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1、おっチャンはピンクに反応した

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目の前に広がる光景に、ナオキは驚いた。
大きな固い岩、ゴワゴワする
岩陰から見える景色。
剣の音、血を流す者……。
「俺はまだ、夢を見ているのか?」
少し高台になっている場所、そこから
見えたのは、甲冑を見にまとう兵士と
色々なウネウネした魔物?
火を噴くナニか、それに対峙するのは
ローブを着た人たち。
不思議な色が出る杖をもち、色々な色が
ウネウネした物にあたると、倒れたり
パッといなくなった。

「なんやアレ?映画か…?俺は、
現場入りしたんか?」
あと、考えられる事と言えば、
俺は居眠りしてしまったのか?
慢性化した睡眠不足。
徹夜続きの日常。
今日も朝早くから現場に行く途中だった。
カメラマンのナオキ。

「きゃっ。」
ミニスカートを履いた女性がこけた。
早朝の交差点、人はまばらの中での
出来事だった。目の前で人が
倒れたのだから助けるのが当然……。
助けたあと、とある物に目が離せなかった。
「ヒィ…。」
助けた女性を起こし、めくれた
スカート……。そこから見えた
薄いピンクのヒラヒラが付いたパンツ。
ティーバック。一瞬ノーパンと思い
喜んでしまった自分が恨めしい。
助け起こした女性は、ヒールを履いているのに
すごい勢いで悲鳴をあげ、お礼も言われず
逃げられた。
逃げた女性のお尻をガン見してしまった。
「なんやねん、アレは。」
助けたのに、お礼も言われなかったナオキは
"お尻の形、良かったなぁー。"と
別の事に気をとられていた。
50代半ば、寂しくなっている頭。
イケメンじゃないが、体つきとともに
そこそこイカツイ顔。
ため息をついた瞬間、身体に痛みがはしった。
何が起きたかはわからなかった。

走馬灯?
ピンクのティーバッグ、ピンク色の
パンツのあとクラクションと悲鳴。
ピンク色の軽自動車が体当たりしていた。
人が集まりだしそれを見下ろす自分。
やがて、景色はボヤけていった。

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