【完結】間違って地獄に落とされましたが、俺は幸せです。

白井のわ

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【新婚旅行編】十一日目:アオイに頼られたい、褒められたいが為に

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 やっぱり、バアルは頼りになるね。陽だまりの様に温かな笑顔を添えて、心の底から嬉しそうに言われてしまえば、やはり、さっきの自身の判断は正しかったのだとそう思い込むことが出来た。

 アオイに頼られたい。褒められたいが為に、格好をつけてしまっても良かったのだと。

 そう自分に言い聞かせながら、カウンターの前で目標を見つめている小さな背の後ろへと歩み寄る。

「……失礼します」

「うんっ、宜しくね」

 後ろから抱き締めるようにしながら、銀の銃を持つ小さな手に手を添えた。

 習うより慣れろ。そういう先人の言葉もあるくらいだ。アオイが仰った通り感覚だけでも伝えることが出来たならば、アオイもお目当ての泡に当てることが出来るやもしれない。いや。

 当てさせる。

「アオイ……先ずは狙う泡の動きを観察して見て下さい。ランダムなように見えて、法則性が有るように存じます」

「……分かった」

 恐らくだが周期がある。その動き方は勿論、周期の長さにもそれぞれ違いはあるとは思うが。そして、アオイが狙う泡は。

「あっ、バアル! 俺、分かったかも!」

「では、お答え下さい。今、貴方様が狙う泡は左へと向かっておりますが、お次はどちらへ向かわれると思いますか?」

「うん……俺の考えが正しければ……右下、かな?」

「ええ、正解です」

 私が答えるのを見計らっていたかのように泡が右下へと下がり始めていく。そう、此方の泡はそのような周期で動いているのだ。そして、その動きさえ分かってしまえば。

「では、アオイ。泡が動く先を狙ってみましょう」

「うん」

 ここからは私の感覚だけが頼りになってしまう。それでも。

「アオイ、三つ数えます。私が数え終えたタイミングで引き金を引いて下さい」

 アオイにもあの喜びを、高揚感を味わって欲しい。同じ楽しさを共有したい。してもらいたい。

 予測地点へと銃口を合わせ、口を開く。何故か妙に喉が渇いていた。

「3……2……1……」

 ぽんっ!

 私の掛け声が、小気味よい音とぴったり重なる。まるで泡の方が引き寄せているかのよう。放たれた光の弾は、狙いの泡のど真ん中に吸い込まれるように当たって、光の輪を咲かせた。

 耐久性を表している数値が、一気に三つ減る。どうやら弱点に命中したらしい。さっき聞いた時よりも激しく豪華な成功音が高らかに鳴り響いた。

「よしっ……アオイ!」

「やった! やったよ、バアル!」

 思わず、その華奢な身体を抱き締めていた。

 私の腕の中でアオイが弾むような声を上げている。コルテが緑色に瞬きながら、私達の周りを踊るようにくるり、くるりと飛んだ。

「ええっ、素晴らしい、お見事です! 弱点にも当たりましたよ!」

「あっ、それで! 何かさっきと違う音がしたなって思ってたけど」

「やはりアオイは飲み込みが早いですね。カッコよかったですよ」

「へへ、ありがとう。バアルのお陰だよ」

 微笑むアオイが、あっ、と思い出したかのように声を上げる。私の腕の中からいとも容易くするりと抜け出していく。

「まだ感覚を覚えてる内に、今度は一人でやってみるっ! バアル、上手く出来たら褒めてくれる?」

「ええっ」

 名残惜しかった気持ちは瞬く間に消えていき、新たなる楽しみに心が満たされていく。

 アオイは見事に当ててみせた。

 私が銃口を合わせなくとも、私がタイミングを測らなくとも。少し、ほんの少しだけ不思議な寂しさのようなものを覚えたが、それもまた感じてすぐに消えていた。

「バアルっ」

 褒めて、褒めて、と飛びつくように抱きついてきた彼の笑顔を見てしまえば。
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