身代わりの身、捕らわれの身？

第２１話 違和感

アラン目線

暖かい。俺の手を、握っているのは、
誰だろうか？
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
泣きながら、謝り続けている少女が
俺の手を、握っていた。

頭、身体が痛い。どうしたんだ俺？
しかも、なんだか眠い。
小さな少女が、俺の手を握ってくれている。
なんだか、うれしい。
小さな手で、俺に触れ、たまに、
手をさするように、触れてくれていた。
頭がボーっとするが、握ってくれている
手を離したくなかった。
ずっと触っていて欲しかったから、
力を入れて握りかえしてみた。

チマリ目線

アラン隊長が、私の手を握りかえして
くれました。
目を覚まさないまま、何度か手に
力が入ってたり、力が抜けていたり
してます。
早く、目を覚ましますように。
早く、わ傷が 癒えますように。
アラン隊長、ごめんなさい。
いつのまにか、泣いていた私は、
アラン隊長の、ほっぺに、
口付けしてしまいました。

自分自身、驚いてしまいました。
アラン隊長に、少しヒゲが生えていて、
チクチクしていました。

コンコン。
しばらくすると、メイドが、
食事を運んでくれましたが、
食べる気力もなく、
いつものように、
「ありがとう。私は、要らないので、
下げて下さい。」
と言い、食事を下げてもらいました。

コンコン。
ストルグ王子たちが、
入ってきました。
私は、立ち上がろうとし、少し
ふらつきましたが、頭を下げました。
ストルグ王子は、私を一べつしながら、
「アランの様子は？」
私は、首を振りました。
明日は、成人の儀式が、ある事、
式典の進行変更など、
大切な話が、私の頭を通り抜けて
いきました。
明日は、リマーユ王子成人の儀式。
私はもうすぐ、父母に、あえる。

アラン隊長は、3日目の朝、目を
覚まされました。
「リマーユ様、ありがとうございます」
私の手をにぎり、言ってくれました。
ひと気がない場所では、私の名前を
呼んでくれたのに、なぜだが、
さみしく思えました。
すぐに眠りだしました。

「アラン隊長、今まで、ありがとう
ございました。」
しばらく私は、アラン隊長を
見つめたあと、準備をする為、
立ち上がろうとしました。
アラン隊長は、眠ったまま、私の
腕を掴んでいました。
私は、立ち上がるのをやめ、しばらく
腕を掴まれたまま、じっとしていると
アラン隊長の力が、弱まりました。
私を掴んでいた手は、ベッドの上に、
落ちていきました。

離れがたい部屋を後にし、私は、
入浴を、すませました。
そして、儀式の準備をしていきました。