのガラスで出来たケースが現れていた。
「残りは此方の容器に入れておきましょう」
「う、うんっ、そうしよっか」
容器がひとりでに浮いてテーブルへと静かに着地する。蓋も勝手に開いたところで、吸い寄せられるように近くの皿の上のサンドイッチがふよふよと容器の中に収まっていく。キレイに整列していく。
一つの容器がすぐさまサンドイッチで満員になったところで、新たな容器が。まるで最初っからテーブルの上に有ったかのように蓋を開いて、また次々とサンドイッチを収めていく。
そうして、全てのサンドイッチが収められていき、残った飾り切りも別の容器へと収まった。最後の仕上げだろう。それらに向かってバアルがその細く長い指を伸ばす。
容器に触れるというよりは、その周囲の空気に触れたような。そんな曖昧な触れ方をしてからすぐに、全ての容器が淡い緑の光に包まれた。
光はテーブルを、真っ白な皿をほんの数秒緑色に染めてから、線香花火のように儚く消えていく。キレイだ。今の美味しさを数日間の間、そのまま保っておく為の術なんだけれども。
「これで宜しいでしょう」
俺に言ってくれているような、ただの独り言のような。どちらとも取れるようなひと言を呟く。その言葉が合図だったみたい。ガラスの容器達が、またひとりでに浮いたかと思えば次々と手品みたいに消えてしまった。
まるで、もともとガラスの容器も、余らせてしまったサンドイッチの山も無かったみたい。テーブルの上には大人数で囲んだかのような食事の後が、真っ白な大皿が数枚と飲みかけのティーカップだけが残されていた。
けれども、食欲は。バアルにあーんしてもらっても、もう入りそうにない。
限界だったのは、俺だけじゃなかったらしい。
背を預けていたソファーが軽く軋む。幅の広い肩をちょこんと寄せてきたバアルもまた、苦しげに眉間にシワを寄せていた。
「私も、少々……食べ過ぎたやもしれません……」
大きな手が擦っている腹は、食前と変わらずに引き締まっているように見える。ちょっぴり膨らんでしまっている俺とは違ってぺったんこ。いつも通りなカッコよさだ。
そういえば、腹筋が滅茶苦茶鍛えられていたせいでお腹が大きくならなくて、妊娠に気が付かなかったっていう格闘家の方がいたって話を聞いたことがあるような。
バアルの腹筋も割れ方がシックスパックどころじゃあないからな。少し食べ過ぎちゃったくらいじゃあ、カッコよさに変わりは出ないのかも。
薄いけれども確かな筋肉の厚みがあるお腹ばかりを見つめてしまっていると、髪を整えるように頭をそっと撫でられた。
慌てて視線を合わせると緑の瞳に微笑みかけられる。良かった。気を悪くさせてしまった訳でも、変に思われちゃった訳でもないみたい。
頭を撫でてくれていた手が頬を撫で、更に下りてきて肩に添えられる。優しく抱き寄せられてもらえて、もっと近くなれた温もりにのんびりしていた心音が少し駆け足になってしまう。
まだまだ俺はサプライズな嬉しいスキンシップにドキドキしてしまう。でも、バアルにとってはこれくらいなんてことはないみたい。満足気に笑みを深めて、触角を左右に揺らしている。
まだ自由な手を、手のひらを上にして差し出したかと思えば、瞬きの間に蓋付きのガラスで出来たケースが現れていた。
「残りは此方の容器に入れておきましょう」
「う、うんっ、そうしよっか」
容器がひとりでに浮いてテーブルへと静かに着地する。蓋も勝手に開いたところで、吸い寄せられるように近くの皿の上のサンドイッチがふよふよと容器の中に収まっていく。キレイに整列していく。
一つの容器がすぐさまサンドイッチで満員になったところで、新たな容器が。まるで最初っからテーブルの上に有ったかのように蓋を開いて、また次々とサンドイッチを収めていく。
そうして、全てのサンドイッチが収められていき、残った飾り切りも別の容器へと収まった。最後の仕上げだろう。それらに向かってバアルがその細く長い指を伸ばす。
容器に触れるというよりは、その周囲の空気に触れたような。そんな曖昧な触れ方をしてからすぐに、全ての容器が淡い緑の光に包まれた。
光はテーブルを、真っ白な皿をほんの数秒緑色に染めてから、線香花火のように儚く消えていく。キレイだ。今の美味しさを数日間の間、そのまま保っておく為の術なんだけれども。
「これで宜しいでしょう」
俺に言ってくれているような、ただの独り言のような。どちらとも取れるようなひと言を呟く。その言葉が合図だったみたい。ガラスの容器達が、またひとりでに浮いたかと思えば次々と手品みたいに消えてしまった。
まるで、もともとガラスの容器も、余らせてしまったサンドイッチの山も無かったみたい。テーブルの上には大人数で囲んだかのような食事の後が、真っ白な大皿が数枚と飲みかけのティーカップだけが残されていた。
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