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茜の運命
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「それで、これから何の話をするんですか?あなたが戻って来た理由なんですよね」宇宙人が神様に聞いた。
「・・・戻ってくる途中までは、茜ちゃんと話がしたいとだけ思っていた」神様は少し間をおいてからゆっくりと話し出した。「だが、地球まで近づいて来た時に、茜ちゃんからの願いが飛んできた。それを聞いてワシはスピードを上げて戻って来た」
「わざわざスピードを上げて茜ちゃんの願いだけ叶えようと来たんだな」宇宙人は冷ややかに言った。
「僕たちの願いは叶えてくれないのに」カッパはふてくされる。
「いや・・・。それが、茜ちゃんの願いは叶えられないものだったんじゃ」神様は1点を見つめながら言った。
「・・・え」茜は声を漏らす。
「何言ってるんだよ。僕たちはともかく何で茜ちゃんまで!」カッパは驚く。
「そうだよ!そんな事を言ってると茜ちゃんに嫌われるぞ!」宇宙人も続く。
「それは嫌じゃ!でも・・・茜ちゃん、君はどうしてあんな願いを」
その言葉を聞いた茜は、ふぅ。と息を吐いた。「・・・私、病気で・・・もう、長くないんです」伏し目がちに茜は答えた。
「え・・・?」宇宙人とカッパは声を揃え、2人は目を見開いたまま固まっていた。神様は険しい表情で茜を見つめている。
「もう、どうしようもない状態で。ここにいるのも、私がみんなを無理矢理誘ったからなんです。ここから帰ったら、もう外に出られなくなるんです。だから、最後に大好きなみんなと思い出が作りたくて。病気の事を言ったら、ここにはきっと来られなかったし、みんなを悲しませる。それが怖くて言えなかった」
「だから、この話はみんなに聞かれたくなかったんだ」宇宙人が言った。
「・・・はい」
「なぁ、神様!どうにかならないの!?」カッパは神様の目の前に移動して訴える。
「そうだよ!治してやってくれよ!頼むよ!」宇宙人もカッパの横で神様に訴えた。
「言ったはずだ!」神様は声を荒げた。「新しい命を創る事や死ぬはずの命を引き延ばす事は出来ない。それが神の掟なんじゃ。破ると宇宙全体に大きな影響が起きる」
「・・・」カッパと宇宙人は何も言えず俯いている。
「いいんです。ありがとうございます。覚悟はしてるつもりですから」茜はカッパ達に頭を下げた。
「神の掟・・・。だから茜ちゃんの願いは・・・」宇宙人は呟いた。
「いや、そうじゃない」神様はそう言うと、3人と距離を取るように少し歩いた。
「え?」またカッパと宇宙人は声を揃えた。神様の背中を2人は見つめながら神様の言葉を待った。少し距離を取った神様は、柵に両腕を乗せながら滝を見つめた。
「・・・戻ってくる途中までは、茜ちゃんと話がしたいとだけ思っていた」神様は少し間をおいてからゆっくりと話し出した。「だが、地球まで近づいて来た時に、茜ちゃんからの願いが飛んできた。それを聞いてワシはスピードを上げて戻って来た」
「わざわざスピードを上げて茜ちゃんの願いだけ叶えようと来たんだな」宇宙人は冷ややかに言った。
「僕たちの願いは叶えてくれないのに」カッパはふてくされる。
「いや・・・。それが、茜ちゃんの願いは叶えられないものだったんじゃ」神様は1点を見つめながら言った。
「・・・え」茜は声を漏らす。
「何言ってるんだよ。僕たちはともかく何で茜ちゃんまで!」カッパは驚く。
「そうだよ!そんな事を言ってると茜ちゃんに嫌われるぞ!」宇宙人も続く。
「それは嫌じゃ!でも・・・茜ちゃん、君はどうしてあんな願いを」
その言葉を聞いた茜は、ふぅ。と息を吐いた。「・・・私、病気で・・・もう、長くないんです」伏し目がちに茜は答えた。
「え・・・?」宇宙人とカッパは声を揃え、2人は目を見開いたまま固まっていた。神様は険しい表情で茜を見つめている。
「もう、どうしようもない状態で。ここにいるのも、私がみんなを無理矢理誘ったからなんです。ここから帰ったら、もう外に出られなくなるんです。だから、最後に大好きなみんなと思い出が作りたくて。病気の事を言ったら、ここにはきっと来られなかったし、みんなを悲しませる。それが怖くて言えなかった」
「だから、この話はみんなに聞かれたくなかったんだ」宇宙人が言った。
「・・・はい」
「なぁ、神様!どうにかならないの!?」カッパは神様の目の前に移動して訴える。
「そうだよ!治してやってくれよ!頼むよ!」宇宙人もカッパの横で神様に訴えた。
「言ったはずだ!」神様は声を荒げた。「新しい命を創る事や死ぬはずの命を引き延ばす事は出来ない。それが神の掟なんじゃ。破ると宇宙全体に大きな影響が起きる」
「・・・」カッパと宇宙人は何も言えず俯いている。
「いいんです。ありがとうございます。覚悟はしてるつもりですから」茜はカッパ達に頭を下げた。
「神の掟・・・。だから茜ちゃんの願いは・・・」宇宙人は呟いた。
「いや、そうじゃない」神様はそう言うと、3人と距離を取るように少し歩いた。
「え?」またカッパと宇宙人は声を揃えた。神様の背中を2人は見つめながら神様の言葉を待った。少し距離を取った神様は、柵に両腕を乗せながら滝を見つめた。
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