私は業火の中にいる

なおちか

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私は業火の中にいる。

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私は業火の中にいる。

皮膚も内臓も溶け、歯や骨も残らないだろう。

もう、見る事も聞く事も出来なくなって世界は白い。

苦しみや痛みは無い。悲しみや怒りは抜け落ちた。嬉しい。

永久に焼かれていれば。永久に続いていけば。

でも、終わりはやってくる。

私は焼き尽くされる。何も残らない。灰も焼かれる。

前の世界で私は焼かれた。そして今、焼かれている。

次はどこで焼かれるのだろう。

そこに火はあるのだろうか。燃えない世界だったらどうすればいい。

何も許してくれない。私は燃える以外の救いを知らない。

こんなに簡単で、こんなに単純で、私にも可能な事なのに。

また戻るのか?それもいい。あそこには火がある。

次が無くてもいい。戻るか留まるかなら私は嬉しい。

全てが燃え尽きた。何も残らなかった。思念も罪も未来も。

「私」は消えた。もう火も消えた。世界は白くも黒くもない。
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