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自覚
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サスケの吐き気が収まり、ひと段落した太郎たちは再び歩き出そうとしていました。しかし、太郎には確かめないといけない事がまだありました。
「マルは、鬼退治について来てくれるのか?」
「オレは面倒な事は嫌いだ。あんたらだけで鬼に勝て・・・はしないか・・・」マルは小さく息を吐きました。
「なんやと!?」ハナが声を荒げます。サスケも睨みつけました。
「威勢はいいな。鬼にやられて木の下で寝てただけの犬とうんこ猿が」
「てめぇ!」サスケが飛びかかろうとしましたが、太郎が間に入り制しました。
「落ち着け。マルも煽るな」
「あの黄鬼にすら殺されそうになった奴らが、もっと強い鬼に会った時戦えるのか?」
「・・・戦う」ハナが答えました。
「ワイもや!」サスケは拳を握りました。
「死ぬかもしれないのになぜだ?」マルはまた問います。
「・・・ずっと孤独やった。それが当たり前やった。けど、太郎はんに出会って誰かと一緒にいる楽しさを知ってしまったんや。もっと太郎はんとサスケと一緒にいたい。戦う理由なんてそれで十分やろ?」
「ワイは仕方なくや。団子を盗み食いしてしもうたからな。その罪滅ぼしでおるだけや。あと、この2人が一緒にいて欲しそうやからな」
「お前ら・・・」太郎は小さく呟きました。
「一緒にいたいというだけで、命を懸けるのか?」マルがさらに問います。
「そうや。そうしたいからや。自分の心を騙して逆らって、長く生きていく意味なんて無い」ハナが言いました。
「あんたにはおらんか?共に生きていきたい人や仲間が」サスケが続きます。
マルはしばらく沈黙しました。柔らかく優しい風がみんなを撫でていきます。吉之助やはつの顔が浮かびました。そして、数秒の静かな時間が流れた後、マルは口を開きました。「オレにも2つ団子をくれ」
太郎は何も言わずにそばにあった葉っぱをちぎり、その上に団子を2つ乗せてマルの前に置きました。マルはそれをつついて食べ、あっという間になくなりました。
「1つの団子はさっき助けた分。もう1つはこれから鬼退治をする分だ」
「何言うとるんやマル。ここにある団子もおはぎも皆で食べるんや。報酬なんかやない。仲間で分けるんや」
「・・・」太郎の言葉を聞いたマルは何も言わず地面を見つめていました。
3匹の様子を見て太郎は少しほほ笑んで、「ハナ、サスケ、マル、ありがとう。気を引き締めていくぞ」と言いました。
マルが加わり仲間を増やした太郎たちは再び歩き出しました。マルは飛びあがり上空から鬼がいないかを確認します。前後左右を見渡し、怪しい影などは見つかりませんでした。「今のところは危険は無さそうか」マルはそう思いながらのんびりといつものように空を飛んでいました。しばらくして下を確認すると皆がいない事に気付きました。
「襲われた!?」
マルが後方を確認すると太郎たちは川を前に立ち止まっていました。
「襲われてはいなかったか・・・」マルはホッとしましたが、「しかし、何をしてる?」確認のため太郎たちの元へ降りて行きました。
流れがゆるやかな川の前でサスケは「渡れへんてこんなん」と言いました。
「流れも速くないし幅もそんなにない。ギリギリ足はつかんかもしれんけど頑張ってくれ」太郎が言います。
「無理。絶対無理。溺れて死ぬって」
「じゃあ、ここでお別れやな」ハナは団子を太郎に渡し犬かきで先に渡りだしました。
「おい!さっき一緒にいたいって言うてたやん!嘘やったんか!?」サスケは訴えました。
「・・・」ハナは無言のまま向こう岸へ渡っていきます。
「・・・太郎はん!太郎はんは置いて行かんよな?渡れるところ探そ?な?もっと浅い所とか石とか岩がある場所があるはずやから!」サスケは太郎の足にしがみつきました。
太郎はそんなサスケを少し見たあと、無言のまま向こう岸を見つめました。
「え?太郎はん・・・まさか」
サスケの顔に絶望の色が浮かんだ時、空からマルが降りてきました。「おい。乗れ」そう言ってマルはサスケの横に着地しました。
「マル殿ーっ!!」サスケの表情は一瞬で変わり飛び上がって喜びました。
「うるさい。早く乗れ」マルが促すとサスケはマルの背中にしがみつき、空へと飛び上がりました。初めての空を体感したサスケは真下を見たり遠くを見たりして楽しみ、太郎とハナに手を振ったりして満喫しました。
「なんで助けてくれたん?」ニコニコしながらサスケが言いました。
「お前がグズグズしてる時間や迂回する時間が勿体ないと思っただけだ」
「そっか・・・。ありがとうな。命救ってくれて」
「・・・ああ」
下で川を渡り切ったハナは体をブルブルと振るわせて水を飛ばした後、空のサスケとマルを見て「いいなぁ」と呟きました。
「後で乗せてもらえば?」太郎が言いました。
「いや、肉球では掴まれへんからやめとく」
「あぁ、なるほどな。そりゃ危険や」
太郎たちが話をしていると、「え?!」とサスケの声がし、マルが地上に降りてきました。
「太郎はん!この先に大きな何かがおるらしい!」サスケが前方を指さしました。
「たぶん鬼だろう。まだ距離はあるが、たぶんさっきのやつより大きい」とマル。
太郎たちは気を引き締め直し、みんなで固まって歩を進めました。
「マルは、鬼退治について来てくれるのか?」
「オレは面倒な事は嫌いだ。あんたらだけで鬼に勝て・・・はしないか・・・」マルは小さく息を吐きました。
「なんやと!?」ハナが声を荒げます。サスケも睨みつけました。
「威勢はいいな。鬼にやられて木の下で寝てただけの犬とうんこ猿が」
「てめぇ!」サスケが飛びかかろうとしましたが、太郎が間に入り制しました。
「落ち着け。マルも煽るな」
「あの黄鬼にすら殺されそうになった奴らが、もっと強い鬼に会った時戦えるのか?」
「・・・戦う」ハナが答えました。
「ワイもや!」サスケは拳を握りました。
「死ぬかもしれないのになぜだ?」マルはまた問います。
「・・・ずっと孤独やった。それが当たり前やった。けど、太郎はんに出会って誰かと一緒にいる楽しさを知ってしまったんや。もっと太郎はんとサスケと一緒にいたい。戦う理由なんてそれで十分やろ?」
「ワイは仕方なくや。団子を盗み食いしてしもうたからな。その罪滅ぼしでおるだけや。あと、この2人が一緒にいて欲しそうやからな」
「お前ら・・・」太郎は小さく呟きました。
「一緒にいたいというだけで、命を懸けるのか?」マルがさらに問います。
「そうや。そうしたいからや。自分の心を騙して逆らって、長く生きていく意味なんて無い」ハナが言いました。
「あんたにはおらんか?共に生きていきたい人や仲間が」サスケが続きます。
マルはしばらく沈黙しました。柔らかく優しい風がみんなを撫でていきます。吉之助やはつの顔が浮かびました。そして、数秒の静かな時間が流れた後、マルは口を開きました。「オレにも2つ団子をくれ」
太郎は何も言わずにそばにあった葉っぱをちぎり、その上に団子を2つ乗せてマルの前に置きました。マルはそれをつついて食べ、あっという間になくなりました。
「1つの団子はさっき助けた分。もう1つはこれから鬼退治をする分だ」
「何言うとるんやマル。ここにある団子もおはぎも皆で食べるんや。報酬なんかやない。仲間で分けるんや」
「・・・」太郎の言葉を聞いたマルは何も言わず地面を見つめていました。
3匹の様子を見て太郎は少しほほ笑んで、「ハナ、サスケ、マル、ありがとう。気を引き締めていくぞ」と言いました。
マルが加わり仲間を増やした太郎たちは再び歩き出しました。マルは飛びあがり上空から鬼がいないかを確認します。前後左右を見渡し、怪しい影などは見つかりませんでした。「今のところは危険は無さそうか」マルはそう思いながらのんびりといつものように空を飛んでいました。しばらくして下を確認すると皆がいない事に気付きました。
「襲われた!?」
マルが後方を確認すると太郎たちは川を前に立ち止まっていました。
「襲われてはいなかったか・・・」マルはホッとしましたが、「しかし、何をしてる?」確認のため太郎たちの元へ降りて行きました。
流れがゆるやかな川の前でサスケは「渡れへんてこんなん」と言いました。
「流れも速くないし幅もそんなにない。ギリギリ足はつかんかもしれんけど頑張ってくれ」太郎が言います。
「無理。絶対無理。溺れて死ぬって」
「じゃあ、ここでお別れやな」ハナは団子を太郎に渡し犬かきで先に渡りだしました。
「おい!さっき一緒にいたいって言うてたやん!嘘やったんか!?」サスケは訴えました。
「・・・」ハナは無言のまま向こう岸へ渡っていきます。
「・・・太郎はん!太郎はんは置いて行かんよな?渡れるところ探そ?な?もっと浅い所とか石とか岩がある場所があるはずやから!」サスケは太郎の足にしがみつきました。
太郎はそんなサスケを少し見たあと、無言のまま向こう岸を見つめました。
「え?太郎はん・・・まさか」
サスケの顔に絶望の色が浮かんだ時、空からマルが降りてきました。「おい。乗れ」そう言ってマルはサスケの横に着地しました。
「マル殿ーっ!!」サスケの表情は一瞬で変わり飛び上がって喜びました。
「うるさい。早く乗れ」マルが促すとサスケはマルの背中にしがみつき、空へと飛び上がりました。初めての空を体感したサスケは真下を見たり遠くを見たりして楽しみ、太郎とハナに手を振ったりして満喫しました。
「なんで助けてくれたん?」ニコニコしながらサスケが言いました。
「お前がグズグズしてる時間や迂回する時間が勿体ないと思っただけだ」
「そっか・・・。ありがとうな。命救ってくれて」
「・・・ああ」
下で川を渡り切ったハナは体をブルブルと振るわせて水を飛ばした後、空のサスケとマルを見て「いいなぁ」と呟きました。
「後で乗せてもらえば?」太郎が言いました。
「いや、肉球では掴まれへんからやめとく」
「あぁ、なるほどな。そりゃ危険や」
太郎たちが話をしていると、「え?!」とサスケの声がし、マルが地上に降りてきました。
「太郎はん!この先に大きな何かがおるらしい!」サスケが前方を指さしました。
「たぶん鬼だろう。まだ距離はあるが、たぶんさっきのやつより大きい」とマル。
太郎たちは気を引き締め直し、みんなで固まって歩を進めました。
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