身代わりの身、捕らわれの身？

第２５話 暗闇の中

馬で半日の距離が、さらに5日かけて
戻ることになってしまった。

チマリは、目隠しをされたまま、
無理やり食事を口に入れられ、再び、
薬を嗅がされ、目覚めると、
食事の、繰り返し。
たまに、吐いてしまうこともあり、
食べる気力は、ないのに、無理矢理
口に入れられ、水を流し込む食事。
４日目には、起きる気力もなく、
体温だけは、やたらと高いので、
熱がある事は、わかりました。
身体も重く感じる。

今度こそ、お父さんと、お母さんの
ところに行けるわ。
ここ数日、毎日、両親の夢を
みていました。
崩れ落ちるように、倒れ、
眠るように、亡くなった両親の夢を、
毎日みていました。

とある男目線

こんなはずでは、なかった。
こんな事に、なるなんて。

独自の情報を手に入れ、お城を、
俺は、見張っていた。
お城から出てきた、怪しい2人組を
見かけ、袋に入れられた、
処分されるはずの、人物を助け、
味方につけようとした。

途中で、怪しい2人組のスキを狙って、
倒し、袋に入られた人物を助けた。
どんな極悪人が出るか、少々、
ビクビクしていたが、違う意味で、
かなり、驚いてしまった。
やせ細り、衰弱した男だった。
本来なら、自分がなっていたかも、
しれない運命だった。
薬を盛られたか、食事をろくに、
食べさせてもらえなかったのか？
やはり、許せない。

俺は、なるべく栄養がありそうな、
食べやすい物を、無理やり口に、
入れさせ、水も無理矢理、
入れていた。
顔を見られては困るので、目隠しを
したまま、食べさせようとした。
怯えているのか、食べ物を食べてくれず、
時には、口移しでしたが、効果は、
なかった。
体力を、使わせないよう眠り効果の
ある香を、嗅がせてから、ゆっくり、
場所を、移していた。

利用する気だった初日、平民の服に
着替えさそうとしたら、女の子だった。
しかも、アザがあった。
昔、聞いた噂が本当だった。
目の色も、黒にも見えるが、光の加減で
紫、茶、青にも見える、不思議な
色合いの目をしていた。
途中からは、目隠しをするのをやめ、
食事を与えようとしていたが、
やはり、ほとんど、食べなかった。
初めて目があった時、俺の顔を見た彼女も、
驚いていた。

この子を、守る方法は、自分との結婚、
だが、命を狙われるのは、確実だ。
自分自身の、剣の腕はまだまだ、
弱い方だ。稽古は嫌いだが、守る為、
強くならなければ、ならない。
彼女が、寝ている間は、自分なりに、
トレーニングをしていた。

4日目ご飯を、食べさそうとしたが、
昼になっても、目を覚まさなかった。
身体全体が、暑く、熱を出していた。
冷やしていたが、夜になっても、
目覚めず、村はずれにある、
医者を頼ってしまった。
俺は、注意力が、足りなかった。

怪しい2人組を、放置したままだったし、
倒されていたなら、処分されるはずの、
この子は、助かっている。
だから、探しにくる者が、いることを
知っていたはずなのに、危機感が、
薄れていた。
逃亡生活は、あっけなく終わりを迎え、
通報され、俺たちは、捕まってしまった。