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廊下の真ん中で…
「アリス!アリス!」
誰かが、私を呼んでいる。子供向け番組のキャラクターのような特徴的な声。ロールの声だ。
「…………ん。」
アリスは目を覚まして、ゆっくりと身体を起こした。
寝ぼけたまま辺りを見回す。見慣れた勉強机、お気に入りのぬいぐるみ。自分の部屋のベッドの上だった。
ぼんやりとしたまま座っていると、少しずつ意識がはっきりとしてくる。
「……そう!私、黒瀬君に負けて……」
アリスは自分でそう呟いて、途中で言葉を止めた。
黒瀬にされた卑猥な行為が頭の中に蘇ってくる。全身をくまなく触られて、一番大切なところは触られるどころか散々舐められた。思い出すと、あまりにも恥ずかしくて耳まで熱が上ってくる。
(私、途中で意識を失ったんだ。あれからどうなったの?)
答えを求めるようにアリスはロールに視線を投げる。
「アリスが体育館で倒れてたから、家までロールが連れて帰ってきたの!転移魔法を使わないといけなくて大変だったんだから!」
「そっか……」
ロールの言葉にアリスは曖昧に返事をした。そんなアリスの様子を見て、ロールは声を落とした。
「ロールも眠らされてたから何があったか見たわけじゃないけど、起きたらアリスの魔力はほぼ空っぽになってたし、追ってた上級淫魔はいなかったし……その、そういうことよね?」
アリスは黙ったまま頷く。言葉にするのはあまりにも恥ずかしかった。
「……戦おうとはしたんだよ。でも、私一人じゃ、悔しいけど全然敵わなかった。」
クラスメイトだからといって手加減をしたわけではない。アリスには魔法少女として淫魔を倒すという使命がある。叩き込んだ攻撃魔法だって、持てる限りの魔力を注ぎ込んで放った。
「それなら他の魔法少女と協力して倒すの! アリスの魔力が回復したら、倒しに行けるように、ロールが他の魔法少女に協力をお願いしてあげるから!」
「……うん。」
気は進まない。負けたらまたあんな目に遭うと思うと怖くて仕方がなかった。それでも誰かが黒瀬を倒さなければいけない。そうでなければ、他の誰かが、アリスと同じことをされるのだから。
「……絶対に倒さないと。」
アリスは変身道具の赤い懐中時計をぎゅっと握りしめた。
◇◆◇◆
――翌朝
アリスはいつものように学校に向かった。
学校を休もうかとも思ったが、魔力が回復しきっていないだけで、熱があったり風邪をひいていたりするわけではない。学校を休むための、家族に説明できる言い訳は思い浮かばなかった。
友達と共に教室に入ると、そこに彼はいた。朝の日差しがよく似合う爽やかな美男子。穏やかな表情で他の男子生徒と談笑をしており、女子達が熱を帯びた視線をチラチラと投げている。
「おはよう、有栖川さん。」
自分の席に行くためにアリスが黒瀬の横を通ると、柔らかな声で挨拶された。ただ挨拶されただけなのに、アリスは心臓を掴まれたような気分になった。
「…おっ、おはよう……」
目も合わせず逃げるようにその場を立ち去った。背中に刺すような視線を感じたがとにかく無視を決め込んだ。
授業が始まってからも、アリスは黒瀬と目を合わさないように、近くにも行かないようにして、黒瀬を避け続けた。
終業のベルが鳴ると、すぐに教室を飛び出して部活動へ向かう。まさか追ってくることはないと思うが、なんとなく早足になる。
階段を駆け上がって、音楽室へ続く廊下に差し掛かったところで不意に後ろから誰かに肩を掴まれた。
「……有栖川さん。」
声を聞いて思わず叫びそうになった。振り返らなくてもわかる。黒瀬だ。
「……傷つくなぁ、昨日はあんなに可愛い姿を見せてくれたのに、こんなに僕を避けるなんて。」
肩に添えられた手が、肘を伝って手首までゆっくり降りてくる。それだけの動きなのに官能を誘うような動きで、アリスの背筋にぞくりとした感覚が走る。
振り返ってみると、優しげな黒い瞳がこちらを真っ直ぐに見ていた。その瞳に微かに淫魔特有の金の光が混じっている。
「…私、急いでるから、これで。」
手首を引こうとしたがびくとも動かない。まるで鉄の枷を掛けられているかのようだ。
「……逃すと思う?一日中散々避けられて、やっと捕まえたのに。」
黒瀬はそう言うと掴んだアリスの手首をグッと自分の方へ引いた。
「わっ!」
急に腕を強く引かれて後ろに倒れそうになる。思わず目を閉じるが、頭を打つことはない。代わりにふわりと受け止められる感覚と石鹸のようないい香りを感じた。
後ろから黒瀬に抱き締められていた。
「黒瀬く……やっ!」
――耳、舐めてる!
黒瀬の舌がアリスの耳を這っていた。熱い舌が耳たぶをなぞる感覚に耐えるようにアリスはぎゅっと目をつぶった。黒瀬はそのままアリスの耳の中を舐める。ちゅく、ちゅくと水音が耳の中に響いて、思考ごと犯されていくようだった。
「………やめて。こんなところで。……誰かに見られたら……」
「安心して、有栖川さん。結界を張ったから誰も僕たちの姿も声も認識できない。だから声、抑えなくていいよ。」
耳元で話されて、息が耳を掠める。
確かに周りを見てみると、廊下を通る他の生徒は、アリス達のことなど見えていない様子で歩いている。
(それはありがたいけど、全然安心じゃない。このままじゃ、また昨日みたいに…)
「黒瀬くん、やめて!それ嫌なの!」
逃げ出そうと思ったが、両腕を腰に回された黒瀬の腕でがっしりと固定されていて、動かせない。足で蹴ろうとした瞬間、もう片方の黒瀬の手がアリスの太ももをさすった。
「……ひっ!」
暴れようとするアリスを宥めるように、スカートの上から黒瀬の細長い指が太ももを撫でる。
直接触られている訳ではないのに、布越しでも、敏感なそこは快感を拾ってしまう。くすぐったいような感覚に喉の奥が震えて声が漏れそうになる。
「……っ、くぅ……ぁっ……」
必死に唇を噛んで声を押し殺した。
その間も耳の穴の中を黒瀬の舌が出たり入ったりしている。耳に響く音が淫靡で、やってはいけないことをしていると、アリスに教えているようだった。
「その顔、唆るね。もしかして誘ってる?」
黒瀬の低い声は、お腹の下あたりまで響いてくるようだった。アリスは真っ赤になったまま、必死で首を振る。
「なん、で、こんなこと……昨日あれだけ魔力を奪ったんだから、必要ないでしょ……」
「うん。確かに食事としては必要はないけど、僕が有栖川さんを可愛がりたいだけ。僕はね、有栖川さんの『初めて』が欲しいんだ。無理矢理奪うんじゃない。君が自ら僕のものを求める。……その姿が見たい。」
耳元に声が落ちてくる。まるで愛の告白のような囁き声。しかしその言葉の内容は淫魔らしい、狂気を孕んだものだった。
アリスは思わず肩を震わせる。
「……どうしてそんなこと……?」
「だって、それが一番美味しいから。」
どこか恍惚とした響きがある甘い声音。逆にそれがアリスの恐怖を掻き立てる。
「相手の同意を得て、直接繋がりながら精気を奪う瞬間。その時、流れ込んでくる精気は比類のない甘さを帯びる。僕はね、あの味が狂おしいほど好きなんだ。」
まるで最愛の恋人の話をするように、黒瀬は話す。
「……そんなの、あり得ない。私が自分から求めるなんて。」
黒瀬は含み笑いをこぼす。
「うん。今はそうだろうね。だから少しずつ、身体に教えていく。何度も何度も快楽を刻み込んで素直にさせて……そしてみんな最後には挿れてって叫ぶんだ。その瞬間が甘美でたまらない。」
(……この人、本気なんだ。)
アリスはごくりと喉を鳴らした。同時にこの淫魔ならそれを可能にしてしまう、という予感もした。
「……あなたが何を考えていようと関係ない。そうなる前に、私があなたを倒すから。」
首を後ろに回して黒瀬を睨みつける。黒瀬は楽しげに目を細めた。
「いいね。その目、屈服させたくなる。」
黒瀬はそう言うと、アリスのスカートの中に手を潜り込ませてきた。その手はまっすぐに秘所に伸びる。
「そこっ!また、ダメだってば!」
「ふふっ、君は本当に濡れやすいね。」
下着越しに黒瀬がアリスの雌芯に指をぴったりとくっつけてくる。それから、アリスの敏感さを愛でるように、ゆっくりゆっくりと撫でてきた。
「……あぅっ……」
腰に力が入らなくなるが、黒瀬の腕がしっかりとアリスの腰を抱き込んでいて、落下の恐怖すら感じない。
「ねぇ……学校の廊下の真ん中でこんなことして感じてるなんて、有栖川さんって意外とエッチだよね。」
吐息混じりに囁かれて、アリスの顔にカッと熱が昇ってくる。
「……っ!誰のせいだと、思って……」
「ふふっ、うん、うん。僕のせいだよね。敵の淫魔に触られて興奮してるんだもんね。」
「……っ!……いじ、わ……やっ!」
下着をずらされて直接摘まれた。器用に二本の指でアリスの花芯を固定して下から上に擦り上げる。
「それっ、だ、めっ、くぅ……ん!」
「有栖川さんって本当に僕の支配欲をそそってくるんだよね。……ねぇ、キスしていい?」
「……き、す……えっ?」
唇に柔らかいものが重なった。黒瀬の整った顔で視界が埋め尽くされる。
「………!?」
(私、黒瀬くんにキスされてる!?初めて、だったのに。)
角度を変えて何度も唇を奪われる。呼吸の仕方も忘れたみたいに息ができなくて、だんだん苦しくなってくる。
「息止めないで。鼻で息して。……そう、上手だ。」
そんなアリスの様子に気がついたのか黒瀬が優しく言ってきた。呼気が混ざるほどの距離で話されて、また心臓が跳ねる。
アリスはされるがままに再び黒瀬と唇を重ねる。すると、何か熱いものがアリスの口内に侵入してきた。
ヌルりとした感触のそれは歯列をなぞり、アリスの舌に絡んでくる。舌の上を撫でられると、背骨にゾクゾクとした快感が走った。
それが黒瀬の舌であると少し遅れて気がついた。
(嘘……?こんなところでも感じるの?)
直接脳内に快感が送られるみたいで、頭がぼうっとしてくる。
「ふふっ、初めてだった?こっちの口の初めても、早く僕にちょうだいね?」
そう言って黒瀬はまたアリスに口づけをする。それと同時にこっちの口、と黒瀬が呼んだ下の入り口を軽く撫で、柔らかい蕾をくにゅくにゅと潰してくる。
上と下、両方から与えられる甘い刺激に腰がビクビクと動いてしまう。
「……んン!」
また声が出そうになるが、黒瀬に口を塞がれているから声を出すことすらできない。
(やばい、また、あれが……きちゃう。)
キスで口内を侵され、同時にアリスの一番弱いところを責められて、どんどんアリスの身体の熱は高まっていった。期待するようにトロトロと熱い液体がとめどなく溢れてくる。
アリスをさらに追い詰めるように黒瀬がぬるぬるになったアリスの突起を一層強く撫でる。
(また、気持ちよくて、頭が真っ白になって……)
そう思ったところで黒瀬は手を離した。
「…………あっ!」
まるでやめないで、とでもいうような切なげな声が自分の口から出たことにアリスは驚いた。思わず口を手で覆う。
それに気がついたのか黒瀬はふっと笑う。
「今日はこのくらいで解放してあげる。君もまだ魔力が戻ってないみたいだし。……またね、有栖川さん。」
黒瀬の足音が遠ざかって、廊下のざわめきが戻ってきた。
アリスは呆然とその場に立ち尽くす。アリスの身体には疼くような熱が残った。
(私、今黒瀬君にもっと触って欲しいって思った……?)
アリスは自分の思考を否定するように首を振った。
(……部活動、行かなきゃ。)
誤魔化すように走り出しても、身体の疼きは消えなかった。
誰かが、私を呼んでいる。子供向け番組のキャラクターのような特徴的な声。ロールの声だ。
「…………ん。」
アリスは目を覚まして、ゆっくりと身体を起こした。
寝ぼけたまま辺りを見回す。見慣れた勉強机、お気に入りのぬいぐるみ。自分の部屋のベッドの上だった。
ぼんやりとしたまま座っていると、少しずつ意識がはっきりとしてくる。
「……そう!私、黒瀬君に負けて……」
アリスは自分でそう呟いて、途中で言葉を止めた。
黒瀬にされた卑猥な行為が頭の中に蘇ってくる。全身をくまなく触られて、一番大切なところは触られるどころか散々舐められた。思い出すと、あまりにも恥ずかしくて耳まで熱が上ってくる。
(私、途中で意識を失ったんだ。あれからどうなったの?)
答えを求めるようにアリスはロールに視線を投げる。
「アリスが体育館で倒れてたから、家までロールが連れて帰ってきたの!転移魔法を使わないといけなくて大変だったんだから!」
「そっか……」
ロールの言葉にアリスは曖昧に返事をした。そんなアリスの様子を見て、ロールは声を落とした。
「ロールも眠らされてたから何があったか見たわけじゃないけど、起きたらアリスの魔力はほぼ空っぽになってたし、追ってた上級淫魔はいなかったし……その、そういうことよね?」
アリスは黙ったまま頷く。言葉にするのはあまりにも恥ずかしかった。
「……戦おうとはしたんだよ。でも、私一人じゃ、悔しいけど全然敵わなかった。」
クラスメイトだからといって手加減をしたわけではない。アリスには魔法少女として淫魔を倒すという使命がある。叩き込んだ攻撃魔法だって、持てる限りの魔力を注ぎ込んで放った。
「それなら他の魔法少女と協力して倒すの! アリスの魔力が回復したら、倒しに行けるように、ロールが他の魔法少女に協力をお願いしてあげるから!」
「……うん。」
気は進まない。負けたらまたあんな目に遭うと思うと怖くて仕方がなかった。それでも誰かが黒瀬を倒さなければいけない。そうでなければ、他の誰かが、アリスと同じことをされるのだから。
「……絶対に倒さないと。」
アリスは変身道具の赤い懐中時計をぎゅっと握りしめた。
◇◆◇◆
――翌朝
アリスはいつものように学校に向かった。
学校を休もうかとも思ったが、魔力が回復しきっていないだけで、熱があったり風邪をひいていたりするわけではない。学校を休むための、家族に説明できる言い訳は思い浮かばなかった。
友達と共に教室に入ると、そこに彼はいた。朝の日差しがよく似合う爽やかな美男子。穏やかな表情で他の男子生徒と談笑をしており、女子達が熱を帯びた視線をチラチラと投げている。
「おはよう、有栖川さん。」
自分の席に行くためにアリスが黒瀬の横を通ると、柔らかな声で挨拶された。ただ挨拶されただけなのに、アリスは心臓を掴まれたような気分になった。
「…おっ、おはよう……」
目も合わせず逃げるようにその場を立ち去った。背中に刺すような視線を感じたがとにかく無視を決め込んだ。
授業が始まってからも、アリスは黒瀬と目を合わさないように、近くにも行かないようにして、黒瀬を避け続けた。
終業のベルが鳴ると、すぐに教室を飛び出して部活動へ向かう。まさか追ってくることはないと思うが、なんとなく早足になる。
階段を駆け上がって、音楽室へ続く廊下に差し掛かったところで不意に後ろから誰かに肩を掴まれた。
「……有栖川さん。」
声を聞いて思わず叫びそうになった。振り返らなくてもわかる。黒瀬だ。
「……傷つくなぁ、昨日はあんなに可愛い姿を見せてくれたのに、こんなに僕を避けるなんて。」
肩に添えられた手が、肘を伝って手首までゆっくり降りてくる。それだけの動きなのに官能を誘うような動きで、アリスの背筋にぞくりとした感覚が走る。
振り返ってみると、優しげな黒い瞳がこちらを真っ直ぐに見ていた。その瞳に微かに淫魔特有の金の光が混じっている。
「…私、急いでるから、これで。」
手首を引こうとしたがびくとも動かない。まるで鉄の枷を掛けられているかのようだ。
「……逃すと思う?一日中散々避けられて、やっと捕まえたのに。」
黒瀬はそう言うと掴んだアリスの手首をグッと自分の方へ引いた。
「わっ!」
急に腕を強く引かれて後ろに倒れそうになる。思わず目を閉じるが、頭を打つことはない。代わりにふわりと受け止められる感覚と石鹸のようないい香りを感じた。
後ろから黒瀬に抱き締められていた。
「黒瀬く……やっ!」
――耳、舐めてる!
黒瀬の舌がアリスの耳を這っていた。熱い舌が耳たぶをなぞる感覚に耐えるようにアリスはぎゅっと目をつぶった。黒瀬はそのままアリスの耳の中を舐める。ちゅく、ちゅくと水音が耳の中に響いて、思考ごと犯されていくようだった。
「………やめて。こんなところで。……誰かに見られたら……」
「安心して、有栖川さん。結界を張ったから誰も僕たちの姿も声も認識できない。だから声、抑えなくていいよ。」
耳元で話されて、息が耳を掠める。
確かに周りを見てみると、廊下を通る他の生徒は、アリス達のことなど見えていない様子で歩いている。
(それはありがたいけど、全然安心じゃない。このままじゃ、また昨日みたいに…)
「黒瀬くん、やめて!それ嫌なの!」
逃げ出そうと思ったが、両腕を腰に回された黒瀬の腕でがっしりと固定されていて、動かせない。足で蹴ろうとした瞬間、もう片方の黒瀬の手がアリスの太ももをさすった。
「……ひっ!」
暴れようとするアリスを宥めるように、スカートの上から黒瀬の細長い指が太ももを撫でる。
直接触られている訳ではないのに、布越しでも、敏感なそこは快感を拾ってしまう。くすぐったいような感覚に喉の奥が震えて声が漏れそうになる。
「……っ、くぅ……ぁっ……」
必死に唇を噛んで声を押し殺した。
その間も耳の穴の中を黒瀬の舌が出たり入ったりしている。耳に響く音が淫靡で、やってはいけないことをしていると、アリスに教えているようだった。
「その顔、唆るね。もしかして誘ってる?」
黒瀬の低い声は、お腹の下あたりまで響いてくるようだった。アリスは真っ赤になったまま、必死で首を振る。
「なん、で、こんなこと……昨日あれだけ魔力を奪ったんだから、必要ないでしょ……」
「うん。確かに食事としては必要はないけど、僕が有栖川さんを可愛がりたいだけ。僕はね、有栖川さんの『初めて』が欲しいんだ。無理矢理奪うんじゃない。君が自ら僕のものを求める。……その姿が見たい。」
耳元に声が落ちてくる。まるで愛の告白のような囁き声。しかしその言葉の内容は淫魔らしい、狂気を孕んだものだった。
アリスは思わず肩を震わせる。
「……どうしてそんなこと……?」
「だって、それが一番美味しいから。」
どこか恍惚とした響きがある甘い声音。逆にそれがアリスの恐怖を掻き立てる。
「相手の同意を得て、直接繋がりながら精気を奪う瞬間。その時、流れ込んでくる精気は比類のない甘さを帯びる。僕はね、あの味が狂おしいほど好きなんだ。」
まるで最愛の恋人の話をするように、黒瀬は話す。
「……そんなの、あり得ない。私が自分から求めるなんて。」
黒瀬は含み笑いをこぼす。
「うん。今はそうだろうね。だから少しずつ、身体に教えていく。何度も何度も快楽を刻み込んで素直にさせて……そしてみんな最後には挿れてって叫ぶんだ。その瞬間が甘美でたまらない。」
(……この人、本気なんだ。)
アリスはごくりと喉を鳴らした。同時にこの淫魔ならそれを可能にしてしまう、という予感もした。
「……あなたが何を考えていようと関係ない。そうなる前に、私があなたを倒すから。」
首を後ろに回して黒瀬を睨みつける。黒瀬は楽しげに目を細めた。
「いいね。その目、屈服させたくなる。」
黒瀬はそう言うと、アリスのスカートの中に手を潜り込ませてきた。その手はまっすぐに秘所に伸びる。
「そこっ!また、ダメだってば!」
「ふふっ、君は本当に濡れやすいね。」
下着越しに黒瀬がアリスの雌芯に指をぴったりとくっつけてくる。それから、アリスの敏感さを愛でるように、ゆっくりゆっくりと撫でてきた。
「……あぅっ……」
腰に力が入らなくなるが、黒瀬の腕がしっかりとアリスの腰を抱き込んでいて、落下の恐怖すら感じない。
「ねぇ……学校の廊下の真ん中でこんなことして感じてるなんて、有栖川さんって意外とエッチだよね。」
吐息混じりに囁かれて、アリスの顔にカッと熱が昇ってくる。
「……っ!誰のせいだと、思って……」
「ふふっ、うん、うん。僕のせいだよね。敵の淫魔に触られて興奮してるんだもんね。」
「……っ!……いじ、わ……やっ!」
下着をずらされて直接摘まれた。器用に二本の指でアリスの花芯を固定して下から上に擦り上げる。
「それっ、だ、めっ、くぅ……ん!」
「有栖川さんって本当に僕の支配欲をそそってくるんだよね。……ねぇ、キスしていい?」
「……き、す……えっ?」
唇に柔らかいものが重なった。黒瀬の整った顔で視界が埋め尽くされる。
「………!?」
(私、黒瀬くんにキスされてる!?初めて、だったのに。)
角度を変えて何度も唇を奪われる。呼吸の仕方も忘れたみたいに息ができなくて、だんだん苦しくなってくる。
「息止めないで。鼻で息して。……そう、上手だ。」
そんなアリスの様子に気がついたのか黒瀬が優しく言ってきた。呼気が混ざるほどの距離で話されて、また心臓が跳ねる。
アリスはされるがままに再び黒瀬と唇を重ねる。すると、何か熱いものがアリスの口内に侵入してきた。
ヌルりとした感触のそれは歯列をなぞり、アリスの舌に絡んでくる。舌の上を撫でられると、背骨にゾクゾクとした快感が走った。
それが黒瀬の舌であると少し遅れて気がついた。
(嘘……?こんなところでも感じるの?)
直接脳内に快感が送られるみたいで、頭がぼうっとしてくる。
「ふふっ、初めてだった?こっちの口の初めても、早く僕にちょうだいね?」
そう言って黒瀬はまたアリスに口づけをする。それと同時にこっちの口、と黒瀬が呼んだ下の入り口を軽く撫で、柔らかい蕾をくにゅくにゅと潰してくる。
上と下、両方から与えられる甘い刺激に腰がビクビクと動いてしまう。
「……んン!」
また声が出そうになるが、黒瀬に口を塞がれているから声を出すことすらできない。
(やばい、また、あれが……きちゃう。)
キスで口内を侵され、同時にアリスの一番弱いところを責められて、どんどんアリスの身体の熱は高まっていった。期待するようにトロトロと熱い液体がとめどなく溢れてくる。
アリスをさらに追い詰めるように黒瀬がぬるぬるになったアリスの突起を一層強く撫でる。
(また、気持ちよくて、頭が真っ白になって……)
そう思ったところで黒瀬は手を離した。
「…………あっ!」
まるでやめないで、とでもいうような切なげな声が自分の口から出たことにアリスは驚いた。思わず口を手で覆う。
それに気がついたのか黒瀬はふっと笑う。
「今日はこのくらいで解放してあげる。君もまだ魔力が戻ってないみたいだし。……またね、有栖川さん。」
黒瀬の足音が遠ざかって、廊下のざわめきが戻ってきた。
アリスは呆然とその場に立ち尽くす。アリスの身体には疼くような熱が残った。
(私、今黒瀬君にもっと触って欲しいって思った……?)
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