憎い男に囚われ抵抗できない私はただ甘く啼かされる

秋風ゆらら

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憎い男に囚われ抵抗できない私はただ甘く啼かされる

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 どれくらい眠っていただろう。私は重たい瞼を開けた。


「ようやくお目覚めですか。」


 男の声を聞いた瞬間、冷や水をかけられたように意識が鮮明になる。顔を上げると憎い男と目が合った。シミひとつない白い肌に鋭い光を宿した紫の瞳。相変わらず殴りつけたくなるほど整った顔だ。

 そして、男の顔を見て思い出した。私は私の恋人を助けるために囮として振る舞い、敵であるこの男に捕らわれたことを。
 恐らく敵の手に堕ちた後、この部屋に連れてこられたのだろう。彼は無事逃げおおせたのだろうか。今気になるのはそのことばかりだ。


「残念ですが、彼は捕らえました。」


 男は私の考えていることを見透かしたように言った。


「無駄な抵抗はやめてください。彼の命が大切なら。」


 大方、彼を人質にして私に言うことを聞かせようという魂胆だろう。


「……抵抗はやめろって、拷問でもする気?」


 尋ねると男はまさか、というように大げさに肩をすくめてみせる。


「そんなことはしませんよ。私には貴女の力が必要です。貴女の身体を傷つけるようなことはしません。」


「だったら、何をするつもりなの?」


 男は悪戯っぽく笑った。世の中の大半の女性を蕩けさせるであろうこの笑顔も、私にとっては不快にしか感じられない。


「何かされる、という前提は動かないようですね。
…まぁ、貴女と貴女の恋人には随分と手を焼かされましたからね。きちんと罰を受けてもらわないと、とは思っていますが。」


 そう言って男はゆっくりと私の方に歩み寄ってきた。
 本当に、何をするつもりなのだろう。逃亡を試みようかとも思ったが、出口は男の後ろ側に一つだけ。彼の無事が確認できていない以上、今逃げ出すのはリスクが高い。
 私は警戒を込めた目で男の動向を見ていた。


 男は私の前まで来ると立ち止まった。ベットの上に座っている状態なので男に見下ろされるような格好になる。


「貴方の身体に傷を付けずに苦しめる方法もあるんですよ。」


 男はくすりと笑うと、私の首元に手を伸ばしてするりと撫でた。


「……っ!」


 瞬間私の腕が泡立つ。
 まさか、と思った。経験はないが知識としては知っている。いつか彼とであればしてもいい。そう思っていた行為を、今この男は私にしようとしている。
 反射的にやめさせようと手が動いたが、彼の顔が浮かんで動けなくなった。もしも本当に彼が捕らわれていたとしたら?そんな不安が胸をよぎって抵抗ができない。


 男はまるで飼い猫でもあやすように私の首元を弄ぶ。顎の下をなぞり耳元まで上がった指がまた首を伝って鎖骨を撫でる。
 くすぐったいような焦らされるような感覚に私は唇を結んで耐えていた。


「貴女の手足は縛っていません。
抵抗しようと思えばできるはずですが……
やはり彼のことが大切なのですね。」


「っ…当たり前、でしょ……」


 自分でも驚くほど情けない声しか出せない。人にそういう目的を持って触られたのは初めてで、平静を装うのに必死だった。


「わかりました。それでは私の好きにさせてもらうので、貴女はせいぜいいい子にしていてください。」


 首を撫でていた手が顎をなぞりそのまま口元まで上がってくる。


「キスをしたことはあるんですか?」


 男は指で私の唇を押しながらたずねてくる。


「あるわ。彼と……」


「まぁどうでもでもいいことですが。どちらにしろ……頂きますね。」


 男は慣れた手つきで顎を持ち上げると、そのまま唇を重ねてきた。


 何度も角度を変え唇を奪われ、うまく呼吸をすることができない。空気を求めて口を開くとするりと男の舌が侵入してきた。男の舌は私の官能を誘うように私の舌を吸い、舐める。
 彼としたものとはまるで違う。ただただ嬲られるようなキスだった。


「よく我慢できましたね。」


 男は唇を離すと、いいこいいこ、というように呼吸を荒げている私の頭を撫でてきた。物理的な抵抗はできないから思い切り睨みつける。すると男は楽しげにふっと笑った。


「ちょっと!何するの?!」


 男は私の服と下着の間に手を入れてきた。そのまま下着の上から胸を触られる。


「見かけ通りの細やかさですね。可愛らしい。」


 男は形を確かめるように私の胸を手で包んで、丸くなぞる。私の意思とは関係なく、私の胸は男の大きな手の中で自在に形を変えられていく。時折男の指が頂きを掠めると痺れるような快感が走った。
 しばらく周りを撫でられた後、二つの頂きを爪の先でカリカリと擦られた。


「おかしいですね。固くなっているようですが。
まさか、感じているんですか?」


 男は楽しげに尋ねてくる。


「…馬鹿なこと…言わないで。
そんなわけっ…ないでしょ……」


「それは良かった。このくらいで根を上げられては、つまらないですからね。」


 口ではそう言ったし、決して認めたくはないのだが、先ほどからどうにも身体がおかしい。男に触れられた場所から発せられた熱が一点に集められているように、お腹の下の部分が熱くてたまらない。なぜだが声が漏れそうになるし、頬もきっと真っ赤だ。


 男の手が胸から離れたことに安堵したのも束の間。男がベッドの上に上がってきた。
 男は私の腰に手を回して私の身体を自分の方に引き寄せた。自然、男に後ろから抱かれるような格好になる。

 そのまま脇腹を前後に撫でられる。細長い10本の指で、動いているかいないかわからないほどのゆっくりしたスピードで。蛇に這われているようなぞわぞわとする感覚に襲われた。


「っく…んぅっ…」


 ずっと我慢していた声が抑えられなくなってきた。
 私とこの男。二人しかいない部屋だからやけに私の声が目立って聞こえる。


「脇腹が弱い女性は多いですが貴方も弱いみたいですね。」


 男が話すと息がかかって耳がくすぐったい。それがまた男との距離の近さを感じさせて屈辱的な気持ちを煽る。
 くすくすと笑いながらも男は決して手を休めない。無理に与えられる快楽から逃れるように私は身体を捻る。それでもこの男は私の弱いところを的確に見つけ出してはしつこく撫でた。


「脈が早くなっていますし、呼吸も苦しそうですよ。」


「ふっ、うっ、気のせいよ。」


 声が我慢できなくなってきて、両手で口を押さえて声が出ないようにした。それを見た男は、片方の手で私の腕を脇の裏から手の甲までするすると撫でる。
 本当に性格の悪い男だ。私の嫌がることをしてくる。
 力が抜けて腕が落ちそうになったが必死にこらえた。この手を離せばますますこの情けない声を男に聞かせてしまうことになる。


 男の腕が離れたと思うと、今度は太ももを捕まれてぐっと引かれた。足が曲がり持ち上げられる。


「あっ、やだっ!」


「この足で散々私から逃げ回ってくれましたね。」


 自分の体勢を気にする間も無く、今度は後ろから脚に手を伸ばしてきて足の裏に触れてきた。


「こうして見てみれば、小さな足ですね。この足で必死に逃げ回っていたわけですか。
…無駄だというのに。」


 くすぐるように足の裏に触れるとそのままふくらはぎ、太ももを通って足の付け根までつぅっと撫でられる。太腿の付け根まで指一本で何度も何度もルートを変えながら。


「ふふっ、今はこうして好きに触れることができる。」


 気まぐれに折り返した指が内腿をゆるく撫でると身体が震えた。


「ううっ、やっ、あぅ」


 指が敏感なところを通るたび、声が漏れた。
 男の指に熱が運ばれていくようにまたお腹の下の辺りに熱が集められていく。


「あっ!」


 私は思わず声を上げた。
 後ろから伸ばされた手が私の秘部に触れたからだ。 

 また撫でられると思って身を硬くしたがそのまま動かない。軽く押さえつけたままだ。


「まだ何もしていません。押さえているだけですよ。」


 男の言った通りだった。男の手は私の秘部をすっぽりと包んだまま動かない。
 ありえない場所に男の体温を感じる。羞恥で顔が赤くなった。


「服の上からでも湿っているのが分かりますよ。あなたのここ。」


 右耳に男の息がかかる。低い声で耳元で囁かれるとぞくぞくする。
 反射的に左に逃げると今度は左の耳に囁かれた。


「意外とその気になっているのではありませんか。」


「うるさい!ふざけたこと、言わないで……」


 左にも右にも行くことができなくて私はただ俯いて目を閉じていた。


「貴女の一番弱いところ。たくさん可愛がってあげましょうね。
まずは下着の上から何度も何度も割れ目をなぞりましょう。ゆっくりゆっくり。貴女が一番嫌がるやり方で。下着の上からでも貴方の蜜でできた染みが見えるようになるまでね。
それから下着を取って、直接虐めてあげましょう。
想像して見てください。貴女は感じたくないと思いながらも、甘い声を抑えられない。」


 まるで期待するように体の内側から蜜が溢れてくる。こんなに自分が淫らだったなんて、信じられない思いがした。

 男がほんの少し指を動かした。

 ひゃん!と自分でも驚くほどの大きな声が出た。
 男はクスクスと笑っている。


「ずっとこうやってあなたのこと苛めてみたかったんですよ。あなたのあの澄ました顔がどんな風に崩れるのか、見てみたかったのでね。
ねぇ、教えてくださいよ。憎い男の腕の中で大切なところを触られて嬌声を漏らすのはどんな気分なんですか?」


 嘲笑うように男が囁いた。反論しようと口を開いた刹那、また男が撫でた。

 もう意味をなさない甘い声しか上げられない。男が何度も何度も私の秘部を撫でるのだ。全身が心臓になったみたいに、男が指を動かす度、腰がビクビクと反応する。男は私の秘部の形をなぞるように迷惑なほど丁寧に撫で回す。


「あっ、やだ!」


 下着がずらされ秘部が露わになる。


「生意気な貴女とのものとは思えない小さくて物欲しそうにひくついて。誘っているみたいですね。」


「見ないで…」


 恥ずかしくて、ぎゅっと目を瞑った。

 男は秘部の中心には触れず円を描くように撫でる。


「くうっうん、やぁ」


 やがて二本の指で蕾を挟まれてゆっくりとゆっくりと撫で上げられる。


「ああっ!うぅぅ」


「よく啼きますね。」


 なぜこういうことを「犯す」というのかよくわかった。身体の動きの自由も声を発する自由も思考の自由も全て奪われるからだ。


「もう…やめ……」


「私にお願いですか?貴女が、敵である私に?」


 すかさず返ってきた言葉にハッとする。
 そもそも私が敵であるこの男に屈することなどあってはならないことなのだ。まして何かを頼むなど。カァっと頬が熱くなった。


「静かになりましたね。言ったでしょう。せいぜい大人しくしていろと。
……ああ、喘ぎ声ならあげてもいいですよ。まぁ、貴女があげたいのなら、ですが。」


 悔しくてたまらなくて涙が出た。
 声を聞かせれば男が喜ぶだけなのに堪えることができない。声を押さえるためにまた手で口を抑えようとするが、もはや腕に力が入らない。


「ふふっ、気持ちが良くて泣いているのですか。」


 男は優しい手つきで私の涙を掬う。
 そんなはずがないと、この男は分かっているはずだ。本当に意地が悪い。

 嫌がらせのようにくちゅ、くちゅ、と男は水音を立てる。


「この音、聞こえますか?貴女が私に触られて感じた証拠ですよ。
憎い男に触られてこんな状態になっているなんて、あの男が知ったらどんな反応をするでしょうね?正直予想外でしたよ。貴女がこんなに…」


「うるさい……」


「うるさい?貴女がこんなに濡らしたからでしょう。」


「違っ…ひゃあ!」


「ふふっ、初々しい反応をする。」


 お腹の下の方に圧迫感があって、何事かと見下ろすと、男の指が入っていた。
 男の長い指は探るように私の中を少し進んでまた戻る。ある一点に触れた時、私の頭が真っ白になった。
 

「あああああぁァ!」


「そんなに叫んで。ここはそんなに良いですか?」


「そこっ、やっ!」


「そうですか。そうですか。
それではもっと虐めてあげましょうね。」


「いっ、やっ、あっ」


 暴力的な快感を逃すように私は足をバタつかせる。


「そんなに暴れないで。あなたの大切な彼の命は私が握っていることをお忘れなく。」


 男の言葉を聞いて、私は動きを止めざるを得なかった。


「まぁ、彼もあなたのこんな姿を見たらもっとも幻滅してしまうかもしれませんがね。」


「……このっ!」


 いちいち言ってほしくない言葉を選んでこの男は言ってくる。
 快感を逃す手段も失って、私はもはや声を上げる以外の行動ができなくなっていた。快楽も与えられ過ぎればもはや毒になる。
 
 何度も何度も弱いところを擦られて。追い詰められるような感覚に私は震えた。
 声に乗せて快楽を逃がそうとするが、それも叶わず、ついには限界まで追いやられた。


「ッ~~~~!」


「達してしまいましたね。」


 顎を持ち上げられて下を向いた男と目が合う。目の前にある心底楽しそうな顔に殺意が湧いた。


「犯したいならさっさと犯せばいいでしょ…」


 そしてもう終わりにしてほしい。男にぐったりともたれかかったまま私は譫言のように言った。


「言ったでしょう。貴方には罰を受けてもらわないといけないと、と。
じっくりと時間をかけてほだされる方が人はより苦しいものですから。
どんなに苦しくてもやめて欲しくても貴女は抵抗できない。ただ私に感じさせられて鳴いて、泣いて。 
最高でしょう?」


「……最悪よ。」


 その夜、私は一晩中啼かされ続けた。

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